フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 1月から3月にかけてのクールのテレビドラマが続々と始まりました。まだこれからの作品もありますが、今週始まった主な作品について、簡単な感想を書いてみましょう。数字はビデオリサーチ社による関東地区のこれまでの視聴率です。

 トレース~科捜研の男~    (フジテレビ、月曜21時) 12.3%

 他局で『科捜研の女』が長寿番組として受け入れられているので『科捜研の男』。真似だと思われたっていいじゃないですか。いいものは取り入れる。実に潔いと思います。面白いドラマが制作され、視聴者が喜ぶならそれもありじゃないですか。真実を見抜く鑑定をする真野礼二(錦戸亮)、新米で戸惑っているばかりの科捜研員(新木優子)、科捜研員を見下すベテラン刑事・虎丸良平(船越英一郎)と、キャラクター設定とその対比も明確です。ただ、初回の謎解きで、それまで出てきていない人物が犯人だった、という結末はどうでしょうか。ミステリーの質としては評価できません。しかし、全体としては既視感があるものの、人物関係の構図は実はわかりやすいので、安定感は十分というところです。


 家売るオンナの逆襲    (日本テレビ系、水曜22時) 12.7%

 既視感といえば、こちらはPART2なので当然の既視感。いったん独立した伝説の不動産屋・三軒家万智(北川景子)が、テーコー不動産新宿営業所に帰ってきた。「課長の屋代大(仲村トオル)と結婚しても、「私に売れない家はない」の決まり文句は健在! 庭野聖司(工藤阿須加)は今でも万智を崇拝。まったく家を売れない白洲美加(イモトアヤコ)はバツイチに。足立聡(千葉雄大)も変わらず万智に対抗心を燃やす。そこへ強力なライバル・留守堂謙治 (松田翔太)の登場。こちらも既視感を上手に利用して視聴者を楽しませています。個人的には、ロボットのようだった万智が結婚して、ちょっと色っぽいことをたまに言うのが楽しみです(すみません、ゲスな感想で)。


刑事ゼロ  (テレビ朝日系、木曜20時) 14.7%

 京都府警捜査一課・時矢暦彦(沢村一樹)は優秀な刑事だったが、捜査上の事故のために、刑事になった後の20年間の記憶を失ってしまう、しかし、新人女性刑事・佐相智佳(瀧本美織)の力を借りて、コンビで捜査をして事件を解決していくという設定。なぜ記憶喪失の設定が必要なのか疑問もあります。ただ、時矢に憧れていた女性刑事によって、記憶を失っていた間の知識を補っていくので、そこでコンビの力が必要になるということのようです。初回の話はグロくて気持ち悪かったのと、源氏物語とお香の知識を練り込んだ脚本がややむりやり感がありました。ただ、登場人物は魅力的ですので、事件解決の方の魅力にも期待したいと思います。
 ところで、沢村一樹って前にも記憶喪失になったじゃん、と思ったら『ひよっこ』でした。それは別の作品の話…。でも、同じ俳優さんが記憶喪失という滅多にない病気に続けてなっていると、なんか印象が重なってしまうんですよね。

 スキャンダル専門弁護士QUEEN  (フジテレビ系、木曜22時) 9.3%

 主人公は弁護士の氷見江(竹内結子)。危機管理を担当するのですが、内実はタイトル通り「スキャンダル専門」。コンビの相手が水川あさみ、スタッフに中川大志、ボスがバカリズムと、なかなかの面白いキャストが揃っています。ですが、そのスタッフが活かされていたかどうか。なかなか凝った作りになっているとは思うのですが、今のテレビドラマはスマホやパソコンの影響などもあり、わかりやすくてテンポのよい作品が好まれています。その点では、「わかりやすい勧善懲悪」とか、「したたかな女たちの痛快な活躍」とか、明確なポイントを打ち出す方がよいように思いました。今後の脚本に期待します。


 メゾン・ド・ポリス   (TBS系、金曜22時) 

 今のところ、私の一番のオススメです。新米刑事(高畑充希)が、シェアハウスに住む退職した警察官たちの協力で事件を解決するドラマ。おじさんたち(西島秀俊、小日向文世、野口五郎、角野卓造、近藤正臣)
のしたたかさも痛快ですし、おじさんたちに翻弄される高畑充希もいい味を出しています。今活躍している若手男性俳優は、時代を反映して「イケメン」で「シュッとして」「あっさり顔」で「草食的」。そこへ行くと、さまざまな時代を生き抜いてきたおじさんたちは、もっとキャラが濃い人たちばかりです。『私のおじさん』『柴公園』など、「おじさんもの」ドラマも多いので、ついに「おじさんの時代」がやってきたかもしれません(単なる私の願望か!)。


 3年A組  (日本テレビ系、日曜22時) 10.2%

 教員が学校に爆弾を仕掛け、監視カメラを設置し、クラスの生徒全員を人質にとってたてこもる…って、おいおい、それって漫画かゲームの話かよ、リアリティなさすぎだろう、って見る前には思いました。初回を見ると印象が変わりました。爆弾や監視カメラはちょっと現実離れしていますが、描いている世界はまるで宮部みゆきの小説の映像化のよう。表面には見えない生徒たちの心の奥にあるものが、次第に明かされていく展開に期待を持ちました。面白おかしいゲームの世界とはかなり異なっています。下手すれば陳腐になってしまう題材ですが、主役の菅田将暉の持つ空気感と演技力で、なかなか引き込まれる作品になっていました。ただし、あまり早く謎解きすることは展開上できず、あまり引っ張りすぎると視聴者が飽きる…。どうやって視聴者の関心をつなぎとめていくか、今後の工夫のしどころ
と思います。


※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。



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