観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「(理系人材と)GX」「北方領土」を考察・纏め予定。放置気味ですが、忘れた訳ではありません。

「無期契約転換ルール」に対する脱法行為とその対策、解雇規制の緩和

2018-01-09 18:55:50 | 政策関連メモ
社説[無期転換ルール]「抜け穴」ふさぐ監視を(沖縄タイムス 社説 2018年1月9日 07:33)

>雇用期間に定めのある労働者が同じ職場で5年を超えて働くと、正社員と同じように定年まで勤めることができる「無期転換ルール」が、ことし4月から本格運用される。

>新ルールを先取りして無期契約を進める企業がある一方、「ルール逃れ」とみられる動きも出始めている。

>厚生労働省の調査によると、大手自動車メーカー10社のうち7社が、再契約までの間に6カ月以上の「クーリング期間」を設け、無期契約への切り替えができないようにしていた。

>職場を離れて6カ月以上の空白があれば、それまでの雇用期間をリセットできるとする労働契約法の悪用ではないか。

>さらに有期契約職員の雇用期間の上限を5年までとする大学や研究機関などもあり、4月以降、大勢の雇い止めが出るのではないか懸念される。

こうやって法の目をかいくぐって、不当な利潤を追求しようとする企業が多いから、人手不足が叫ばれながら賃金が上昇しないとか、無駄に内部留保がたまるってことになるんでしょう。ただ、非正規が全て正規に切り替わったら持たないのではないかと考える企業もあるかもしれません。5年もあったのだから、当然対策が練られておいて然るべきですが、その対策が規制回避なのですから、何をか言わんやです。

これまでにも取り上げてきましたが、解雇規制の緩和はしておくべきでしょう。正社員でも会社の事情に応じて解雇ができないなら、弱い立場の新入りに皺寄せするしかありません。解雇規制に関しては「なぜ日本で「解雇規制の緩和」が進まない? 倉重弁護士「硬直した議論はもうやめよう」」(ORICON NEWS 2018-01-08 09:22)を参照しましたが、>解雇するだけして、企業が金銭を払わないという事態を招くのではないか、という指摘もありますが、支払義務の規定を労働基準法に入れてしまえばいいのです。そうすると、金銭が支払われなかった場合、弁護士に依頼しなくても、労働基準監督署が動くことができます・・・という指摘もあって、乱発を防ぐことは可能であると考えます。筆者も以前「解雇の金銭解決制度と人手不足の解消、賃上げ、経済成長」という記事を書きましたが、解雇の問題は経済問題ですから、お金で解決することをもっと考えるべきでしょう。ここで強調しておきたいことは、少子高齢化社会において、社会全体の流れとして、社員を年功序列で評価して若者を働かせるなんてシステムは維持不可能だということです。これはもはや結論ありきで、無理なものは無理だと言わざるを得ません。社会全体で新卒採用→終身雇用・年功序列で少子高齢化社会を乗り切るアイディアがあるなら、ノーベル賞ものじゃないですか?終身雇用・年功序列は上に優しいルールであることは明らかですが、上が重いまま逆ピラミッドになったら上手くいかないに決まっています。それがバブル以降今ひとつ上手くいかない原因のひとつだと考えます。筆者も努力の大切さを認めないものではありませんが、「mission impossible できないことをやろうとしない」ことも大切なはずです。日経社説「技術革新に合わせた労働政策を テック社会を拓く」(2018/1/9)からの孫引きですが、>リクルートワークス研究所の調査によると、正社員で「継続的な学習習慣のある人」は17.8%にとどまる。自分の将来ビジョンを描き、能力開発に励む人は少数派だ・・・ということのようです。これは正社員になったらもう安全という社会と無関係ではないと考えられます。正社員になっても、継続的な能力開発をしないと、解雇され得る社会にならなければ、能力開発に力を入れる人が増えるはずもありません。自ら能力開発するつもりのある人が増えない限り、生産性革命は掛け声倒れに終わるんじゃないですか?少なくとももう少し解雇規制を緩和した方が、逆説的ですが自分の身は自分で守るで人的資本は蓄積するのではないかとも考えられます。また、その会社で一生勤められないかもしれないという認識が一般的になれば、活気のある業界に移ることを考える人が増えるんじゃないでしょうか?労働市場が流動的になって社員が下手に能力開発すると逃げられるのではないかと後ろ向きのことを考える企業もあるかもしれませんが、企業は企業でコアになる人材はより良い待遇で囲めばいいはずです。そういう動きが広まれば、コアになる人材になろうと能力開発に力を入れる人が増えると考えられます。こういう社会になれば、競争からドロップアウトする人も出てくるかもしれませんが、今時死んでしまうこともないでしょう。高望みしすぎなければいいだけで、それもひとつの生き方だと思います。

クーリング期間や雇用期間の上限を設ければただでさえ低いと指摘される生産性が上がらないことは明らかでしょう。かといって新ルールがなければ、同一労働同一賃金が実現することはありません。「クーリング期間」に関して言えば、空白をリセットできる期間を延ばすとか、リセットを認めないようにするとか、あるいは6ヶ月の空白があれば雇用実績を6ヶ月マイナスして計算するなどの対策が考えられます。雇い止めの懸念に関して言えば、正当な理由無く雇用期間の上限を設けることを違法にすることが考えられるかもしれません。

安倍政権は、同一労働同一賃金の流れを維持しつつ、解雇規制の緩和に踏み込んでいくべきだと筆者は考えます。


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