V11喫茶室

愛車V11CafeSportとの徒然なる日々

Buellが・・・

2009-10-16 23:59:59 | バイクその他
Buellがその歴史に終止符を打つことになったようです・・・

とりあえずはここを見てください。(JavaScript ONでエリックさんの動画が再生されます)

「― 我々はBuell製品を今後製造しない、という決断を下しました。」

「倒産」という言葉が当てはまるのかはよくわかりません。現在のBuellはHarley-Davidson(以下HD)傘下の子会社化していますから、俗っぽく言えば「ハーレーに切られた」という感じでしょう。いずれにしても、大親分のエリックさん自らが動画で宣言したのですから、Buellは2009年を以って終了、ということに・・・(ちなみに、HDが最近権利を買ったMVアグスタも「切って」売りに出すそうです。何にもせずに売り払うのは、いくらなんでも失礼すぎると思うのですが・・・アメリカ流のビジネスライクな判断なんでしょうが。いや、それならそもそも初めから買うなよと・・・)

さて、Buellというメーカーはもともと、エリックビューエルさんがハーレーエンジンを使ってスポーツバイクを作る、ってのから始まったメーカーです。現行のラインナップこそ、専用設計のエンジンが使われていますが、初期の(歴史的遺産のRR1200などは一旦横においておきますよ)S1Lightningを初め、M2Cyclone、X1Lightningなどはスポーツスターのエンジンをチューンして使っていたと記憶しています。少なくとも概観はスポスタエンジンそのもの。クランクケース幅なんかは当然そのまんまぶっとくて、スポーツするには不向きなくらい幅が広いんです。なのに「マスの集中化」という理念をそれこそ車体全体に適用して、本当に徹底した設計を行った結果、超ショートホイールベースにいきり立ったキャスター角、マフラーやリアサスなど重量物は車体の下、という設計が施されたのがBuellのラインナップでした(21世紀に入ってからは太いアルミフレームの中身を空洞にしてガソリンタンクに使う、なんて驚きの発想を実現したりもしていましたね)。いずれもハーレーエンジンの鼓動を主張しつつ、走らせると抜群に面白いハンドリングマシン、という、もう、バイクの楽しさを良く知った人が設計してるなーと感じさせられる大変に面白いバイクでした。

私は京都在住時代、もう10年ほど前になると思いますが、京都のカスノモーターサイクルさんでGUZZIのV11の試乗会に行ったのです。その当時からV11に注目していたのですが、同時に気になっていたのがBuellでした。当時のカスノさんはドカとかイタリアンよりもBuellに力を入れていた時期で、V11の試乗後にM2CycloneとX1Lightningにも試乗させていただいたのです。はっきり行って、どちらも魅力的でした。しかもGUZZIとBuell両者は別のベクトルの面白さだったので、甲乙つけ難い、とカスノ社長に直接言った記憶があります。V11というかGUZZIは直進安定性、エンジンをある程度回した状態で這うように突き進む直進安定性が痛快でした。なのにバンクさせようとすると特に抵抗も無く傾くところにスポーツ性の予感も感じたり・・・。対するBuellはとにかくクイック。がんがん曲げていくのが楽しいバイクです。スポーツ性を求めるならこっちかなと思ったくらい。エンジンはハーレーそのものの鼓動感で存在感抜群。で、どっちも面白いんだけど、信号待ちの時を比較して、V11だ、と決めたのです。Buellはあの鼓動感というより振動の主張が強すぎて、短距離以外は疲れるだろうな、と思ったんです。ホント、選択理由はそれだけ。それが無ければどちらを選んでいたかわからない、ってくらい最後まで悩んだバイクでした。

長々と昔話を書きましたが、私にとってはそれくらいBuellというメーカーは気になるメーカーでした。最近のラインナップにはいまいち食指が伸びませんが、乗ってみたらガツンとやられるかもしれないな、と思ってわざと遠巻きに見ていた面もありますw また、最近の中古車市場を見てみるとX1Lightningが結構手の届きそうな値段で出てきているのも、ちょっと気になっていましたw これ以上バイクの置き場所は無いから!っていう物理的理由が無ければ・・・。そんな魅力を感じていたメーカーが、生産停止を決定したわけです。これはかなりショックなニュースでした・・・

そしてこのニュース、私の場合は他人事とは思えません。GUZZIなんかBuellよりも売り上げは少ないだろうに、本当にまだやっていけるんだろうか?という心配が当然ながらあります。現状でも部品が全然届かない状態です。この怠慢体制で未来があるとはちょっと考えにくいところです。多分Buellとの違いはブランドのネームバリューだけでしょう。しかし、去年からの不況の影響はまだ残っていますし、そもそも全世界的にバイク離れで売り上げが減少しているとも聞きます。ブランドネームバリューにあぐらをかいていることはできないでしょう。そろそろ、何かがあってもおかしくないのかもしれません。・・・・・・「その日」のために部品買い集めておくかなぁ・・・w

さて、当のBuellですが、これで本当に終わりになるのでしょうか。動画のエリックさんは急に老け込んだ印象で、一気に気力が無くなった風情が感じられます。大親分がそんなでは、あとに続く人も少なくなってしまうでしょう。てことは、本当に終わるのかも? でも、できればbimotaみたいに復活してもらいたい。ただ、bimotaと違うのは、ハーレーに切られたんだから、もうハーレーエンジンは使えないんじゃないの?というあたり。Buellの売りのひとつが使えなくなるとすると、それはBuell復活とは言えないのかも知れません。しかし、あの設計思想はいまだに斬新なものが多々あります。それこそBrittenと比肩するほどに。そんな革新的なメーカーを消滅させてしまってはモーターサイクル業界の損失だと思うのですが・・・。誰か、どこか、拾ってくれるメーカーなり資本なりはないもんですかねぇ・・・


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2 コメント

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Unknown (ファイヤー)
2009-10-18 11:53:15
このニュース,私もびっくりしました。「理想を現実にするのが開発であって,既存の形をいじくり回すのは開発ではない」といっていたBuellさんにとっては,今は厳しい時代なのかも知れません。

ドカも今は新車が売れてないそうですからどうなることやら。
Unknown (嘉平)
2009-10-19 00:00:11
>ファイアーさん
「理想を現実にするのが開発であって,既存の形をいじくり回すのは開発ではない」
いい言葉ですねぇ。
でも、HD経営陣には、売り上げ最優先で、今の情勢でそんな余裕は無いのでしょうね。

ドカについては、オーナーのファイアーさんには悪いですが、
今のドカは魅力が無く、さらにはメーカーとユーザーの意識がすれ違っていると思ってます。
ユーザーは日本車に無いLツインの鼓動感とそこから来るスポーティーな(ある意味難しい)ハンドリングを求める孤高のメーカー、という意識が強いのに、
メーカーは(悪い意味で)ホンダ的な誰でも乗りやすいバイクにして裾野を広げようとしています。
しかし、ドカに求められているものと違う方向で裾野を広げようとしているため、ファンは買い替えずに旧車を乗り続ける道へ。
イタリアンに取り憑かれる人たちは、そのメーカーにしかない個性を求めるのに、それを薄めて行ってるんですから・・・
かといって日本車と競争力があるのかといえば、値段の面で二の足踏まれてしまいますしね。
大きなメーカーになろうとして失敗している最中、って印象です。
Buellとは全然違う意味で、先が暗い、と見てます。

ただ、もっと先にやばそうなのはKTMかな、と思ってますが・・・w

え?GUZZI?むしろまだよく生きてるな、とw
トラはどうなんでしょうね?攻勢をかけているように見えて、実は火の車、の可能性も・・・

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