うずまき

つくば子ども劇場ってどんなところ?どんな人がいるの?
とりあえず運営委員長が日記を書くので参考にしてください。

森と夜と世界の果てへの旅

2016年04月13日 | ちょっとまじめな話
先日、デフ・パペットシアター・ひとみ による、
「森と夜と世界の果てへの旅」という舞台を観てきました。

参考:デフ・パペットシアター・ひとみ HP

ろう者(きこえない人)と聴者(きこえる人)が共に作る舞台です。

いろいろ感じたことがあるので、わたしの一感想として書いておきますね。


・世界観がぶっとんでる

芝居の原作は、「やし酒飲み」エイモス・チュツオーラ ということで、
とにかく普通の物語を期待しているとこんがらがります。

そもそも主人公が死者の国へ行く理由がね、
「俺専属のやし酒職人が死んじゃったんだけど、
もう1回あいつの作ったやし酒が飲みたい」ってことなわけで。

なんだその欲望に忠実な感じ。

勇者の冒険譚でもなく、知恵を駆使した成長譚でもない。
飲んべで金持ちのお坊ちゃんが、不思議な世界を旅する物語。

いきなり出てきてなんだ?この人?みたいな、
まるで不条理な夢を見ているような場面がいくつも出てきます。

え?ええっ?とハテナマークを飛ばしているうちに、
この世界の空気そのものを楽しめるようになるでしょう。

だから生真面目な人には向かないかもね。

一応、坊ちゃんは行って帰ってきますので、
ストーリーの骨子はあります。ご心配なく。


・人形はビビッドで、音楽はプリミティブ


なんとなくカタカナで言ってみましたが、
要はお人形の造作は鮮やかで、
音楽は打楽器中心の原始的なものであったというわけです。

もしみんなで観るなら、事前にアフリカンドラムのワークショップやりたいな、と。

そして自分のお面を作るワークショップをやって、
本番当日につけていきたいなーと思います。

不思議なアフリカのお面を作りたい。

できれば劇を観た後、みんなでお面をつけて太鼓で踊りたい。



・ろう者と聴者


正直劇を観た後、すごく不思議な感覚でした。

違和感というもでもないし、なんだろう?この感覚は?と
考えていて、ふと感じたことがあります。

それは、「この舞台は、本当にろう者と聴者が一緒に創った舞台なんだな」ということ。

終わったあと気づくと思いますが、
今まで観てきた舞台に比べて、圧倒的に音の情報が少ないです。

手話、プロジェクター投影、パントマイムを使い、
本当に体と手と顔の表現で役者は物語を紡いでゆきます。

ところどころに重要な声の台詞が入りますし、
太鼓はリズムを打ち出しますが、
「静かな劇だった」という印象が残りました。

勘違いしていただきたくないのですが、
それは「盛り上がらなかった」ということではありません。

観客は目を見開いて舞台を見つめていて、
何も見落とすまい、としていますし、
どんどん流れてくる体で語られる物語の情報を
頭の中でぐるぐるぐるぐる回し続けているのです。

不思議ですが、山のような台詞がある舞台よりも、
伝わってくるものが多かったような気がするのです。

それが、「この舞台は、本当にろう者と聴者が一緒に創った舞台なんだな」という
感想につながるのではないかと思うのです。

わたしの経験不足、勉強不足のせいもありますが、
これまで見知った作品は、どこか健常者寄りのものが多かったような気がします。

聞こえて見えて話せる人が楽しんでいるものを、
そうでない人にも楽しめるよう、
インターフェイスを工夫する、といったようなものです。

「一緒に楽しみましょう!」と言っているものの、
「こっちにおいでよ!」とも言っているみたいな気がするのです。

でも、今回の舞台はそうじゃなくて、
本当に道の真ん中を一緒に歩いているような感じがします。

それか、どっちかというと、ろう者の世界に呼ばれていったような感じで、
ちょっとそっちの世界へ踏み込んだ感がありました。

もちろん、わたしたちが生きているのは同じ世界なので、
この場合、「ろう者の世界」という言葉の使い方は適切ではないかもしれません。

「ろう者の感覚の世界」とした方が、より適切かもしれないです。
うまく言えてなかったらごめんなさい。



公演のあと、演者の方をおはなしをしました。
代表の善岡さんとは、制作の方に通訳していただいて少し話せました。
NHKの手話講座、観ているんですけど、
やっぱり実際使うとなると、通じるかどうかわからなくて気後れして、
手話ではうまくおはなしできませんでした。
うう、もっと勉強しよう……。

手話の拍手は、童謡「きらきら星」を歌うときの手振りみたいな動作です。
顔の横で手をひらひらさせて、拍手を表します。
これは海外でも同じですね。
舞台を観たあと、観客席がさざ波のようにゆれる手でいっぱいになり、
すごく静かな空間が広がったりしたら、また別の感動があるな、と思いました。
(これもなんか気恥ずかしくて出来なくて、普通に拍手してしまったのです。
英語コンプレックスと同じですね。でも客席は拍手と手話が混じってました。)


興味がある方は、劇団のHPで公演の一部をご覧になれますので、どうぞ。

ぜひ、つくばで公演を実現させたいなぁと思うのですが、
サポーター、協働希望、スポンサー希望などありましたら、
ご連絡ください。




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