フィクションのチカラ(中央大学教授・宇佐美毅のブログ)
テレビドラマ・映画・演劇など、フィクション世界への感想や、その他日々考えたことなどを掲載しています。
 



 村上春樹に関する論文を書きました。次のようなタイトルと掲載誌です。

 村上春樹作品における〈ことば〉と〈他者〉
  ―『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』
 (『国語と国文学』92巻10号、2015年10月)

 内容は、村上春樹作品に登場する作中人物のコミュニケーションのあり方を考察したものです。通常は、村上春樹作品の変化を「デタッチメントからコミットメントへ」ととらえ、1995年の二つの事件、阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件を経て、閉鎖的な人間像から社会とかかわりの強い人間像を描くことに変わっていくと考えられます。ただし、それ以前の『ノルウェイの森』と『ねじまき鳥クロニクル』の差異の中に、村上春樹の作中人物のコミュニケーションのあり方の変化が既に明らかになっていることを重視しました。この差異が、その後の村上春樹作品の変化を先取りしているとも言えます。

 このところテレビドラマ研究の方に研究活動の重点が置かれていますが、文学研究の方でも、まだまだ取り組みたいことがあります。今後も村上春樹研究は続けていくつもりです。



※このブログはできるだけ週1回(なるべく土日)の更新を心がけています。





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