自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

患畜と疑似患畜そして指定患畜について

2010-10-10 15:09:58 | 牛豚と鬼

1.口蹄疫の患畜、疑似患畜および指定患畜の定義

1) 家畜伝染病予防法では、口蹄疫の疑似患畜とは、「患畜である疑いがある家畜および口蹄疫の病原体に触れたため、又は触れた疑いがあるため、患畜となるおそれがある家畜をいう」とし、健康な家畜も疑似患畜とすれば殺処分できることになっています。

2) 特措法ではさらに病原体(空気中に飛散した病原体を含む。)として、疑似患畜の範囲を拡大する意図が伺われましたが、これでは法的根拠が曖昧になるためか、実際には地域指定を殺処分の法的根拠にしました。

3) 特措法を受けて改正された家畜伝染病予防法第17条では、患畜と疑似患畜を患畜等とし、患畜等以外の家畜の殺処分として、感染拡大阻止のために指定地域の家畜を全殺処分して空白地帯つくる予防的殺処分を認め、この地域の殺処分した家畜を指定患畜としました。

 この殺処分の考え方は、感染した家畜と健康な家畜を見分けることができず、ワクチンに対する信頼もなかった20世紀の、「口蹄疫の防疫は殺処分しかない」というドグマに由来しています。

2.手当金

 家畜伝染病予防法では、口蹄疫で殺処分した家畜に対する手当金を第58条に定めています。この中で、患畜は評価額の1/3、疑似患畜は評価額の4/5としています。このことが患畜が確認されても、法的理由で疑似患畜が確認されたと表現していた原因です。
 今回の改正では、特別手当金として患畜は評価額の2/3、疑似患畜は評価額の1/5を加算することになりましたので、患畜と疑似患畜のいずれも評価額が手当金として補償されることになりました。しかし、患畜と疑似患畜を患畜等として、これ以外を指定患畜と区別していますので、指定患畜の手当金についての規定がないように思いますが、指定患畜の殺処分はしないことだと解釈しておきましょう。

3.国際ルール

 口蹄疫の発生や終息の基準となっているOIEコードでは、口蹄疫の患畜の確認を遺伝子検査や抗体検査で確認されたものと定義し、抗体検査や遺伝子検査で感染の拡大の状況を監視し、感染拡大が終息したことの証明として、移動制限していた地域の家畜に患畜が認められないこととしています。この患畜がいないことを証明するために、抗体検査が実施されています。最近の口蹄疫ワクチンはウイルス本体(構造体)を精製して非構造体タンパク質(NSP)を除外していますので、このNSP抗体検査をして陽性であれば、ワクチンを接種していても口蹄疫に感染していることを確認できます。したがってワクチン接種していても、NSP抗体検査で陽性のものを殺処分すれば、清浄国回復が認められます。

 飼育規模が拡大している今日では、殺処分は感染を阻止するより、むしろ拡大させることの方が多いので、最近では健康な家畜まで殺処分する予防的殺処分は禁止すべきだという考え方が出ています。ましてや、ワクチン接種して殺処分することは、科学技術の進歩を無視した野蛮な行為だと断言できます。

4.要望

 日本における口蹄疫の患畜と疑似患畜の定義は曖昧であり、論理的、科学的、そして法的にも矛盾した取り扱いが認められ、殺処分の法的根拠とはならないので、口蹄疫の防疫方針では次の通り定義するのが妥当と思われる。

 口蹄疫のウイルスの遺伝子検査または抗体検査で陽性と認められたものを患畜として取り扱い、患畜と同じ畜房で感染して潜伏期の疑いがある家畜を疑似患畜として取り扱う。
 ただし、感染の可能性があるのは体温上昇等の症状が認められる初期で、血液中に口蹄疫ウイルスが増加して遺伝子検査で陽性と認められる短期間であるので、疑似患畜の殺処分に当たってはこの情報を参考にすべきである。また、患畜を飼育した畜房と隣接した畜房で飼育していた畜群、および糞尿や敷料を介して感染した可能性のある牛群については、速やかに遺伝子検査と体温測定をしなければならない。

 指定患畜として殺処分する条項は廃止すべきである。

資料

1.家畜伝染病予防法

総則 第一章 定義 2条2項

この法律において「患畜」とは、家畜伝染病(腐疽病を除く。)にかかつている家畜をいい、「疑似患畜」とは、患畜である疑いがある家畜及び牛疫、牛肺疫、口蹄疫、狂犬病、鼻疽又はアフリカ豚コレラの病原体に触れたため、又は触れた疑いがあるため、患畜となるおそれがある家畜をいう。

2.口蹄疫対策特別措置法

総則 第一章 2条2項

この法律において「疑似患畜」とは、患畜である疑いがある家畜及び口蹄疫の病原体(空気中に飛散した病原体を含む。)に触れたため、又は触れた疑いがあるため、患畜となるおそれがある家畜をいう

3.宮崎口蹄疫(2010)の疑似患畜と患畜の確定

PCR検査(遺伝子検査)の結果、口蹄疫疑似患畜の確認(2010.4.20)

抗原検出検査(ELISA検査)の結果、口蹄疫(O型)の患畜と確定(2010.4.23)

8例目、9例目及び10例目の確認並びに第2回口蹄疫防疫対策本部の開催について(2010.4.28)

口蹄疫ウイルス(O/JPN/2010)の確認,2~4例目患畜と確定 (2010.5.2)

1~9及び11例目のいずれもO型の口蹄疫であると確定(2010.7.27)

開始 2010.10.10 更新1 2013.2.17 

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1 コメント

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さらに7月27日に、1例目~9例目と11例目を口蹄疫(... (りぼん。パパ)
2010-10-10 16:47:36
さらに7月27日に、1例目~9例目と11例目を口蹄疫(O型)の患畜と確定している。10例目は患畜ではなかったのであろうか>>>>>

10例目は、初めての豚での感染で、川南支所である。
牛と豚の家畜差による感受性の違いからなのでしょうか?確定検査法に、違いが、生じるのでしょうか?

牛と豚でのPCR、エライザの判断方法が違うのでしょうか?
よくわかりません。

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