Vision&Education

木村貴志の徒然なるままの日記です。

ジャータカ物語

2021年01月26日 | Weblog

「もし、この地面が壊れたら、私はいったいどうなるだろう」という思いにとらわれた一匹のうさぎが、パパイヤの実が落ちた音を地面が壊れる音だと勘違いして走り出します。

何万匹ものうさぎが、「地面が壊れるところだ!」と叫んで走り続けるウサギにつられて走り出し、しか、いのしし、さい、水牛、シマウマ、虎、最後に、象までも駆け出します。

ライオンに生まれ変わっていた菩薩が、これは力を貸してあげないと、みんな崖から海に落ちて死んでしまうだろうと思い、大声でうなり声を上げてみんなを制止します。

ライオン「なぜ、こんなばかなことをしているんだ?」

みんな「地面が壊れるところだからです」

ライオン「誰が地面の壊れるところを見たんだね?」

みんな「象がそのことを知っています。」

象「私は知りません。虎が知っています。」

虎「私は知りません。シマウマが知っています。」

シマウマ「いえ、私は知りません。水牛が知っています。」

そして、最初の一匹目のウサギにまで遡り、そのウサギを連れて、ライオンは一緒に地面が壊れたという所に確認に行きます。

勿論、地面は壊れておらず、パパイヤの実が落ちていただけでした。」

これは群集心理について書いた『ジャータカ物語』の一節で「あわてうさぎ」というお話です。

私たちはこの話を笑えるだろうか?と思います。

確認もしないまま(出来ないことが多いのですが)、皆が走っているから、我も我もと走り出していないだろうかと思います。次々に出てくるメディアの言説に惑わされて思考停止し、走り続けてはいないだろうかと思います。

インドの仏典『ジャータカ物語』は、様々な示唆に富む話が多く収録されています。こんな時代だからこそ、読み返しておきたい一冊です。

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