観測にまつわる問題

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「必要最小限度の実力組織としての自衛隊」の明記案に反対します

2018-02-25 23:40:49 | 政策関連メモ
自民党 首相の指揮権明記へ 文民統制明確化 改憲本部(毎日新聞2018年2月25日 07時30分)

>自衛隊が、9条第2項が禁じている「陸海空軍その他の戦力」には該当しないことを明確にするため、「必要最小限度の実力組織としての自衛隊」と明記する方針。「憲法上保持できる自衛力は、自衛のための必要最小限度でなければならない」との従来の政府解釈を踏まえた表現だ。

「必要最小限度の実力組織としての自衛隊」の明記案に反対します。

理由は解釈変更が難しくなるからです。平和安全法制は憲法解釈を変更して制定しましたが、必要最小限度と明記してしまえば、現状の自衛隊で固定化されてしまい、新しい自衛隊に関する法律等が通らなくなるんじゃないですか?具体的には完全にネガティブリストの行動にするとか、軍刑法を制定するとかそういうことができなくなる恐れがあります。それだったら現行の9条のままにしておいた方が、解釈変更で自衛隊をバージョンアップする余地があって、政策的に望ましいと思います。

憲法9条改正のハードルの高さを考えると、安倍政権で改憲してしまうと、新しい法律をつくりたくなった時に、まず改憲できる状態にないと思われ、単に政策を後退させただけに終わると思います。違法リスクが残るのは問題ですが、自衛隊を凍結する方が問題のような気がします。

だから反対です。

それだったら、9条改憲案は取り下げて他の改憲案に絞った方がいいと思います。

内閣支持率横ばい56% 教育充実の改憲「賛成」72% 本社世論調査(日経新聞 2018/2/25 19:30)

>対照的に賛否が割れたのが9条への自衛隊明記だ。いまの条文を変えずに自衛隊の存在を明記する条文を追加することに賛成は47%、反対が33%と賛成が上回った。支持政党によって賛否の差が大きい。自民党支持層は賛成が67%、反対が17%だが、立憲民主党支持層は賛成が22%、反対が68%と逆の結果になった。

必ずしも明記案が圧倒的優位にある訳ではありません。政策的に後退の恐れがあるわ、世論受けも大してしない、この世が終わるかのように反対する連中がいる、何が悲しくてそんなことをしないといけないんでしょうか?だったら9条改憲は今回は見送っておいた方が、得策だと思いますね。

筆者は護憲派ではありませんが、「必要最小限度の実力組織としての自衛隊」の明記案で国民投票になったら、恐らく反対票を投じると思います。

安倍首相の明記案の賛成に転じた時は、必要最小限度の文言明記を想定してなかったんですよね。素人考えを反省しなければなりませんが、2項削除案に拘った最初の直感が当たっていたような気がしないでもありません。

首相官邸未来投資会議平成30年2月1日

2018-02-25 13:50:10 | 政策関連メモ
一ヶ月近く経っていますが、ふとしたきっかけでこのページを見たので、いろいろ考察したことを書きとめておきます。

首相官邸未来投資会議平成30年2月1日(首相官邸)

>従来の産業分類にとらわれない革新的なビジネスが次々と登場してくる時代に、いわゆる業法のような縦割りの発想に基づく20世紀型の規制システムから脱却し、サービスや機能に着目した発想で捉え直した横断的な制度改革を進めていく必要があります。その先駆けとなるのが規制のサンドボックスであります。この通常国会に法案を提出いたします。

構造改革徹底推進会合「第4次産業革命」会合(第1回)「規制の「サンドボックス」制度について」を読むと、サンドボックス制度による規制緩和で新技術確保・人材確保の競争が始まっているそうですね。サンドボックス制度とは、金融情報サイトiFinance「レギュラトリー・サンドボックス」によると、「一般にレギュラトリー・サンドボックスは、現行の法制度が想定していない革新的な商品・サービスに対して適用され、企業が当局と相談して試験事業を始め、各種問題を「走りながら考える」という仕組みであり、具体的な対象として、フィンテックや人工知能(AI)、個人情報の加工・分析サービス、IoT技術、スマートシティなどが挙げられます。」だそうです。全て有望でしょうが、Iotなんかは特に日本の主力産業工業との相性が良いかもしれません。

デンソーはなぜ工場のIoT活用を急ぐのか 2020年、「ダントツ工場」実現に向けた道筋(日経XTECH 2016/04/22)

伸びている会社というのは、進取の気性に富み、不断の改善をするのかもしれませんね。

IoTによる可視化で経営まで変わる可能性(情報センサー2015年11月号マーケットインテリジェンス)

>IoTによって事前に不良の予兆が分かるとなれば、「壊れない」という品質を突き詰めるよりも、より廉価に作ってフォローアップ体制を充実させるという商品戦略も、採用しやすくなる可能性があります。

今後伸びる日本の会社、それはIotを経営に取り入れられる会社なのかもしれません。こういうのができる経営者っているんですかねぇ・・・。自分では分からなくてもアドバイザーの意見を取り入れることも出来るはずです。経営って現場に細かい指図をする仕事というより、大きな方針をつくる仕事だと思うのですが。

日本は後進国? フィンテックの今と新卒採用(株式会社ディスコ)

>フィンテック業界へ入る場合、就職先はベンチャー企業になることが多いことも認識しておくべきことです。急成長中とはいえ、まだまだ成功できるかどうか分からない業界なのです。

>そういったリスクがある反面、新たな価値を生み出せる仕事であることも事実です。

フィンテック業界は実力があれば、若いうちから活躍できるのかもしれませんね。IT業界だと外資が年功序列ではなく若いうちから活躍できて人気のようですが、そういうやり方が好きで勉強している人・適性のある人はチャレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。仮に上手くいかなくとも身につけた技術・経験は役に立つはずです。

「AI後進国」日本、その原因は行政?企業?国民性? AIや自動運転の分野で日本が大きく遅れている理由を識者に聞いた(IoT Today 2017.11.09)

>「私は、AIを『人工的につくられた知能を持つ実態。あるいはそれをつくろうとすることで、知能そのものを研究する分野』として定義しています。そのため、研究に重きを置く必要があると考えているのですが、日本のAIに関する研究予算は欧米に比べて2桁ほど少ないのです」

>AIを含む情報技術開発の研究予算の少なさは、そのまま研究開発の遅れを招いているという。

>「研究予算の少なさは、行政側、とくに財務省は、テーマの重複を嫌い、切り分けようとします。また、失敗を嫌って短期的成果を求めます。これは“研究”という行為の本質が分かっている人がいないことの表れです。失敗をせずに必ず成功をさせようと思っていたら、大きな研究はできません」

日本がAI後進国と指摘されるのは残念ですね。予算は少なくとも10倍にするべきでしょう。今から最新技術にキャッチアップするのは難しいかもしれませんが、AIは必ず発展するので、日本の研究者が研究することに意義があると思います。過剰な成果主義は研究にはマイナスでしょう。新しいことは誰がやっても成功するか失敗するか分からないのですから、ドンドンチャレンジの数を増やすこと自体が重要です。多分日本の技術がこれまで優位にあったのは、年功序列終身雇用的な安心して研究に打ち込める環境があったことと無関係ではない気がします。

>ドイツが自動運転分野に尽力する理由は、歴史的な事情も含まれる。ドイツでは、速度無制限の高速道路「アウトバーン」の建設が1933年からはじまり、それと連動して、安全技術を核とした自動車技術の開発も進められていたという。

自動運転技術に関して、ドイツがアウトバーンなら、日本は過密・渋滞がキーワードでしょう。道路交通情報通信システム「VICS(ビックス)」と連携するカーナビで、自動的にスイスイ渋滞回避できれば、凄く役に立つのではないでしょうか?(日本から渋滞が消える日は来るのか-東京五輪、IoT、自動運転…その時VICSは(GAZOO)運転が上手な人の基準にあわせていては事故は減りません。画面を見ながらの運転は基本的に危険なはずです(国土交通省「カーナビでわき見事故をおこさないために」によると「アンケート調査によりますと、カーナビを操作中または注視中に、「危ない!」と感じたことのある運転者は3割に達しています。」だそうです)。そう考えると、カーナビの精度を上げていくことが死活的に重要かもしれません。入り口ではなく裏通りに案内されて道に迷うことがあるんじゃないですか。日本版GPSみちびきに期待かも知れません。対応カーナビも出ていますね(みちびきのカーナビ対応商品がこんなに出てる!精度は違うの?反応まとめ FlyHigh!(個人ブログ) 2017.10.10)。過密ということは、歩行者・自転車・バイク・自動車どうしの事故が必然的に多くなります。日本こそが自動運転による事故防止を本気で考えてもいいのかもしれませんね。事故が減ることは経済的にも大いにプラスのはずです。狭い日本車庫入れが苦手な方も現状パーキングアシストがあるようですが、あるいは自動運転で問題解決してしまうのかもしれません。アジアには日本と似た環境の国も多いので、日本の環境に対応した技術が世界に普及し易いかもしれませんね。

世界の「スマートシティ」ランキング、東京が6位に(Forbes 2017/11/13 12:30)

>ランキングの1位はデンマークのコペンハーゲン。東京は6位。台北やソウル、テジョン(韓国)、香港や北京、上海、クアラルンプール、ニューデリー、ムンバイ等もランキング入りを果たした。

コペンハーゲンでは自転車の普及に力を入れているとか(第5回 デンマーク・コペンハーゲン――高い目標掲げ、官民連携で環境技術開発やスマートシティ構築を推進 日経BP 2016.12.26)。これは中々日本ではマネできません。ダガチョットマッテホシイ。日本の地下鉄の利用者数はブッチギリで世界トップです(世界の地下鉄ランキング 図録)(利用者数に比べて総延長は少ないようです)。鉄道+徒歩という環境に優しい視点を取り入れたら、日本が1位になる可能性もあるんじゃないでしょうか?超過密都市だからこそ鉄道が効率的でペイする訳で、自動車が一々大都市を走りまくってはパンクしてしまいます。環境問題の視点から、鉄道+徒歩を特に大都市では促進すると良いかもしれません。大江戸線は赤字が指摘され悪い公共事業のように言われましたが、今は黒字化して利用者も多く造って良かったのではないかと言われているようです(開業26年 都営地下鉄の「苦労人」大江戸線、ついに黒字化? 乗りものニュース 2017.07.22 杉山淳一(鉄道ライター))。新線を可能な限り建設していくといいのかもしれませんね。乗客数が巨大な山手線でも副都心近辺は特に乗客が多く副都心線は大成功しているようです(「いちばん儲けている地下鉄」はどこの路線か 全国各都市の地下鉄「営業係数」を独自試算! 東洋経済online 2016年07月08日)。悪名名高い満員電車を解消していくことが、都市の魅力を上げることにも繋がると思います。五輪には間に合わないでしょうが、五輪後も東京は続きます。

以上でサンドボックス制度に絡む個別の分野の考察を終わります。以下、首相官邸ページに戻って、他の論点を考察します。

>技術革新により通信と放送の垣根が無くなる中で、国民の共有財産である電波を有効利用するため、周波数の割当て方法や放送事業の在り方の大胆な見直しも必要であります。

電波の有効利用で言えば、コミュニティ放送が促進される可能性もありますね。これは地方創生に繋がります。コミュニティ放送は東日本大震災で防災上の役割が認められ数が増えたそうです。 コミュニティ放送における防災時の役割は何か議論して役割を定めた上免許の取得と更新を条件にした上で、成功させる自信がある人にやってもらうのが一番かもしれません。つまり審査してタダで渡すのではなく、最低限の条件をクリアした上で一番お金を出した人にやってもらいます。多少なりとも財政に寄与はするでしょう。

>自動運転時代の交通ルールの在り方、刑事、民事責任の所在はどう在るべきか

ハンドルの無い車で運転者の責任が問われることは有り得ません。最終的には運転という概念そのものが無くなっていくでしょう。整備の責任とか、自動車の製造物責任、歩行者・自転車のマナーなどが事故の時に問われるはずです。歩行者等を検知するセンサー技術が重要になるはずですが、高性能のセンサーが開発されれば、夜間や悪天候時に現状の目視より事故がグっと減る可能性もあると思います。ドローンなんかも自動運転が実現すれば状況が変わる可能性がありますね。船も自動操舵が進めば、海難事故はグッと減る可能性があります。