乱鳥の書きなぐり

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映画『神々の深き欲望』 5★/5 1964年 174分 今村昌平監督 脚本:今村昌平、長谷部慶次  三國連太郎 河原崎長一郎 沖山秀子 松井康子 嵐寛寿郎 浜村純

2023-06-19 | 民俗考・伝承・講演

絵金

 

 

 

映画『神々の深き欲望』 5★/5 1964年 174分 今村昌平監督 脚本:今村昌平、長谷部慶次  三國連太郎 河原崎長一郎 沖山秀子 松井康子 嵐寛寿郎 浜村純

 

 

 映画『神々の深き欲望』を見た。

 映画を見るというよりも民俗学、与那国、説経節の書物を読んでいるような錯覚に陥った。

 

 映画『神々の深き欲望』は南の島という特殊な文化に基づき、それを肯定的かつ疑問視さえも含めて描かれる。

 何につけ民俗学的な要素が満載で、場面場面が面白くてならない。

 

 民俗学の要素の一つで、仮面というもいのがある。

 どこかしこで取り上げられ、また、博物館や宝物館でも仮面は度々取り上げられている。

 それは祭儀であったり祭りであったり伝統芸のであったりと多種多様だが、この映画では私が読んだ書物には書かれてないことが出てきた。

 

 船に乗り、男と女(兄弟)を追いかける。

 あと少しというところで、

「酒を飲め」

「仮面をつけろ」

 

 男曰く

「なんで仮面をつけるんだ。仮面を取れって。誰が誰だか、わからんて(要約)」

と。

 そう、仮面は神になり、また他者になり、仮面の力を借りて自分以上の力を蓄え、制裁することさえできるのだ。

 仮面をつけると誰だかわからない裏返しとして、仮面を待とうものはもはや人間以上なのであるのかもしれない。

 

 島の口減らしとして、ある日ある時、突然に鐘が鳴らされ、綱で引いた田んぼへと、島人は一目散で目指す。

 縄の中には入れなかった者は口減らしのために殺される。

 

 また、妊娠した女は崖から崖に飛ぶように命じられ、崖から落ちるものが後をたたない。

 これで妊婦と赤城の二人の口減らしができる(昔の島の考えであり、私にあらず。)

 以上の二つの話は、学生の頃に与那国島や南の島々について記された本で読んだことがある。

 

 また、夜這いは明治時代など つい最近まで日本の各地で行われていた地方もある。

 映画に出て北島も、またしかり。

 夜這いについては赤松啓介全集や単行本単行本で読んだが、実際に映画で映像として見て見ると、凄まじかった。

 

 巫女や預言者や風邪送りや雨乞いや●根信仰。異質なものに対しての神的力。村八。

 祭り、歌、儀式。夜這いや近親相姦。さけ、仮面の意味合い。海。赤。船。風。

 他多くの風習などが取り上げられ、ずいぶんと興味深い映画であった。

 

 戦地で負傷して下半身が麻痺している。いつも蛇皮線で島の創世紀を弾き語っているという歌う男が随所随所に出てきて、映画を引き締めていた。

 鼻を高く細工師、誰だかわからなかったが、後で調べと、浜村淳であった。

 浜村淳がこんなに山椒のような役目を果たせることを初めて知った。

 この映画では浜村淳の立ち位置は素晴らしかった。

 

 弾き語っているという歌う足の悪い男は、コロのついた車に乗せられ、第三者が遅ておられた。

 その姿は、東洋文庫で読んだ説経節の『安寿と厨子王』を思い起こさせた。

 しんみりとした島唄の調べと内容は、脳裏に焼き付く。

 また時には子供達に大人の関係を真面目に教えていたりとこの男の意味合いは大きかった。

 

 説経節の『安寿と厨子王』を思い起こさせる男は、愛情深き兄弟の意味合いを廃炉げ深めた。

 

 この映画は私にとっては興味深く面白い作品であった。

 期間を置いてもう一度見て見たい。

 民俗学的要素の連続であったので、今回のカレゴリーとしては【映画】ではなく、【民俗学】に含めたいと思う。

 

 

 みなさま、

 いつもありがとうございます。

 今回も見たという簡単な記録だけで失礼致します。

 

 

 

 

 

 

  • 太根吉:三國連太郎
    主人公。島の掟を破る行為をする。
  • 太亀太郎:河原崎長一郎
    根吉の息子。島の古臭い因習から逃れたいと思っている。
  • 刈谷:北村和夫
    東京から来た測量技師。前任の島尻が音信不通だったため、事業継続を検討するために島にやって来る。
  • 太トリ子:沖山秀子
    亀太郎の妹。知的障害がある。
  • 太ウマ:松井康子
    根吉の妹で竜の妾。ノロという巫女に当たる役目を務めている。
  • 竜立元:加藤嘉
    クラゲ島の区長で製糖工場の工場長。
  • 島尻:小松方正
    刈谷の前任の測量技師。東京に妻子がいるにもかかわらず、島の女性と結婚している。
  • 東夫人:細川ちか子
    刈谷の会社の会長夫人。刈谷の義母でもある。
  • 刈谷夫人:扇千景(特別出演)
    刈谷の妻。東夫人の娘。
  • 里徳里:浜村純
    竜や根吉の戦友。戦地で負傷して下半身が麻痺している。いつも蛇皮線で島の創世紀を弾き語っている。
  • 比嘉:殿山泰司
    沖縄本島からの行商人。
  • 麓金朝:水島晋
    竜の部下で漁労長。5年後のクラゲ島の精糖工場長。
  • 土持:石津康彦
  • 山城:徳川清
  • 村の青年:長谷川和彦
    夜這いをする青年の一人。
  • 竜ウナリ:原泉
    竜立元の妻。毎日お祈りをしている。
  • 里ウト:中村たつ
    徳里の妻。5年後のクラゲ島でコカコーラを売っている。
  • 太山盛:嵐寛寿郎
    根吉の父。神に仕える太家の長。自分の娘と近親相姦をして根吉を産ませている。
監督 今村昌平
脚本 今村昌平
長谷部慶次

 

 

 

 

長谷部 慶治とは

  • 長谷部 慶治(はせべ けいじ、1914年10月8日[1] - 没年不詳)は、山形県酒田市出身の脚本家映画監督

    別名義に長谷部慶がある。ただし、録音技師の「長谷部 慶治」は当記事人物ではない、同姓同名の別人である]

長谷部 慶治受賞歴

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