***彼は誰れ時に魔と再逢***    

新しい小説のタイトルです。「かわたれどきに まと さいほう」と読みます。

■彼は誰れ時に魔と再逢044■

2020年02月27日 | Weblog
「苦しめ苦しめ―。 己の悪戯いたずらがどれ程此の屋このや住人すみびとを苦しめてきたか。 同じ苦しみをからだで知―るーがーよーいー」
家電のコードから、電気ショートが発生したのか火花が散り炎が上がる。
プラグやスイッチからも、トラッキング現象の様な噴き出す火柱。
キッチンのあちこちで火災が起き、さかる炎に煙が巻き上がった。
「まだ抗うか往生際の悪い。 今詫びれば見逃してやると言っているのに、固執して此処で果てるか獣霊けだものれーめ。 しかし其れも又一興いっきょー
爆発により家の柱が軋み、梁に積もった砂埃すなぼこりが降る。
「本物だよ七海。 本物の埃が落ちてきてる。 あの征伐士せいばつしは、録画も録音も出来なかったけど、此の除霊師は本物のゴミ落としてるから本物だよ」
床に積もった土塊つちくれを掬った人差指を次女に突き付け長女が叫ぶ。
「今スマホでも録ってるんですが此の音は本物です幻聴じゃありません音響測定結果を視覚的に表示するアプリでも確認できますほら」
無量塔むらたの腕に獅噛しがみ付いたままスマホを差し出すAD。
確かにスマホの画面に映る除霊師の辺りから、何かしらの音が発生していることをアプリの波形が表していた。
「火も煙も本物よ。 だって熱いし咽るもん」
長女が落ちてきた煤を手に取り次女の顏になする。
呼吸の様に開閉を繰り返す食器棚の周りを、生きているかの如くテーブルや椅子が動き回る。
騒霊現象。
ドイツ語ではポルターガイスト。
「カメラ、もっと寄って撮ってくださーい。 逃げ回る低俗悪霊を捕まえまーす。 本邦初公開ほんぽーはーつこーかーい
幻中まもなかの指示でテーブルに寄るカメラ。
テーブルの脚の辺りで煙が沼田打のたうっている。
「はーいとーらーえーまーしーたー。 悪霊は今、私の手中でーす。 しかし私がこの手を緩めれば再び悪さを始めるでしょー。 さー、10万円。 払いますか、払いません、か」
無量塔と姉妹、円陣を組んで小声で会議。
「払い~~ま~~」
カメラを遮り断ろうとする次女を。
「す!」
長女が突き飛ばした。
「そのまま、掴まえたまま、殺してください。 逃がさないでください。 10万円で足りないならもっと、もっと。 もっと払いますから」
長女は除霊師の腕に縋った。
「はーい毎度まーいーどー!」
爆発音が轟き、姉妹は其の爆風を顔に感じ目を閉じた。

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