今回の更新はクルシャ君の話題ではありません。
たまにある京都の食事の店の報告みたいなものです。
店の名前は途中で出てきますので、チェックしてください。
暖簾には梅。でも北野ではなく、すこし離れたところ。
六月の終わり、雨が降っていました。
町家の店には坪庭があります。
比較的最近に改装されたらしい店内は、どこも新しく気持ちいい
空気があります。建物も調度も目を留める価値があります。
ですが飼主は、この普通といえば普通の坪庭が好きになってしまって
たまりません。食事よりも坪庭。雨が降っていて昼でも薄暗い町家の座敷
から明るい坪庭を眺めると、雨の水が庭にひたひた流れてきています。
これだけ。
これだけの景色をいい席でずっと眺められたことが何よりです。
もしあなたが京都の町家で食事することに興味があるならば、雨の日に
出掛けてください。夜ももちろん楽しめますが、庭を観るならば昼間です。
小雨より、やや多めに雨が降っているくらいの日が面白いと思います。
雨降りの町家の庭には特別な美しさと優しさがあります。
見飽きるという事がなく、もし見ていなくても雨を受け入れている庭が
傍らにある、というだけで随分と和めます。何も知らずに行くと感動します。
雨の降っている庭は別に珍しいわけでもなく、全国にあるのです。
何も京都の町家の坪庭だけが特別なわけではありません。
雨降りの水の処理も含めて景色と光を部屋に入れる工夫がしてある庭が希有に
思えるのです。
客室には御簾。小さな御簾ですが、最高級品でした。
使い込まれています。最高級の御簾は竹の節を手作業で編みながら
揃えて節だけで斜めに線を出すようにしてあるので、すぐに分かります。
この写真なら分かると思います。
御簾の中に水が流れているような線が浮いているのが見えます。
その脇には大和絵風の屏風。
テーブルで食事です。
豆乳と生麩。
羹には店名の入った蓋にアジサイの花。
こちらも豆乳を使ったスープ。
それに湯葉と生麩の刺身。
お気づきだと思いますが、湯葉と麩だけが出て来るコースなのです。
おそらく八寸。
大豆だけでよくこれだけ工夫するものです。
この生湯葉と野菜は陶板で焼いて食べます。
〆の食事。
夏の町家の小奇麗で薄暗い部屋の一隅がなぜ涼しげなのか、いままで
実感はしてましたが考えた事がありませんでした。
実際、冷たい空気が溜まっていたりするので涼しいのです。
それは、庭の木の下生えの小暗い葉裏の下にある、ひとにぎりほどの空気が
陽射しから守られて涼しげなのに似ています。
水と緑と光。
生活の何処にでも見いだせるものたち。それらと自分がどうつながっていたいか、
よく分かった暮らしをすることが、夏も涼しくできる要領なのかもしれません。
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