花序:散房花序とすべきか集散花序とすべきか迷うところであるが
上右側写真により、散房状の集散花序と整理した。
上:クマノミズキとミズキの冬の枝先
上:裸芽が防寒外皮をつけている例は、オオムラサキシキブでも観察された
クマノミズキ (熊野ミズキ ミズキ科 ミズキ属 学名Cornus brachypoda 落葉高木 花期6、7月 果期10月) 和名は紀伊半島熊野地方に産するミズキの意。ミズキは春先盛んに水を吸い上げ、枝を折ると水が滴ることに由来するといわれる。若い枝に稜があり、葉は対生、葉身は卵状長楕円形、側脈は弧を描き、縁は全縁で波打つ。表は艶のある緑色で、裏面はやや粉白っぽい。枝先に散房状に集散花序を出し小さな白花を多数つける。花序は階段状の枝葉(ミズキ属の特徴)の上に出るので遠目から“みずきの木”であることが察せられる。花弁は4、雄蕊4、太い花柱1。神奈川県では6月後半に開花する。なお、ミズキ(Cornus controversa)の開花は5月10日頃と1ヶ月以上早い。果実(核果)は球形で秋に黒紫色に熟し、果軸は紅く色づく。冬芽(頂芽)は黒褐色の裸芽で小さな筆先状に尖る。側芽は対生する葉腋につくので枝の両側に対生する。冬期には、Y字形になった枝先にそれぞれ先が尖った頂芽がついている姿がよく見られる。
ミズキとクマノミズキの見分けは、葉と冬芽を観察する。葉はミズキが互生し、クマノミズキは対生。両者共に枝先に葉が集まっているので判別し難いが、互生か対生か判然としないようであれば先ずミズキである。長い枝を観察すると、クマノミズキの枝および枝についた葉の対生を容易に観察することができる。冬芽はミズキの頂芽が長卵形で鮮やかな赤紫色をした芽麟に包まれるのに対し、クマノミズキの頂芽は黒褐色の小さく細長い裸芽で先が尖る。
(参考:オオムラサキシキブ 大型果序と冬芽2011-11-25 )