悠木さんの第五詩集となる「吉祥寺から」が届いた。写真との”組詩”という編集。表紙も街並みを切り取ったようなモノクロ写真がすっきりとしていて好感。
詩を書くとき、直截的に一人称で自己を表出するかそれとも第三者的な目線で物語風に表現するか、それとも・・・・。この詩集は後者の方と言えようか。物語風で読む側を引き込んで行くから不思議。そしてさりげなく悠木さんの生き方が見え隠れするようでもあり、一気に23編を読み切った。時間をおいてからまた読んでみるが、こんな感覚を感じることは久々である。どこがどうということは後日として、さりげなく表現できる巧さに魅かれた。
「日常の些事を拾い、詩的な構成を試みた作品群である。声高に叫び、拳を振り上げることはしないが、いささかの批評性を看取していただければ嬉しい。」と、あとがきで控えめに記している。印象的だ。