陽だまりの中のなか

前田勉・秋田や詩のことなど思いつくまま、感じたまま・・・。

牧野孝子詩集『みずとそら』

2017-11-02 | 詩関係・その他

       

 東京練馬在住、牧野孝子さんの詩集『みずとそら』が届いた。秋田の詩誌『日本海詩人』を通じて30年前頃から存じ上げている詩人。面識はないが、その詩の世界では当時から私淑していた。何を?それは、詩句としての独立性とキリリとした在り方。つまりは、言葉の正確さとも言えようか。

  非

 そこにある 気配の遠く
 つたえてくる便りのごとき
 非の象の輪郭から
 きのう受け取った たまゆら

 歪みの血潮を泳ぐ
 一匹の死骸
 ほとばしる文脈の切り口ににじむ
 朝焼けを 日毎
 のみほす虚空の
 永遠の疑問符

 誰でもない誰かの鍵穴にのぞく
 いっときの楽園から
 ひそかに運び出され
 もっとも遠い他者であろう
 自分自身に遡るか

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「秋田の詩祭2017」学ぶ... | トップ | 古書店に並ぶ詩集 ん? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

詩関係・その他」カテゴリの最新記事