自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

科学と野生と競争の思考~人類の幸福を求めて

2017-01-01 16:13:56 | 自然と人為

新年あけましておめでとうございます。
皆々様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

今年こそ明るい希望の年となりますように、「上を向いて歩こう」よと、
11月上旬に松永で畜産システム研究会を畜産システム研究所と共催する予定です。
自然と農業は人類の生きる原点です。お金は貴重な交換手段ですが、借金や欲望のために働く麻薬にもなります。自然と農業が心豊かな地域社会の絆となるための方法を問い続けたいと思います。

昨年末は、宇宙膨張の過程で生まれた地球と生命の歴史について考えるため、資料を準備しておきました。人類の歴史はまだまだこれからですが、まずは、年の初めでもありますから、20世紀以降の科学の発達と戦争の歴史から人類の幸福を考える資料を見つけました。

 映像の世紀プレミアム 第2集 戦争 科学者たちの罪と勇気(動画)
 19世紀後半に発明されたダイナマイト、炭鉱開発や鉄道建設などに使われ、工業の発展に大きな貢献をした。しかしダイナマイトは一方で戦争の道具として利用された。発明者のアルフレッド・ノーベル、ダイナマイトで莫大な資産を築いたノーベルを人はこう呼んだ、死の商人。ノーベルは莫大な財産を投じ、自らの名誉回復のために創設したのがノーベル賞である。

ノーベルの言葉:「この世の中で悪用されないものはない。科学技術の進歩は常に危険と背中合わせだ。それを乗り越えて、初めて人類の未来に貢献できるのだ。」

 20世紀、人類は科学によって劇的な繁栄を遂げた。一方で、科学は戦争の悲劇を拡大した。国家は兵器開発に天文学的予算を投入し、戦場は最新科学の実験場となった。科学は人類に大いなる希望と絶望をもたらした。

アインシュタイン「テクノロジーの進化により文明社会が到来した。しかし、テクノロジーの進化により戦争もまた変わり、各国の関係を根幹から壊すものとなるだろう。どんな科学技術も知性も、ともに栄えるヨーロッパを作るために使われるべきなのだ。」 参考: 人はなぜ戦争をするのか

 アインシュタインがフロイトに「人類は戦争をしないようにできるか」と問いかけたところ「生物には『破壊欲動』が備わっている。だから戦争をやめることはできない」と答えたと言う。人は個人と集団、組織と国に生きている。組織や国の責任者には利己的な言動ではなく、利他的な言動をする責任と義務がある。しかもそれは訓練が必要だが、競争の勝者はその訓練をを経ていない。組織や国の権力を持つ者は利他的に動く訓練の責任と義務が必要だ。

 フリッツ・ハーバーはアインシュタインも認めた科学の才能に秀でた人だった。空気中の窒素からアンモニアを合成する方法を見つけ窒素肥料の生産でノーベル賞も得た。しかし、ナチスドイツの戦争に協力して毒ガスの開発をした。アインシュタインは反対した。妻は反対してピストル自殺をした。しかし、戦争を早く止めさせる方法だとして研究を止めなかった。科学は人間の心を認めないために、悪魔の仕事をしてしまう。その後に歴史的に秀でた科学者であったアインシュタインもフロイトもハーバーもユダヤ人だという理由だけでナチスドイツから追われた。私はこの3人の科学者とともに、ドイツの復興と誇りを取り戻すためにユダヤ人大虐殺を行ったヒットラーのことを忘れない。
 
 一方、レヴィ・ストロースの「野生の思考」は非合理などではなく、科学的な思考よりも根源にある人類に普遍的な思考であり、近代科学のほうがむしろ特殊なものだ、と言う。自然と一体だと考えている彼らの思考から、文明と競争と人類の幸福についても考えたい。
 100分de名著 “野生の思考” 第1回「構造主義」の誕生
 100分de名著 “野生の思考” 第2回 野生の知財と「ブリコラージュ」
 100分de名著 “野生の思考” 第3回 神話の論理へ
 100分de名著 “野生の思考” 第4回 「野生の思考」は日本に生きている


初稿 2017.1.1 更新 2017.6.3 動画アドレス修正