漂泊亭日乗

英語が不得意なのに、アメリカに来てしまった日本人。彼の眼から見たアメリカ、日本を記しておきたいと思います。

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新幹線大爆破と動脈列島【ネタバレ注意】

2006-07-02 04:30:17 | 日本のテレビ・映画
この記事は思いっきりネタバレをしてしまっているので、観ていない人は読まないようにしていただきたい。

この二つはいずれも昭和50年頃の新幹線が主役の映画である。まだ東北・上越新幹線もできていない。オイルショックによって高度成長が終わり、公害、貿易摩擦など高度成長の矛盾が噴き出していた頃である。

いずれも新幹線を人質(物質か?)に政府を脅迫するというのが話の筋である。

前者は初めから映画企画のようで、特に原作などもないようだが、後者は清水一行の同名の小説が原作となっている。

まずは後者から。これは、新幹線騒音公害に義憤を持った青年が、新幹線の公害対策を講じさせるべく、新幹線運行を盾に政府・国鉄を脅迫するというものである。当時の整備新幹線計画や新幹線に関する技術についても結構調べてあり、小説の方はなかなか面白かった。

映画は、近藤正臣、田宮二郎が主演となっているが、ちょっと地味な感じで映画特有の迫力という面が欠けていたのが残念であった。

これに対し、前者は倒産した中小企業の経営者、左翼崩れ、沖縄から集団就職で東京に出てきたが何事にもうまくいかなかった青年(いわば、当時の負け組の人々)が政府・国鉄から金を奪うために新幹線に爆弾を仕掛けるというものである。話はかなり荒唐無稽なのだが、これでもかという具合に問題が起き、なかなか飽きさせない。

そして、なんと言っても、突っ込みどころが満載なのである。爆弾が仕掛けられた新幹線の先行車が故障するとか、犯人が死んでしまうとか、図面が預けられた喫茶店が火事になってしまうとか、まあ、この辺りは面白おかしくした映画の筋ではあるのだが。

また、リアリティーを考えた上での突っ込みどころも面白い。例えば、

・犯人からの脅迫電話がいきなり鉄道公安本部の長(渡辺文雄)につなげられる点。いくらなんでも担当官がいるだろう。しかも、公安本部に部下らしい者が殆どいないのもおかしい。

・犯人がどうやって新幹線に爆弾を仕掛けたか。これは観ればすぐわかるが、犯人の新幹線への潜入の仕方を考えるとかなり無理がある。

・たまたま犯行現場に居合わせた大学の柔道部員に犯人を捕まえさせようとする警察と長瀞ライン下りの船(長竿で動かす船)で犯人を追う警察。

・総額三兆円のプロジェクト(そもそも、今でも民間企業が三兆円ものプロジェクトを実行することができるとは思えないが)が一回の入札では決まらんだろう。単なるダミーに違いない商社マン(矢野宣)。

・ヘルメットをかぶったまま電話する健さん。

・身代金について、大蔵大臣に電話する官房長官(大蔵大臣もそうだが、まあ日銀総裁ではないだろうか)。

・刑務所に何回も出たり入ったりしていて、住所不定無職という感じなのにしっかり結婚指輪らしき指輪(右手にしているので結婚指輪ではないかもしれないが)をしている藤尾(郷治) 。

・新幹線総局長の大の虫を生かすためには小の虫を殺さなければならないこともある旨の発言の際、「何千万人もの犠牲者」と言っているが、核兵器じゃあるまいし(核兵器でもここまでの被害は出まい)、多く見積もっても1000人だろうと思ったりする。

・散々、中からはドアを開けられないと言っているのに後半ではあっさり開けてしまっている点。

・殺人未遂ではあるが、人殺しはしておらず、単に逃げようとしている犯人を一斉射撃で射殺してしまう警察。

とまあ、細かい突っ込みどころに注目して観るというのも、面白い。

更に、結構、ビッグネームが名前を連ねているが、一瞬しか出ない人々が多いので、これを探すのも面白い(例えば、志穂美悦子、多岐川由美、北大路欣也など)。

上映当時は人気が無かったらしいが、最近、こういうあたりが注目され、特にネット上で人気がある作品である。

いずれの映画も国鉄の協力が得られず、苦労して撮影したようだが、特に前者の新幹線大爆破ではそれがいい味になっている。ちなみに、書くまでもない話だが、これは米映画のスピードのモデルになっているらしい。

名画ではないが、まさにB級映画の「傑作」と言えるのではないだろうか。

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