人財育成に関して、様々な研究や学説や言説があります。私はHow toの人財育成は好みません。なぜなら、人間というものは、そんなに単純なものではないと思っているからです。一時的に意識が向上して上手くいったとしても、それが継続しなければ、元に戻っていくだけでしょうし、カンフル注射のようなものでは、長続きしないと思います。
北大路魯山人の言葉の通り、「立派な人間は立派な仕事をする。下らない人間は下らない仕事をする。」というのが、「確定的」な事実だと思います。
精神修養というものは地道なものだと思います。また、教養を身につけていくことも一朝一夕ではできないものです。教養があり、人間として修養が積まれた人の言葉や表情や顔つきは、素晴らしいものになり、どんな場面でも、同じように人に接していくことが出来るものだと思います。スキルとして学んだものは、どこかでボロが出てしまうものだと思います。
本物のように振る舞うスキルを習得するのではなく、教養や修養を経た本物の人間にならなければ、意味がないと思います。実際に、過去の偉大な人物たちが、そのようなHow toの学びによってその位置に至ったことはあまりないだろうと思います。
「子曰く、君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る。」(孔子が言った。君子と言われる人物は、義=道理にかなった正しいこと に敏感であり、小人は利益に敏感である。)
「子曰く、君子はこれを己に求む。小人はこれを人に求む。」(孔子が言った。君子と言われる人物は、全てを自分に求め、自分を責めるが、小人は全てを他人に求め、責任を他人に求めるものだ。)
※君子=学問も道徳性も共に優れた人。※小人=学問はあるが道徳性のない人。
紀元前に孔子が語ったこの言葉を、2000年以上かけても身につけることが出来ないのが私たち人間の姿です。付け焼き刃のような教育でなんとかできるものではないと思います。
補記
萩駅舎で維新のリーダーたちの顔を拝見してきました。実に引き締まった、一身を賭して、国家を背負っていく気概にあふれた顔つきだと感じました。こうした顔つきのリーダーが、今の政治の世界にどれだけいるだろうかと思ってしまいました。