日々是雑感

アニメや映画の感想を中心に雑多に述べていきます

4月期アニメ新番コメント

2007-04-04 05:44:03 | アニメ
 今年も4月に入り、新番組がどんどん始まってまいりました。では早速行ってみましょう。

天元突破グレンラガン
 前に書いた「冬の時代」的作品と言える。こういう作品は何よりもまず勢いが大事。
そういう意味でのつかみは成功と言えるんじゃないだろうか。あとはこの勢いがどこまで保てるのか。「上滑りしたかっこ良さ」や「処理できないテーマ性」で勢いを殺してしまった「エウレカセブン」の轍を踏まないことを祈る。GAINAXの地力に期待。
 
ゲゲゲの鬼太郎
 泉谷しげるの主題歌は意外とはまってた。もうみんな指摘してますけど鬼太郎の声、どう聞いてもコナン君にしか聞こえません。冒頭なんか意図的にやってるんじゃないかと疑いたくなったぞ。猫娘萌えキャラ化については取り立てて言う事無し。

 シリーズ構成の長谷川圭一、三条陸にはある程度安心感と期待感が持てる。長谷川圭一の「ウルトラマンネクサス」で見せた容赦の無さを三条陸が「ダイの大冒険」、「冒険王ビィト」の子供向け展開でうまく押さえ込めれば相乗効果も十分に期待できる。
 鬼太郎が自業自得だという理由で子供を囮に使う容赦の無さ、持っている能力を活かしたバトルと第1話を見る限りそれはうまく行っているように見える。あとはこのバランスがどこまで持つか。

 ま、とりあえず目玉の親父のCVが替わっていないのだけは良かった、良かった。

ハヤテのごとく!
 原作はサンデーを立ち読みした時に目にする程度。本編といい、中の文房具CMといい壮大なネタアニメという認識でいいのだろうか。若本ナレーションは狙いすぎてて、ちょっと引いたなぁ。

ミュータントタートルズ
 年1本くらいはこういうアメリカンなアニメがあっても良いよね。ありすぎると逆に嫌だけど。そう思わせてくれる位の出来ではありました。

アイドルマスターXENOGLOSSIA
 ゲームのほうはアーケード版をちょこっとやってた。XBOX360はもともと持ってないので(メックアサルト3が出るならハードごと買うけど)論外。キャラ名などは使っているが声優総入れ替え、舞台をサンライズお得意のロボット物に変えてのアニメ化。これはもうネタ以外の何物でもないな。
 
 美少女&ロボ見せ、世界説明、その裏の陰謀話といろんなことをやろうとしてそのどれもが半端でつかみが弱すぎる。「ゲームと違うけどこれはこれでOK!」と言えるほどのレベルではない。
 真面目にやってるのは分かるんだけど、どうも真面目さが上滑りしている印象を受ける。これなら完全パロディに徹して、設定周りを単純化した方が良かったんじゃないかなぁ?この辺をどう整理できるかで、化けるかこけるか変わってくる。

美少女戦麗舞(セレブ)パンシャーヌ
 来たよ、バカ特撮!言うべきことはこの一言に尽きる。特撮の安っぽさを隠そうともしてないし(そのくせハイビジョン製作)、狙ってバカやってるのはちょっとあざとさも感じるけど見ていて微笑ましい。でも、猫ひろしはちょっとなんだなぁ。




 次回は「武装錬金」と「ゴーストハント」の総括。

ウルトラマンメビウス総括

2007-04-02 08:53:44 | アニメ
 ちょっと詰め込みすぎな印象もあったけど無難にまとまったんじゃないかな。詰め込みすぎのあおりなのかサコミズゾフィーが蛇足に感じられてしまったのは残念。それでも最後に1カットではあってもああいう形で集められたGUYS隊員たちが自分の夢へ向かって進んでいる姿を見ることが出来ただけでも満足、満足。

 では全体の総括

メビウスとしてのバランス
 ウルトラマン40周年記念作品として始まった本作は過去のウルトラマン(「ウルトラQ」から「ウルトラマン80」まで)の同一時間軸に設定され、ウルトラマンメビウスはウルトラ兄弟=宇宙警備隊のルーキーウルトラマンとして地球に降り立つ事となる。こんなことは初めからわかっていた事だ。

 序盤はGUYS隊員同士そしてGUYSとウルトラマンメビウスとの「絆」の構築がメインだったのだと思う。それは絶妙なバランスの上に成り立っていた。ウルトラ兄弟の世界観を使いながらも必要以上に流されること無くウルトラマンメビウスとしてのストーリーの構築を行っていた。シリアスとコメディのバランスも絶妙だった。

 この時期のメビウスはルーキーだけに実に頼りなく、無敵の超人というよりは人間(GUYS)とお互いに補完しあいながら地球を守る人間の仲間としての側面が強く描かれてきた。その辺がウルトラ兄弟という設定がウルトラマンの神秘性を損なうと言われている理由だろう。そしてメビウスが弱いといわれている要因でもある。だが前述したとおり「真のウルトラマン」としての成長物語でもある以上、この描写は正当なのだと思う。

 この時期はストーリー展開も実に丁寧に拾われていた。前半部ウルトラ兄弟との世界軸の合一ががアーカイブドキュメント、豆知識というあまり気分の良くない形で噴出していたというのも記憶さるべきである。

 11話までのボガール編はこういったバランスの良い展開で進んでいった。

正体バレ展開へ
 12話以降も30話までボガールのような統一した敵がいなくなった分、ウルトラマンマックスほどではないにせよ、バラエティに富んだエピソードが続いた。
 トリヤマ補佐官をメインにしたコメディ編「初めてのお使い」、ちょっとしっとりとしたエピソードである「時の海鳴り」、総集編を利用してゼットンを出してきた「激闘の覇者」・・・。もちろん「ウルトラマンの重圧」や「孤高のスタンドプレイヤー」、「虚空の呼び声」と「日々の未来」の前後編と「絆の構築」のためのエピソードもぬかりなくやってきた。

 だがバランス崩壊の序曲は確実にやってきていた。思えば映画は崩壊したバランスの先にあるものを描いていたのかもしれない。ヤプール編はメビウスとしてのバランスをまだ維持できていた。しかし過去への傾倒はこのあたりから目に見えて強まってくる。
 30話「約束の炎」でGUYS隊員がミライの正体を知り、タロウにメビウスを地球に留まらせるように懇願した時点で「絆」は完成したと見て良い。

バランスの崩壊、そして・・・
 これ以降のエピソードを見ていると正体を明かしたという特殊性が活かされたエピソードが意外と少ないのに気付く。(活かされたといえるのは「オーシャンの勇魚」くらいか)
 その中で「怪獣使いの遺産」やウルトラマンレオ客演の「故郷の無い男」と過去の遺産への傾斜はさらに強まった。そして「思い出の先生」で過去と現在のバランスは完全に崩壊した。この「思い出の先生」はバランスを取ることを放棄し、「ウルトラマン80第51話」として描ききったことが良い結果を生んだ。そこまで徹底出来ず、無理に旧来のバランスを守ろうとして「絶妙なバランス」ではなく「中途半端なバランス」になってしまっているものが多かったことも指摘しておくべきだろう。
 この時期、もう二つほど指摘せねばならない側面がある。
一つは「絆の完成」によってウルトラマンメビウスを含めたGUYSが個の集団ではなくひとかたまりとなってしまいそれぞれのキャラクターがテンプレート的に見えてしまったことだろう。そしてメビウスも作中でヤプールが指摘した通り、「仲間がいないと何も出来ないウルトラマン」として描かれてしまったこともあわせて指摘しておく。
 
 そしてもう一つは今まで緻密に構成されてきた設定周りに多少雑な部分が見受けられたことだ。「怪獣使いの遺産」は本職の脚本家ではなく直木賞作家の朱川湊人さんが脚本を書いたということを割り引いたとしても首をひねる出来でしかなかったし、設定考証を担当した谷崎あきらさんが脚本を担当したにもかかわらずゴモラの尻尾を念力で飛ばすマックスと同じ過ちを犯した「旧友の来訪」、完全に封印したはずのヤプール復活の事情が「怨念」の一言で片付けられていた事もそうだ。
 これらが評価を一歩落としてしまっているのもまた事実である。

まとめ
 さまざまな感想を書いたBLOGを見ていると絶賛している人もいれば駄作とけなす人もいることは「アクセスワード解析+アフェリエイト」の時に指摘した。駄作とけなす中にはどう見ても感情的な嫌悪感をあらわにしているとしか思えない感想が散見される。
 
 私自身は見てきたようにそれぞれの時期にそれぞれの問題点はあったが、全体的には楽しんでいた。

 嫌悪感を持って、ケチ付けありきの感想を書いている人に対して私は「そんなにいやなら見なきゃいいのに。それはただの利敵行為じゃないか」と思う反面、そういった嫌悪感を持ってしまう気持ちもなんとなく分かる。

 「ネクサス」のスタッフが作っているということから来る偏見、「ウルトラ兄弟」への嫌悪、頼りなく描写されるメビウスなどいろいろ指摘できる部分はある。だがこんなことは瑣末な問題に過ぎない。

 一番の問題は「オタクの傲慢さ」が全編にわたって見え隠れしていたことに起因していたのではないかと思う。自身の知識をひけらかすそういった傲慢さとそりが合わない人にとってはこれは強い嫌悪感を抱くのは当然と言える。

 そしてこの「傲慢さ」こそ同種のお祭り作品である「ゴジラ FINALWARS」や「∀ガンダム」との決定的な差であると思う。
 
 私がそういうことをあまり気にせず(過去のウルトラシリーズにあまり深い思い入れが無いせいかもしれない)に見ることが出来たのは良かったことなのだろうか、それとも何割か損をしているのだろうか。

そして年間を通して「ウルトラマンと人間の絆」という面では一貫していた。最終3部作をそのテーマできちんと纏め上げられた事は評価してしかるべきではなかろうか。

 しばらくTVのウルトラシリーズはお休みするらしい。(メビウス自体は別メディアで少しあるらしい)それが何年くらいになるのかは分からない。そこで私はこの作品に対してはこういう称号を与えたい。
「第2期ウルトラシリーズの、そしてティガから始まる平成ウルトラシリーズの集大成作品」、と。

 こんなくそ長い総括をお読みいただきありがとうございました。