フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 7月から9月にかけてのクールのテレビドラマが始まって、約1か月が経ちました。その多くの作品については、前回のこのブログで感想を書きました。今回はそこで書けなかった作品や遅く始まった作品について、取り上げたいと思います。数字はビデオリサーチ社による関東地区のこれまでの視聴率です。

この世界の片隅に (TBS系、日曜21時) 10.9%→10.5%

 この作品については、先週のこのブログで既に書きました。そこでは、今クール作品の中でもっとも期待した作品と書きました。その考えは今も変わりません。ただ、一点論議を呼んでいることがあります。それは、原作であるこうの史代の漫画作品、片渕須直監督による映画作品、そして今回のテレビドラマ化作品の三つの関係です。
 というのは、テレビドラマから映画の製作委員会に向け「Special Thanks」が示されたのに対して、映画の製作員会が「関係ありません」と表明したという出来事がありました。これはとても重要な問題なので、ここでは書ききれません。私は漫画、映画、ここまでのテレビドラマ作品のすべてを見ていて、たしかに映画の影響力が大きかったことは感じられます。ただし、それはテレビドラマの脚本レベルというよりは、映像、演出レベルでの共通性が強いように感じました。



 半分、青い。 
(NHK、月曜~土曜朝8時) 
 恋愛ドラマの北川悦吏子が朝ドラにどのような脚本を書くか。私もたいへん興味を持っていました。たしかに面白いです。従来の朝ドラの枠にとらわれず、北川脚本らしさは十分に出ていますし、時代背景を巧みに取り入れるところなどもさすがです。ただし、後半になって、ドラマの時間を何度もとばす(数年間の出来事を省略して、その何年後…という描き方をする)ことが多いことには疑問があります。テレビドラマに限らず、フィクション作品で時間をとばすことは珍しくはありませんが、度重なると作品がダイジェスト版にように見えてしまい、視聴者は作中の世界に感情移入ができなくなることがあります。1回ならいいのですが、何度も時間をとばすのはどうでしょうか。視聴率は高いので、気になっているのは私だけなのでしょうか。

 ラストチャンス  (テレビ東京系、月22時) 6.1%
 テレビドラマが視聴率をとることが難しくなっているなかで、テレビ東京系が月曜22時に新しいドラマ枠を作ってきました。深夜枠でチャレンジし続けているテレビ東京系が、また新しいことをやってくれたという感じです。テレビ東京系と言えば、ビジネスニュースなどにも力を入れている放送局でもあり、ビジネスをテーマにしたドラマを設定したきたのも、おおいにうなずけるところです。みんなが同じドラマを見る時代は終わりました。最初から視聴者を絞ったドラマ制作というのは、これからのドラマの重要な特徴になっていくのかもしれません。

刑事7人-4 (テレビ朝日系、水曜21時) 11.0%→12.7%→12.4%
 テレビ朝日系で『刑事7人』ときたら、その昔の『七人の刑事』を思い出して懐かしく思っていたら、いつのまにかその『刑事7人』が第4シリーズと、すっかり定番作品になってきました。作品の中心的なコンセプトは変えずに、しかし、メンバーや設定を少しずつ変えていく…というのが、うまくいっているようです。以前と同じような面白さを期待する、以前とは違った面を見てみたいと期待する、という視聴者の相反する期待を受けとめるためには、こうした継続と変化のバランスが必要になっているようです。ただし、毎回1回完結かと思ったら、初回と2回目が連続の1話でした。完結と思って1時間見たら「来週に続く」となるのは、ちょっとキツいわぁ。

 探偵が早すぎる (日本テレビ系、水曜25時) 3.9%→4.2%
 滝藤賢一と広瀬アリスという、今期待される俳優同士の組み合わせ。そして、先週の『絶対零度』に続く、犯罪を未然に防ぐという、通常の事件解決ものの定型を壊す興味深い作りになっています。しかし、しかし…。残念ながらこの演出にはついていけませんでした。関西のこてこてのお笑いも嫌いではないのですが、この作品はそこまでのアホらしさにもならず、単なる大騒ぎにしか見えない場面が多々ありました。これは感覚の問題かもしれませんが、私の笑いの波長には合ってきませんでした。

透明なゆりかご  (NHK、金22時) 4.9% 
 原作の漫画は未見ですが、テレビドラマは実によく出来ています。命について真面目に考えるドラマは近年『コウノドリ』などがあり、おおいに評価されました。『コウノドリ』については『TBSレビュー』(2018年2月4日放送分)に出演してコメントしましたので、ここでは省きます。この『透明なゆりかご』は、『コウノドリ』よりもさらに真面目に作られている分、娯楽性が少なく、ときには見ていてつらくなるほどです。私は何度か書いていますが、NHKは民放と同じようなドラマを作る必要はないはず。この作品のように、民放では作れない作品でこそ、NHKには頑張ってほしいものです。

 dele (テレビ朝日系、金曜23時) 
 これは面白い。というかカッコイイ。言葉では言いにくいのですが、演出のキレが素晴らしい。刑事・警察ドラマのバディものはよくありますが、こちらは死者のコンピュータなどからデータを消す仕事をする二人組。不思議な職業ですが、そこから死者のそれまでの生き方が明らかになっていきます。深夜に実験的な作品を持ってくるのはテレビ東京系が先駆者ですが、近年は『おっさんずラブ』など、テレビ朝日系が深夜枠に力を入れていて、この作品も話題になりそうです。


 これはただの雑談なのですが、小学校も中学校も高校も、みんな夏休みに入っているんですよね。それなのに、大学はなかなか休みになりません。私は、昨日(土曜日)も今日(日曜日)も仕事で出勤していました。あ~あ、早く休みがとりたい…。すみません、これは雑談というよりも単なる愚痴でした。


※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。





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