観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「(理系人材と)GX」「北方領土」を考察・纏め予定。放置気味ですが、忘れた訳ではありません。

北朝鮮に関するロシアの外交戦略

2017-09-10 10:46:07 | 政策関連メモ
軍事研究9月号小泉悠氏の北朝鮮に関するロシアの外交戦略の記事を読みました。

ロシアよりにも見える記事ですが、最近のフェイスブック投稿連発でも見られるように安倍首相はどちらかと言えばロシアよりの姿勢で、その意図が分からない人も結構いるかもしれませんが、恐らくこういう情報に支えられているんだろうと思います。そういう訳で記事を検討します。

ちなみに筆者はこれまで北朝鮮問題に関して国際社会が本気で一致して制裁したことがないから、ちゃんと制裁すれば北朝鮮の行動が変わる可能性があるという考え方ですし、とにかく北朝鮮のこれまでの言動から考え北朝鮮を信じるという立場に立ちませんから、まずは国際社会の意図を北朝鮮に伝える必要があると思っていますので、今のところ北朝鮮の核保有を前提にした外交議論に応じるつもりはありません。ただし、可能性を見越して日本の再武装を進めるという議論だけはキッチリ行っていきます。原文をコピペできないので適当に要約します。気になる方は軍事研究をお買い求めください。

ソ連は北朝鮮の建国に関わったものの中ソの間を蝙蝠外交しており東欧諸国のような衛星国であったことはない(183p)

半島人は蝙蝠外交好きですね。歴史的には中国一択にも見えますが、古い時代には日本に頭を下げて蝙蝠していた時期もあります。周辺に比べ弱い国ですから、知恵みたいなものかもしれませんね。問題は韓国が日本をターゲットにして中米蝙蝠をしたことですが、それは何故かは今は問いますまい。日本としてはそんなことは認めないという話です。

1990年に韓国との国交を回復、1996年にソ朝友好協力相互援助条約を破棄、ゆり戻しでプーチン政権下の2000年に露朝友好善隣条約が締結。ゆり戻しの原因は、韓国への接近が極東への投資等の実利に思ったほど繋がらなかったこと、朝鮮半島での影響力が落ちたこと見られているようです(183p)。

韓国への接近は冷戦の終結すぐみたいですね。プーチン氏が欧米でもそれなりに受け入れられた時期もあったように思いますし、ロシアがある程度欧米に近づいていた時期もあったように思いますが、結局拗れて元通りになりつつあるというのが現状だと思います。極東への投資がロシア軟化に繋がる可能性は否定しませんが、ロシアからのメッセージを見るに、ロシア側が本気で日露の関係改善をやるつもりなのか疑ってしまうところがあります。逆も真なりでしょう。日本としては欧州での事例を見ておりサハリン2体験があるから、エネルギー資源には興味はあるけどパイプラインとかロシアにエネルギーを依存するというのは危険だなという意識があります。橋やトンネルでロシアと繋ぐの類も費用対効果の問題がありますし、攻められるという話も出てきますから、そんな提案寧ろ日本を切りに来ているんかな?っていうふうに見えます。安倍政権の投資あたりは収支も考えているように見えるので反対はしていませんが、あまり欧州方面でロシアを強くし過ぎると欧州に睨まれて良くないんじゃないかという懸念があります。日本が出していいお金よりは中国はロシアに払うでしょうからドラスティックな構造転換は期待していないんですが、中国を煽りたいというのが筆者の意図ですね。北方4島はどうかな・・・まぁ良く分かりませんね。ジブラルタルとか香港とかでイギリスが粘るようなものなんですかね?あそこは日本がやらずに発展する場所じゃないと思うんですが。日本もさすがに対日本でしかない戦力を拡充するほどお人よしじゃないと思います。中国が手放した分ロシアが北朝鮮に対する影響力・利権を確保するという構図があるように見えてそれは懸念しています。どっちか降りろよで楔を打ち込みながら基本両方攻めるつもりですね筆者は。どっちかがハッキリ降りれば残された方も降りて北朝鮮問題に一定のケジメがつくと筆者は考えています。

露朝友好善隣条約には相互防衛義務はない。その他軍事面でもロシアは結構北朝鮮に反対してきている(183p~185p)

北朝鮮の体制に本気で関心があるのは中国の方でしょう。中国もそれなりに北朝鮮に反対していますが、結局両国の言動は北の核・ミサイル開発の時間稼ぎにしかなっていません。より懸念されるのは、北朝鮮に技術を流したんじゃないかという疑惑です。北朝鮮は暴露したら結構ポイント高いぜとだけ言っておきます。

経済で支援してきたのは中国(185~186p)

まぁその通りですよね。産業構造から考えて中国以外に北朝鮮を支えられないことも明白ですね。中国にはお得意の北朝鮮の生活レベルにあった輸出用産業とかあるでしょう。ロシア製の民生品が北朝鮮を支えられないこともないんでしょうが、効率は中国より落ちるのは間違いないと思います。

北朝鮮がロシアを脅かすのは本末転倒(186p)

それはその通りですし、ですからロシアも北朝鮮に反対はしてきているのですが、実際の言動は北朝鮮を煽っているようにも見えます。ネットで見ますがロシアの技術を流してロシアが許可しないと発動しないという可能性は考えた方がいいでしょうね。核拡散も西側が困るから西側が譲歩して拡散しないから大丈夫と見切っているのかもしれません。そう考えると北を寝返らすことができれば、またその可能性があるとロシアが認識すれば制裁に本気を出すとも考えられます。6カ国協議はやらずに中露を外して北朝鮮と話し合うぐらいのことは考える必要があるのではないでしょうか?中露がもし制裁に反対したらでいいと思いますが。筆者的には大量破壊兵器がないなら(あるんですが)ICBMはわりとどうでもいい感じですね。イランも結局核をどうにかして落ち着きましたよね。

北朝鮮問題の切迫度が違う(187p)

ヨーロッパの国は良く分かっていない感じはありますよね。プーチン氏が何処まで考えているか良く分かりませんが、諜報専門家がトップというのも前代未聞でしょう。警戒はすべきかなと思います。確信犯かもしれませんし。ロシアの主要な関心は欧州方面でしょうが、我々が欧州を切ってロシアに接近するというシナリオはまず有り得ないと思います。そんなことをしたら欧州が我々(特に日本)を切って中国に近づく口実を与えることになってしまいますしね。中国もそうですがロシアの主たる関心ごとで譲歩せずにどれだけ譲歩を引き出せるかっていう交渉になると思います。中露が言っていることっていうのは結構我々を削ることだったりしますからね。

韓国による再統一の方が極東開発が進んでロシア的に美味しい(187p)

これはまぁそうかもしれませんね。そもそも重心が西に寄りすぎていて極東開発自体無理があるとは思いますが、北朝鮮経済などどうしようもないのであって、かと言って中国にあまり接近しすぎたら吞みこまれる恐れもあって、韓国あたりとインフラを繋いで・・・という発想は有り得なくもないかもしれません。北海道~サハリン(樺太)よりはペイする可能性がありそうです。西側を脅かさない北朝鮮にロシアのメリットはないですからね。下手に軍事国家として成長したらライバルとして邪魔になる可能性もあります。

ウクライナ危機後にロシアの立場が変化(188p~190p)

ウクライナ危機で北朝鮮はロシアを支持したことで、ロシアは北朝鮮を支援する方向性を強めたようです。また、中国もクリミア併合を暗黙に認めたことで、ロシアは北朝鮮に関する中国の立場を尊重するようになったようです。今更ですが、北朝鮮がウクライナ危機でロシアを支持した時、中国がクリミア併合を暗黙に認めた時、もうちょっと欧米方面の中朝に対する問題意識を高めにいった方が良かったかもしれませんね。特に中国は暗黙の支持に止めたことが上手かったと思えます。しかしながら、明示的に支持しなかった以上、ロシアは中国を疑っているということになるとは思うのですが・・・。中ソ対立とかありましたしね。

日本がどれほど経済的な協力を持ち出そうとも東アジアにおける米国のプレゼンスを低下させない限り、北方領土交渉は進まない(194p)

これも今までの言動を見る限りではその通りのように筆者には見えます。ですが、敵基地攻撃能力がない日本が米軍のプレゼンスを下げられないですからね。筆者的に北方4島に特に米軍基地は必要ないとは思いますし、互いに引く形で北東の戦力を南西に移してもいいとは思う(空にする訳にもいきませんが)のですが、ロシアが日本の戦力に危機感を抱いているとは考え難く(日本が戦力特に米軍を北から一方的に剥がすとロシアに攻められる怖れもあります)、中朝支援で間接的に利益を得ているように見えますよね。

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1 コメント

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Unknown (めろん)
2017-09-10 23:15:19
漁夫の利はロシアの得意技というか笑。まぁでもロシアは中国とあれだけ国境接してますから北朝鮮を取り込んで中国包囲網ひきたいのはわかりますが。とはいえ政治体制が違いすぎてムリだろとしか思えない。ならば韓国でとっとと統一して米軍に近くにきてもらえばいいだろとイライラする笑。

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