かさなるとき

小鉢が４つ
新聞に包んで紐で結んで
けんちゃんが生まれる前から
ちっちゃな食器棚の脇が置き場所
紙袋に他のものと一緒に
他に保管のしようがないうち

とうとうその紙袋に手をかけ
新聞の包みを両手に･･･
夕ごはん準備の母ちゃんの視界の端の
けんちゃん

それダメ！

叫びつつ包みを取り上げようと
駆け寄るうちに
よりによって
床に打ち付けた

あぁ、その音は確実･･･

この話をしたら
一人のおばちゃん

それは親が悪い

誰が悪いかなんて
聞いてない
けんちゃんが悪いなんて
微塵も思ってなかった

私が悪いの？

新聞の包みを開けて
割れ物を片付けている母ちゃんの視界の端の
けんちゃん

食材ストックの箱のフタを･･･
ふーーたぁっ！
かわいく言えばいいのか！？
とつぶやきたくなる声

フタを放り投げて
中身を１つずつ
手にとってはチラ見
そして
放り投げる

いいなぁ～

私もやりたい

割れ物を片付けて
夕ごはんの準備つづき
と台所に立つ母ちゃんの視界の端の
けんちゃん

こたつテーブルの上のものを
ワイパーのごとく
滑り落とす
片っ端からもれなく

けんちゃん
それくらいにしておいて･･･

声をかけるうちに
きれーになったこたつテーブルによじ登る
そして
立つ

そして、ハネル

母ちゃんが降ろしに近付く
両手を差し出すけんちゃんのサイン

とびこむからうけとめてね♪

にっこり

クセになるから抱き抱えて降ろす

不満そうだから抱えたまま
しばらく洗濯物を畳むことにする

なにか勘違いのけんちゃん

母ちゃんから離れて
絵本を持ってくる

いーーーーーーーー！
母ちゃんの手を取り指をつかみ
絵本を持たせる

えほんをよめーーー！と叫ぶ

夕ごはんの準備できず
洗濯物も畳めず
そろそろおむつ替えの時間だと気付く

それもこれも
親が悪い？

今日はあのおばちゃんに打ちのめされた

けんちゃんとの生活は孤独
けんちゃんは悪くない