陽だまりの中のなか

前田勉・秋田や詩のことなど思いつくまま、感じたまま・・・。

菅沼美代子詩集 手

2017-11-07 | 詩関係・その他

       

 菅沼美代子さんの第5詩集『手』が届いた。菅沼さんは静岡市在住の詩人。
 日常とか物体とか、あえて言えばそうした分類で括ってしまいがちな身の周り。しかし、その根源を私たち
はどのくらい見極め、または自身の感性として受け止めているのだろうか。菅沼さんの作品を読んでいるうち
にそんなことを思った。菅沼さんの世界観が色々な事象を通して読み手の私に伝わってくる。もしかして、後
日読み返してみれば、また少し違った世界が現れるのかもしれない。静かにゆっくりとした気持で読みたい詩
集である。

   鍵
 パタンとドアを閉めれば/鍵を掛けた気になる/わたしたちの家//明けの明星に/見送られ そっと/
 先陣を切って出て行く/父はいちばんの働き者//母は窓という窓を閉め/栓という栓を捻り/鍵という
 鍵を掛けても/まだ 忘れ物がないか振り返る//カレンダーの上を/気ままに滑るように/綱渡りす
 る栗鼠のような娘は/子宮を抱えたまま合鍵を操る//鍵穴隠しをして籠もる息子は/パソコンとケータ
 イがあれば/夢と現のあわいを泳ぐように暮らしている//出て行き 戻って来る/わたしたちの家/疾
 うに さようならをした/祖父は 星になり笑って瞬き/祖母は 月になり笑って見守る//鍵は無くて
 も 音も無く/入ってきては やさしく囁き/ゆっくり肯いては 出ていく//ただいまとおかえりを繰
 り返し/自分の鍵を見つけるまで/わたしたちの家みんなの家

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古書店に並ぶ詩集 ん?

2017-11-07 | 詩関係・その他

       

市内にある某全国版古書店が大好きでよく足を向ける。
 今日は別件があって出かけたついでにその店に行っていつもの書棚の所へまっしぐら。
 と、先日来たときにはなかった見慣れた秋田県関係詩人の詩集が結構な数で並んでいた。ついこの前出版されたばかりのものもある。そして、なんと!ついに私の詩集もようやく古書店デビューしていて嬉しかった。人によっては横流しされた気分でいい気がしないという人もいるらしいが、私は大歓迎。また新しい人へ渡る”可能性”が少しはあるからだ。このまま売れず資源ごみになるかもしれないが、それはそれでもともと同じことだから気に留めない。
 並んでいる詩集からして、これは秋田の方がまとめて手放したものに違いないと感じた。それも、詩の書き手であろう。いつか私も整理しなければならないが、約200冊の詩集と詩関連図書は文学資料館への寄贈が一番いいのか・・・などと思うことがある。断られるのかも?
 今日は、秋田出身詩人の詩集と秋田県現代詩選集’91(手許にあるのだが)の2冊を求めた。

 これから蔵書を手放す人へ一言 ⇒ 中には、所有者の名前(著者が記した贈呈先の名前)が書かれた私信などが入っていたりするので、手放す前に要チェック。

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