vagabond の 徒然なるままに in ネリヤカナヤ
エメラルドグリーンの海,溢れる太陽の光,緑の森に包まれた奄美大島から,乾いた心を瘉す写真をお届けします。
 



久々に真の芸術に出会った気がした。
田や畑山の神々への豊作祈願であるショチョガマは早暁に執り行われる。
そして,同じ日の夕方の満潮間際には,海の彼方(ネリヤカナヤ)の豊饒の神々への祈りの儀式,平瀬マンカイが行われる。
この1年,奄美群島で色々な美しいものを見聴きしてきた。
そんな中でも,この平瀬マンカイの祭礼は,清らかさと,スケールの大きさと,奥の深さとが相俟って,ことのほか美しいものであると感じた。


平瀬マンカイに登場するのは,「神平瀬」に立つ5人のノロ(女性だけ。すぐ上の写真)と「女童(メラベ)平瀬」に立つ7人のグジ(男女。下の写真)だけ。
この12人の男女が向かい合った岩の上に立って,唄の掛け合いを行いながら,ネリヤカナヤの神々への豊作祈願を行う。


唄声とチジン,そして満ちてくる潮の響きが絶妙なハーモニーを響かせ,そこに暮れなずむ西の空の色彩の変化が加わる。
さながら,太陽と大気と大地と海とが生み出す響きと共鳴するかのような,悠揚にして繊細,清冽な祭事,それが平瀬マンカイである。
潮が満ちてくるに従って,神さえも呼び寄せてくる,そんな感覚さえ感じる。
私は,民俗文化財には明るくないが,この美しさは本物だと感じた。
そして,この日,この場所で,このような素晴らしい行いに出会わせてくれた,未だ見ぬ神に心から感謝した。
まだご覧になったことのない方には,是非見て頂きたい祭事だ。


平瀬マンカイやショチョガマといった神事が今なお秋名の里に残っているのは,秋名が奄美大島でも殆ど唯一稲作を行っているシマだということと,おそらく深い関係があると思う。
日本の神事の多くは,稲作と深く関わっている。
そして,稲作の衰退と共に,神事も徐々に減少しているように思える。
稲作の衰退,コミュニティの崩壊,人心の荒廃...今さら嘆いても始まらない。
本当の「美しい国」のための真剣な議論と行動が必要なのだろう。

奄美大島有数の米所 秋名の里にして,すぐ上の写真のような,雑草だらけのまま放置された稲穂があるというのも悲しい。
(これが究極の有機農法なのだとしたら,自らの不明を恥じるばかりだが...)

胸の奥に染み渡る神事に心洗われつつ,コミュニティの復活のため自分に何ができるのだろうと考えながら,路傍の空き缶を拾いながら帰路に着くのであった…
(この祭事の模様もビデオに収めたので,いずれアップしたいと思います。どこまでこの神事の真髄に迫られるかは疑問ですが
【2006.9.24 奄美大島・龍郷町(秋名) Canon EOS Kiss デジタル with TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3】
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コメント ( 7 ) | Trackback ( 1 )



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コメント
 
 
 
来年こそ! (FORTUNE)
2006-09-25 00:02:02
うー、行けなかったことがが本当に悔やまれる記事をありがとうございます。

あの荒々しいショチョガマとは全然違う雰囲気ですね。

終わった後は、vagabond67さんも一緒に集落の方との宴に参加されたのですか?
 
 
 
おはようございます (Honey)
2006-09-25 07:45:25
清らかな響きが、

PCのスピーカからさえ聞こえてきそうな、

味わい深い写真です。

ありがとうございました。
 
 
 
奇祭 (アコード)
2006-09-25 22:13:59
素晴らしい迫力が感じられます。

岩から滑って怪我なんてことは

ないでしょうね。珍しい情景を

有難うございました。

 
 
 
みなさんへのお返事 (vagabond67@管理人)
2006-09-25 23:55:24


FORTUNEさんへ

是非,来年は両方ハシゴして下さい!

マンカイが終わった後,皆さんが浜辺に残って物欲しそうにしていましたが,誰も声を掛けてくれませんでした(捨て犬じゃあるまいし当たり前かな

来年こそは,マンカイを味わってください。

私も,来年こそはマンカイの後の一重一瓶を楽しめればと思っています。



Honeyさんへ

ありがとうございます

いずれ動画もアップしたいと思いますので,お楽しみに!

(動画の方は容量の関係でちょっと鮮明さが欠けるかもしれませんが…)

都会では失われた自然と一帯となった祭を味わえるのも奄美ならではだと思います。



アコードさんへ

奄美大島でも,かつては,あちこちで同じような祭が行われていたようなのですが,稲作や農業の衰退につれて,この秋名だけの祭になってしまったようです。

日本の伝統や精神,心のどこかで大切にしていかなければなりませんね。

岩の上は,ちょっと平になっていて,滑らないように加工もされているようでした

 
 
 
天然二期作 (はじめまして)
2007-09-26 12:30:07
稲穂の間の雑草・・・。
この写真を撮影されたのが、平瀬マンカイの日、9月中旬ならばの話ですが、秋名の稲刈りは7月遅くても8月初旬には終わってしまいます。
稲刈り後に放置しておくと、更に稲穂が出てきて天然二期作状態になるのだと思います。
稲刈り後の田んぼはあまり手入れはしないのでしょうね。
秋名を離れて○十年経過しているので、今の状態はわかりませんが、昔はそうでした。
 
 
 
なるほど! (vagabond67@管理人)
2007-09-26 23:23:48
どうもありがとうございます
この写真,昨年の9月23日のものです。
稲刈り後に放置するとさらに稲穂が出るとは,考えもしませんでした!
そう言われてみると,放置された田ならば,もっと地表が見えないぐらい雑草に覆われますよね。
天然二期作とは言い得て妙です。
とても勉強になりました。

こんな感じでテゲテゲにやっておりますが,よろしければまた遊びにいらしてください。
 
 
 
この記事の写真がほしいです。 (ひご)
2018-07-23 22:50:35
はじめまして。何年も前に書かれている記事のようで、こちらにコメントしても見て頂けるのか心配なのですが、、、。
私は奄美出身のもので今は福岡に住んでいます。
いきなりで申し訳ないのですが、率直に言うと、この記事の平瀬マンカイの写真がほしいです。
この写真に写っている人の中に私のばあちゃんがいます。今は病気で入院をしていて、歳も90近いです。正直もう長くありません。私は福岡で働いている為、会いたくてもなかなか会いにいけません。私にはなにもできません。それで不謹慎ではあるのですが、遺影の写真をわたしが探そうと思っています。今のばあちゃんはガリガリで前の面影もほとんどありません。最後の写真は元気だった頃のばあちゃんの写真を使ってあげたいんです。それが私にできる最後のことかと思ってます。
それで、この記事に載せてる写真以外で、私のおばあちゃんが写ってる写真をお持ちでないかと思い、ここにコメントしました。
もし、お持ちでしたら手段を考えて写真を受けとりたいです。
何年も前のことなのでもうデータをお持ちではないかもしれませんが、このコメントを読んでくださったら、もしよければお返事がほしいです。よろしくお願いします。
ちなみにうちのばあちゃんは3枚目?の写真の一番手前の人です。
 
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秋名アラセツ行事 (あげーのしま 奄美 )
きのうは旧暦八月の初丙。 龍郷町秋名(あきな)集落では、 アラセツ(新節)の行事として、 この日に「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」が開催されました。