Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

母猿の悲しみ(チギレユキイロウミウシ)

2019-08-06 19:35:41 | ウミウシ

本日台風10号が発生し、これで日本の周辺には8号・9号・10号と、トリプル台風状態になりました。

沖縄島には8号の影響はなく。10号の影響もなさそう。

で、9号は、8日から9日にかけて先島諸島に接近しそうな予報です。

やんばるは、今のところ強風域にかかるかな、どうかな…という感じです。

海はそれなりに荒れそうですが…。

本日はまだ台風感は全くなく、北寄りの風にもかかわらず灼熱~な一日でした。

風は北東。晴天。

■■

『断腸の思い』という表現がありますね。

『はらわたが千切れてしまうくらい辛く悲しい』という意味の言葉です。

これは中国の故事に由来する言葉なのだとか。

晋朝の武将桓温が蜀に行くために船で川を渡っていたとき、彼の従者が子猿を捕らえて船に乗せました。すると近くにいた母猿が、連れ去られた子猿を岸伝いに追いかけだします。百里あまり進んだ所で船が岸に近づくと、泣き叫びながら追い続けていた母猿は船に飛び移りましたが、そのまま息絶えてしまいました。従者が死んだ母猿の腹を割いてみると、その腸がずたずたに千切れていました。

というのが、その故事なのだそう。

母猿には、はらわたが千切れるほどに耐えがたい悲しみだったということなのでしょう。

壮絶すぎる語源ですね…。

ちなみにこの千切れるの千は、千という数字を表しているわけではなく、数が多いことを表しているのだそう。

『千歳』や『千万』の千ですね。

ハリセンボンの千もそうですよね…。

■■

さて…

〈イロウミウシ科アオウミウシ属チギレユキイロウミウシ Hypselodoris babai 19年6月17日 沖縄島安和〉

橙黄色の背面に散在する白色の大きな斑紋が、千切れた雪なのでしょうか…。

学名種小名は『馬場氏の』の意。

後鰓類学者、馬場菊太郎博士への献名です。

馬場菊太郎博士は日本の後鰓類研究の第一人者で、世界中の後鰓類研究者から敬愛されていた人物です。

他界寸前まで研究を続けられ、生涯に記載した新種の数は約112種なのだそうです。

 


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