乱鳥の書きなぐり

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『洞窟の壁を埋め尽くす先史時代の手形』から 母親の顔に。楽しいひととき。

2009-06-29 | 民俗考・伝承・講演
 Yahooニュースの『洞窟の壁を埋め尽くす先史時代の手形』が目に飛ぶ込む。

 ナショナル ジオグラフィック(29日14時42分更新)によるもので、
【アルゼンチンのパタゴニア地方にある洞窟「クエバ・デ・ラス・マノス」。名前はスペイン語で“手の洞窟”を意味する。壁一面を埋め尽くす手の跡は、着色粉を手の上から吹きつけて描くステンシルの技法を用いて2500年前に描かれたものだ。このような先史時代の手形は世界各地の岩壁に残されており、最古のものは3万年前にさかのぼるという。】
とのこと。なるほど,洞窟内には手形が無秩序に敷き詰められている。

 では手形はいったいなぜ押されたのか?たまたま本日読み上げた 井本英一先生の『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』(人文書院)に16、7ページにわたって詳しく説明されていたものを読んでいたので,確信はできないがおおよその見当がつく。まちがいかもしれないのでここでは私の考えは省く。



 ところで『洞窟の壁を埋め尽くす手形』は他にも多く見られるとのこと。井本英一先生の『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』によると、

   フランス(カルガス地方)の洞窟では指を切ったもの(中には3本指)も認められる。
   旧石器時代→ 五指を広げた手形(左手が多い)
などがあるという。

 旧石器時代→ 五指を広げた手形(左手が多い)そして今回ニュースに成っているアルゼンチンのパタゴニア地方にある洞窟「クエバ・デ・ラス・マノス」もよく見ると全て指が開いた形の左手が押されている。

 中近東では古くから

   生け贄を殺し,その血で門扉に手形を押す
という風習もあったとのこと。

 手形はインドで特に発達したなど,手形一つをとってもいろいろためになる内容が『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』には説明されており、記録するには分量が余りにも多いので,興味のある方は直接 『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』をお読みいただきたい。



 さて,私的には『手』といえば歌舞伎の『勧進帳』の投げ六法を思い浮かべるふざけた人である。写真上は松本幸四郎丈の手形。娘が東京に行った時,携帯電話で写してきてくれたもの。また,谷川俊太郎のことば遊び

   てとてとてとて てがよんほん
   てとてとてとて わらってる
という言葉も心から離れない。上の言葉を思い出すと、我が子の幼き頃の笑顔を思い浮かべる。多分,今 鏡を覗くと,母親の顔になっているはず。
   


          

           上手形は孝夫時代の仁左衛門丈の手形


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90; 『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』  井本英一 著   人文書院

2009-06-29 | 民俗学、柳田國男、赤松啓介、宮田登、折口信夫
 記録だけ  2009年度 90冊目          



    『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』
    
      


 井本 英一 著   


 1982年6月25日 初版

 人文書院

 335ページ 1600円+税



 三日間、二十時間余をかけて丁寧に井本英一著の『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』を読了。 内容がこく,普通の本の三、四冊分くらいの重厚さ。難しいとことは三度,四度と読んではみたが,何せ阿呆の乱鳥。さて,どこまでわかっているのだか・・・。

 内容が興味のある分野で、非常に面白かった。内容がイラン限定ではなく,ユーラシア全般。日本の民俗学も多く出てきて,関心は高まる一方。読むにつれ、集中の一途。知らないことを少しでも知りたいと思い,満足して読み進む。例が多く引用。まるでポケットの多い魔術師のように,いろいろな分野からいろいろなことを手取り教えて下さるので,知らないことの多い私には面白くて仕方がない。かなりの知識人の方とお見受けした。

 途中 宮田登氏が二度出てくる。二冊とも一様私も読んだ本だったので、飛び上がるうれしさ。著者井本英一先生も宮田登氏を読まれているのかと思うと,なんだか不思議な感覚を覚える。



『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』 は非常に面白かった。イランの遺跡やゾロアスター教,日本の風習などを詳しく書かれている。イランの内容では行った遺跡や拝火殿にも関わらず意味合いや数などを思い出させて下さった。また日本の民俗学関係の記述では,今まで読んだ書物には出てこなかった貴重な内容も多く,とてもためになった。一度きり読むにはあまりにももったいない内容。いずれ折をみて、『死と再生  ユーラシアの信仰と習俗』 においては、ノートをとりながら噛み砕いて読んでみようと思う。








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