こんな本を読みました

気ままで偏りのある読書忘備録。冒頭の文章は、読んだ本からの引用です。

『本所深川ふしぎ草紙』『初ものがたり』(宮部みゆき)

2014-08-25 | 歴史・時代小説
「いつかまた、大川を渡って本所へやっておいで。
今度は、もっときれいなものを見せてやれるよ」


 評判を耳にしつつも、何からどこから手をつけていいかわからず、未読だった宮部みゆきの時代物。
このたび、とある篤志家の友人が段ボールいっぱい貸してくださり、この1年は読むものに困らないかも
よ、というボリュームにほくほく。俄然、読書熱も高まろうかということで、できる限りシリーズまとめ
て読んでアップしていくつもり。まず手にとったのは岡っ引き茂七シリーズ。一作目の『本所深川~』で
は当事者の視点からの事件で、脇にまわっていた茂七が2作目からは主になって話を展開していく。どち
らもいい。2作目はいい具合に登場人物に愛着もわいてくるし、なんといっても謎の稲荷寿司屋台の親父
の存在がいい。その料理がまたいい。いや~いいわ、宮部時代もの。(さっきから「いい」としか言って
いない)。江戸の人情と、人間の業がいいバランスで描かれていて、後味の悪い話もあるのだが、嫌な感
じというより哀感となって残るのはやっぱり宮部さんの人柄なんだろうと思う。
 今回書き出した茂七のセリフもそう。人間の嫌な部分を目の当たりにして人生の辛さを思い切り堪能し
た主人公にかけられた言葉、きれいなものを見せてやれるよ、なんて、なんとも粋じゃござんせんか。
茂七シリーズ、まだ4作ほどあるようなのでいろいろ楽しみだ。

追記・よく調べたらまだ続きは出てないらしい…謎が…伏線が…気になったままかよ~宮部さああ~ん