思い出されるのは、遥かな尾瀬の遠い空なんて、のどかなものではない。
Booじーちゃ。が、初めてイカレた夏のことである。
その当時、我が家で介護する計画はなく、おかんさまが実家(つまりBooじーちゃ。の、家だ)で最後まで面倒を見ようとしていた。
さほど認知症の症状も進んでおらず、日がな一日つきそってなければいけない、というほどでもなかったのだが。
ある日。
おかんさまが畑仕事をしていた時に電話がかかってきた。
親戚の人からである。
「Booじーちゃ。が、同級会があるから駅まで送れって言うんだけど。送って行っていいんかね?」
家の中にいたはずのBooじーちゃ。
いつのまにやら抜け出して。
結構な距離のあるにもかかわらず、その家まで歩いて行ったのだという。
「金を貸してくれ」
「行けばなんとかなる。○○さんにみんな手配してもらってあるんだ」
などというのだとか。
困ったことに、人を動かすという思考能力は残ってるんである。
もちろん、80も過ぎて同級会など開けるわけもない。
亡くなっている人も多い。足腰弱ってベッドから動けなくなっている人がいることぐらいはおかんさまも承知である。
ともかくと親戚の人に車に乗せて連れてきてもらったが、降りようともしないBooじーちゃ。
目の色が変わるというが、こういう時は本当にそうだ。
年のせいで色の薄くなった目は。
その形に切り抜いた金紙をぺたりと貼ったように、ただぎらぎら光るだけで人間の感情がまるで見えなくなってしまう。
なんとかその場はなだめすかして事なきをえたが。
その後もたびたび譫妄症状が起こり、そのたびにおかんさまはてんてこ舞いとなっていった。
長い話だけど、明日も続くかわからないかもよ?
Booじーちゃ。が、初めてイカレた夏のことである。
その当時、我が家で介護する計画はなく、おかんさまが実家(つまりBooじーちゃ。の、家だ)で最後まで面倒を見ようとしていた。
さほど認知症の症状も進んでおらず、日がな一日つきそってなければいけない、というほどでもなかったのだが。
ある日。
おかんさまが畑仕事をしていた時に電話がかかってきた。
親戚の人からである。
「Booじーちゃ。が、同級会があるから駅まで送れって言うんだけど。送って行っていいんかね?」
家の中にいたはずのBooじーちゃ。
いつのまにやら抜け出して。
結構な距離のあるにもかかわらず、その家まで歩いて行ったのだという。
「金を貸してくれ」
「行けばなんとかなる。○○さんにみんな手配してもらってあるんだ」
などというのだとか。
困ったことに、人を動かすという思考能力は残ってるんである。
もちろん、80も過ぎて同級会など開けるわけもない。
亡くなっている人も多い。足腰弱ってベッドから動けなくなっている人がいることぐらいはおかんさまも承知である。
ともかくと親戚の人に車に乗せて連れてきてもらったが、降りようともしないBooじーちゃ。
目の色が変わるというが、こういう時は本当にそうだ。
年のせいで色の薄くなった目は。
その形に切り抜いた金紙をぺたりと貼ったように、ただぎらぎら光るだけで人間の感情がまるで見えなくなってしまう。
なんとかその場はなだめすかして事なきをえたが。
その後もたびたび譫妄症状が起こり、そのたびにおかんさまはてんてこ舞いとなっていった。
長い話だけど、明日も続くかわからないかもよ?