こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『R.P.G』(宮部みゆき)

2015-04-29 | ミステリー、ファンタジー
誰もがなりふりかまわず本当の自分を探しているご時世だ。探すまでもなく、すでに
自分を持っていると自負する者が、それをまっとうするために手段を選ばず、まわり
の者の心情を省みることもないのは、仕方がないことなのか。


 父親がネット上に仮想家族をつくりあげたことが引き金になって、自らが葬られる事件。といっても、
からんでいる人全員に問題があるんだよな、これ。着想はさすがと思ったが、ハラハラドキドキの長編に
慣れたせいか物足りない感じがした。なんだろう、人物の掘り下げ不足?共感できる人がいないというか。
宮部作品って、盗人にも三分の利的な心理描写がひとつの醍醐味だと思うのだけど、今回はそれがあっさ
りしすぎていて入り込めないうちに終わってしまった感あり。冒頭にあげた引用文も、わりとクライマッ
クスなんだけど、う~ん、ドンピシャで同感!ということもないなあ。だって、確かに自分を持っていて
押しが強くてちょっとなあという人も確かに多いけれど、凛と自分を貫く人も多いし、宮部作品の主人公
もけっこう自分を持ったいいヒトだよ?と思ったりして。でも、もちろん、ぐいぐい読めて、小説世界を
堪能できたという意味では楽しかった。

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