じいの徒然日記

内野聖陽さんにfall in loveしたじいのおバカな毎日を綴った日記

内野さんメモ

10/14~26 芭蕉通夜舟 東京公演
 ≪地方公演≫
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10/25  映画「八犬伝」公開
11/22 映画「アングリースクワッド」公開

アントニーとクレオパトラ

2010-12-05 23:44:36 | 観劇記
12月2日マチネの観劇記です。

劇場はTHEATRE1010、、、やっぱり遠いよ北千住~~ でも今年はやたら……と言っても3回目か この劇場で観劇している気がします。他にも気になったけど観られなかった演目もあったし。結構 なラインナップなの……か


~あらすじ~

万華鏡のように千変万化する魅力の舞台!
アントニーの偉大さと弱さ、
危険な魔力を秘めた女、クレオパトラ
この二人が織り成す悲劇とは…

舞台はエジプト、アレクサンドリアのクレオパトラの宮殿。ローマではアントニー(平幹二朗)の正妻ファルヴィアが、弟のルーシアスと共に三頭政治を約束したシーザー(和泉元彌)に戦いを仕掛けているというのに、毎日のように饗宴に酔いしれているアントニーとクレオパトラ(松井誠)。さらには新勢力ポンぺーの攻撃により西方ローマの地が危ういと感じたシーザーは、アントニーにローマに戻るよう使者を送る。最初は使者にも会わなかったアントニーだが、正妻が亡くなったという報を聞き、正気に戻り、ローマへ戻ることを決意。反対するクレオパトラに必ず戻ると約束して戻ることになった。

ローマ、シーザーの邸。エジプトでの身勝手な行動でシーザーとの間に確執が生まれてしまっていたアントニーだが悪びれる様子もなく、若きリーダー、シーザーを小僧のように扱う。このままではポンぺーと戦う前に仲間割れが起きると心配したプロキューリアスが、アントニーにシーザーの姉オクティーヴィアとの再婚を提案する。これ以上ない提案にお互い手をとり義兄弟の契りを結ぶのであった。しかしその行動にアントニーのお抱え占い師が異を唱え、ぼんやりとした悪い未来を予言する・・・・。シーザーの傍にいては危ないと急ぎエジプトに戻るように提言するがもう後には引けないアントニーはオクティーヴィアとの再婚をきめてしまう。

シーザーの姉オクティーヴィアとの再婚の報をエジプト、アレクサンドリアで聞き、怒り狂うクレオパトラ。一方政敵ポンぺーと戦いではなく、講和を結んだローマ三執政官。それに納得のいかないシーザーは講和を結んだ筈のポンぺーを裏切り、攻撃をしかけ、盟友を弾劾・幽閉する。それを聞いて怒るアントニーをなだめる為、妻オクティーヴィアは自分がローマに行って真相を確かめに出て行くが・・・・。その隙にアントニーはクレオパトラに招かれるまま、約束を破り、エジプトへ向かってしまうのだった。オクティーヴィアを裏切ったアントニーに怒るシーザー。二人は遂に戦争へ。結果はアントニーの惨敗。
クレオパトラの命乞いをするアントニーにシーザーは・・・・。(以上、「THEATRE1010」HPより)

バリバリ重厚なシェイクスピア劇 と思いきや、なかなか斬新というか……ま、そもそも男性キャストのみで演じられる舞台というところからして面白いな~と思ったのですが、異文化交流だな~と思わせる場面や雰囲気があちこちで まぁそれが良かったのかイマイチだったのかは後ほど。セットは至極フツーで、古代建築に出てくる神殿にあるような柱が数本立てられていて、正統派な古代世界 という感じでセットの転換はなく、ある時はローマ、ある時はギリシャ、ある時はエジプトという。。。描かれる時代は第2回三頭政治辺り……多分(笑)すんごい昔に世界史でやったぞ~~“ス”だらけの名前の人がいっぱい出てきた覚えが 今回もオクティビアヌス・シーザーの姉がオクティーヴィア 男性形と女性形か…ってか嫌がらせとしか思えない命名ですが(笑)まぁイリアス原作を読んだ時の免疫があるのでこの程度なら それにやっぱり若い頭で学習したことは覚えているものですね~~最初はヤバイかも!と思っていた古代ローマの歴史も、忘れかけていた部分はあったけどちゃんとついていけたので それにクレオパトラの方も世界史に残る各時代の有名な女性には昔から興味 だったのでバッチリ♪そうそう、ふと思ったんだけど、このオクティビアヌス・シーザーが後のアウグストゥスで、この人がやった人口調査云々の話がクリスマスでよく読まれるルカ伝の箇所に出てくるのよね~~なかなか絶妙なクリスマス前のタイミング

物語は第2回三頭政治→アクティウムの海戦→プトレマイオス朝エジプト滅亡→ローマ帝国という歴史(クレオパトラ自殺までで幕切れにはなるけど)を縦軸に、アントニーとクレオパトラの蜜月を横軸に展開していきます。シェイクスピアの戯曲なのですが、この作品を観ながらふと思い出したのがマクベス。確か同時期に書かれた作品だったような 状況や意味合いは違うものの自分で自分の身を滅ぼしていくことによって友・仲間を失っていく悲劇性、壮大な歴史を生きる人物たちを翻弄する魔女や占い師の予言という部分が似ている気がしたんですよね~~道化&占い師(演じられた深沢敦さんや光枝明彦さん、良かったわ~)がアントニーの運命を操り、彼の命が尽きた後は今度はオクティヴィアヌス・シーザーにとりついて人生を翻弄しようとする……んだろうな~と想像させるような最後で幕切れ。セリフの中で何度も出てきますが、「裏は表に引きずられ、表もまた引きずられる。運命も然り」……そのままのセリフではないんだけどこんな内容が語られていました。そして「分別と運命は表裏一体」……“運命”と聞いて思わず頭を過ぎった愛しのアキレウス 今回設定されている時代はもっと進んだ時間軸の先にあるけど、イリアスの世界観に何かしら通じるようなものを感じました。セリフの中でも“神の意のままに”的な言い方が出てきたし……神々は出てこなくても見えない力やどうしようもない原始的な衝動に翻弄される人間たちの生/性。これって普遍的な人間の営みなんだろうな~と思わずにはいられないですね~~

最初ら辺に書いたけど、キャストは全員男性 じいの勝手なイメージですが、エジプト側の女性は華奢なお姫様&お付の人という感じではなく、強さや怪しさ、異国情緒が溢れた雰囲気と情熱と冷静を秘めているという感じが欲しかったので、敢えて男性を持ってきたところは良かったですね~~男性が演じる女性ってある部分では女性よりも女性らしくて、良い意味で男性の強さが良い効果をもたらすことがあるので。クレオパトラの侍女役・チャーミアンを演じた松田洋治さん、素晴らしかったですね~~ 大きな歴史のうねりの中に生きる女性の強さ、強かさ、そして相反するとことん“女”である真実、それが表現されていたと思います。そして彼女が仕える女王様、、、さすが大人気の女形役者 初登場シーンで異様な盛り上がりと拍手 ヅカでは慣れていたけど(爆!)……まぁ普段の観客層とは明らかに違っていたので客席の雰囲気も独特というか、こーいうのが大衆演劇っぽいというの……か 確かにシェイクスピア物と相性ピッタリの様式美は素晴らしかったです。見せる/魅せる演技は見事でした。でもね~~ゴメンナサイ 最初は凄いな~~と圧倒されたものの場が進むにつれて……正直に言います、殺意を覚えるくらい受けつけなくなって 和物なホームグラウンド出身ゆえ?どうにも醤油くさ~い演技が鼻につくというか、西洋世界を舞台にした作品には合わないと感じたんです。いかにも大衆演劇的なウケを狙ったような見せ方が何だかな~~と。そしてもう1人、これまた和な世界から来たオクティビアヌス殿もちょっとね~~こちらはセリフ回しもイマイチだったんだけど、これまた狂言を髣髴させる見せ方がどうにも。。。違うジャンルの演じ手による異文化交流、異文化対決。やり方次第ではすんごく面白い化学反応を生み出すと思うんですけどね~~今回は上手くかみ合ってない感じがして残念

アントニーとクレオパトラ、それぞれの主君に仕える側近は振り回されて可哀想 1幕は結構笑えるところもあったりして……優一君演じるイアロス。見せ場は終盤でそれまでは他のミュージカル等々で期待するようなピンで目立つ見せ場はないんだけど、でもね~~1幕冒頭から終始その存在感が良かったと思いました セリフなしなのにアントニーに寄り添う立ち姿と醸し出す雰囲気に思わず目が行ってしまうんですよね~~1つだけ、ここをもう少し頑張ってもらえれば というのがまさに終盤にある最大の見せ場、アントニーが恥を晒さない為にもいざという時は殺してくれと頼んでいたことを告げ今がその時だと言う場面。もうぅ~~イアロス君、ホント良い奴で最後までアントニーを見放さない忠義っぷりにじいは感動しちゃってたので、思わず「自分で死んでくれ、アントニー」と突っ込んでしまったんだけど、そこでもっともっと爆発した感情を投げかけてもらえると緩急がついてもっと良くなってたかも。

そしてそして いかんな~~昔の超年上好みの病気が再発しそうになったじゃないですか あろうことか(笑)平さん演じるアントニーにハートを射抜かれてしまいました イリアス以来2ヶ月ぶりの再会~~相変わらず舞台に出てこられるだけで空気を支配する存在感は神でございますぅ 発せられるセリフの言葉を通して見える作品の世界観と役の心模様には圧巻。そして、、、アントニーの支配的な存在感の中にちょいと懐かしのプリアモス王が見えたような気がしないでもないんだけど、とにかくかっちょいいんですわ。まさにこれぞ大人の男って感じでクレオパトラの気持ちが分かるというか(笑) そして男のだらしなさと英雄的なかっこよさが共存したキャラクター……全く違うけど、どことなくマクヒース的 アントニーの行動を追っていくほどに惹かれているぞ~~自分、みたいな いや~~ホント堪んなかったわ~~ アントニーとクレオパトラ、ただ恋愛に身を滅ぼしたという感じではないと思いました。持っている二面性というのかな~~現実を見つめる冷静な目と恋に溺れる本能的な部分、どちらも真実であり本音というところが、大人の男と女のぶつかり合いと純粋さを含んだ大人の恋愛ということを示しているのではなかろーかと お互いに罵り合う場面があったり見放す場面があったり……でも次の瞬間に熱い抱擁を交わしている。今回はどーにもじい的にクレオパトラがイマイチだったので後半は見ないようにしてたんだけど(爆!)アントニーの生き様を通しつつ2人のやり取りを見ていると、史実?真相??は違うらしいけど、あの有名な「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら~」という言葉が頭を過ぎりそうな、、、そんな気がしました。
コメント
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