観測にまつわる問題

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激甚災害による責任者(首長)死亡時の考察

2018-01-28 15:06:02 | 政治システム・理論
私権の制限見送りへ 緊急事態条項で(毎日新聞 2018年1月26日 22時26分)

>自民党憲法改正推進本部(細田博之本部長)は26日の役員会で、大規模災害などに対応する緊急事態条項の創設に関する全体会合を31日に開くことを確認した。執行部は、国民の私権を制限する規定は見送り、緊急時に国会議員の任期を延長することを柱とする案で意見集約を図る考えだ。

緊急時(激甚災害あるいは大規模テロ等)で国会議員の任期延長は有り得る話だと思いますが、まだ十分対応されていないなら、地元の責任者(首長)死亡時の対策を決めておく必要があると思います。

加藤宏暉(ウィキペディア)

>2011年(平成23年)3月11日に東日本大震災が発生した際、町職員らと役場前で対策会議を行っていた最中に襲来した津波に流され、多くの職員と共に行方不明となった。その8日後の3月19日に遺体で見つかり、死亡が確認された。69歳没。

>津波で役場が全壊した上、町長と課長クラスを含む職員多数(当時の町職員136人のうち32人)が死亡・行方不明になったことで、大槌町の行政機能は麻痺状態となった。

>町長が不在になったため、副町長の東梅政昭が職務代理者となった。東梅は加藤の町職員時代の後輩で、定年退職後に加藤の求めに応じて副町長に就任していた。副町長の指名権を持つ町長が空席のため再任はできず、新たな副町長の選任もできないため、東梅は2011年6月20日で任期を満了して退任し、翌21日からは一般職員である総務課長(震災後に課長に就任し、総務部長、町会計管理者を経て2015年に同職をもって辞職)の平野公三が職務代理者となった。

>こうした事態は、町長選挙が実施困難であったため、臨時特例法の適用を受けて延期されたことによって生じた。しかし長引く町長の不在、それに加えて職務代理者の交代は、町の復興の足かせとなり、町民の不安を募らせた。

>町の選挙管理委員会の努力により、町長選挙は8月28日投開票で実施され、碇川豊が新町長に当選した。

地方に限らず、国でも例えばテロで飛行機が落ちれば、トップ及び周辺が一気に欠ける事態も想定されます。意志決定者が欠ける訳ですから、こういう時、意志決定者に権限を集中させることで対応はできません。緊急事態と聞いて気になるのは、どういうふうに誰に権限を移してどう対応するかということになります。選挙どころじゃないことも確かですね。

現状では内閣総理大臣臨時代理は内閣法第9条「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う」との規定に基づき、2000年4月に発足した第1次森内閣以降、組閣時などに内閣総理大臣臨時代理の就任予定者5名をあらかじめ指定(官報掲載)するのが慣例になっているようです。例えば核ミサイルなんかで総理及び5名が全滅した場合には、「他に方法はないし、また、条理上許される」として首相及び臨時代理予定者以外の閣僚による「協議」(首相不在では閣議は開けない)で閣僚の中から内閣総理大臣の臨時代理を指定することができるというのが政府見解なんだそうです。この辺はウィキペディア「内閣総理大臣代理」を参照しただけですが、国に関してはさすがに考えられているのかもしれませんね。

問題は選挙で例えば東日本大震災対応中に選挙は難しいと考えられます。国会の承認を得るのも一案ですが、激甚災害に認定されたら一定期間延長という方法でも構わないと思います。無理な拡大解釈で選挙延長することも難しいと思いますし、仮にやっても印象悪いから選挙不利でしょうし、程度問題ですが一定期間の延長なら国民にダメージもそうありません。普通に考えて反対する人はいないんだろうと思います。これは憲法改正でなくてはなりません。第四十五条が「衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。」で第四十六条が「参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。」だからです。東日本大震災で考えるべきだった当然の改正がなされていないのは、憲法を1ミリも変えさせないぞと頑張っている人がいるからなんでしょう。具体的には第四十五条第四十六条に但し書きを追加すればいいのではないでしょうか?例えば「但し、緊急事態が起きた場合は一定期間任期を延長できる。緊急事態の要件並びに任期延長期間は、法律で定める。」を追加します。

東日本大震災において首長が亡くなる例が発生しましたが、この場合の対応も憲法改正でなければ対応できないと考えます。第九十三条2項は「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。」ですから、首長が亡くなったケースで選挙を経てないものが長になることはできないからです。地方議会は議院内閣制ではありませんから、議員を首長にすることは妥当でないと考えられますし(システムがある程度近いアメリカ大統領の継承順位に関して、議会の指導者らに大統領の職務を執行する資格があるのかという疑惑が指摘されているようです)、現状では地方自治法第百四十一条2項「普通地方公共団体の長は、地方公共団体の議会の議員並びに常勤の職員及び短時間勤務職員と兼ねることができない。」で兼任は禁止されています。現状は首長が亡くなった場合は副市長などが職務代理という形でトップの仕事をしている訳ですが、じゃあ別にそれで構わないというか第九十三条2項の規定は意味がないのかと言えば、そうではないようです。職務代理は職務代理であって首長ではありません。職務代理とは長の職務代理について(大阪府市町村振興協会)を参照すると、>職務代理者が法第152条の規定によって長の職務を代理し得る範囲は、原則として長の職務権限のすべてに及ぶものと解されます。>しかしながら、それは長の職務権限のみを代理するものであって、長の身分なり資格なりをそのまま代理するものではありませんから、長の身分や資格を要件として長に付与された職務権限については、一般的には職務代理者の代理権は及び得ないと解されます。例えば、議会の解散、副市町村長の選任については、職務代理者は行い得ないものと考えられます(行実S30.9.2)・・・ということですから、議会の解散ができないのは激甚災害時はそれどころじゃないですから別にそれでいいですけど、副市長を選べないのが問題だと考えられます。実際に激甚災害時に代理の副町長が任期満了で退任になってしまった訳です。この解決は簡単で地方政府と地方議会の関係は議院内閣制というより、大統領制に似ている訳ですから、大統領制よろしく副市長を市長に昇格すればいい訳です。議院内閣制において首相は議員に選ばれているのですから、代理はあくまで代理として緊急事態を凌いだ後に与党が選びなおせばいい訳です。そういうシステムなのですから是非もなしです。地方の首長は職務代理とか訳の分からないことでお茶を濁さず、ちゃんと副のポジションに人を置いてもしもの時には昇格させればスッキリします。これには憲法改正が必要だということです。具体的には第九十三条2項に「但し、地方公共団体の長が死亡の場合には、副知事又は副市町村長が長となる。」を追加すれば良いと思います。


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