プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 岸辺露伴 ルーヴルへ行く >

2023年06月07日 | ☆映画館で見た映画。
原作はジョジョも含めて未読、ドラマはまあまあ面白かったけど、
実写版映画を見に行くほどか?と自問自答しながら見に行きました。
まあ舞台がルーブルだというから。ルーブルを見たいから行く。

そういう観点からいうと、ちょっと物足りなかったですな。ルーブル成分が少ない。
映ったところは大変美しく撮られていたので堪能したが、時間的には少ないよね。
ルーブルに行くまででも1時間くらいかかった?
で、大事なクライマックスは地下?の収蔵室だし。
あの収蔵室はセットでしょうね。日本の。

しかし絵作りがいちいち素晴らしかった。
まあここまでやっちゃうと若干嫌味になる気もしないでもないけど、
全体的に1カット1カットが美しかった。すごい凝ってるよね。

岸辺露伴のドラマもそうだけど、セットのクラシカルな雰囲気が有難い。
おばあちゃんの下宿も、ルーブルも、露伴の家もみんな好きなテイスト。
こういうの見てるだけで心の栄養。
まあ内容は不気味なわけだが、そことは違う部分で安らぐ。

ドラマと違ってテンポがゆっくりだったよね。
前半はそれが効いてたが、終盤はそれが裏目に出ていたかも。







ネタバレあります。








早い話、何百年か前の因縁噺はなくても良かったと思うの。
パリのカフェで終わっても良かったと思うんだよねー。
まあそうだと全然話が収束せずに終わるのだが、下手にしっかり説明したせいで、
凡百の映画になってしまったというか。

終盤、高橋一生が延々と説明台詞を言わされている感があって残念だった。
仁左衛門が先祖ならまだしも、七瀬が先祖で高橋一生が仁左衛門役をやる意味よ。
これで別な役者が演じたら主役の重みがなくなるが、だからこそ
別の人が演じて、もっとあっさりまとめるべきだったと思うのよねー。

オークションの2人組の片割れが、玄関先でヘブンズドア状態になっていたのは
あれでいいの?露伴が何も言ってないのに?不思議だった。
もう一人の方は巨大ダンプに潰されて死んだけど、「後悔」というキーワードとは
ちょっと繋がらない気がするよなあ。
地下収蔵庫で死んだ消防士も「おじいちゃんが」油をまいた火事で後悔か?と疑問。

まあ話は60点くらいかね。

しかし役者たちはいいよ!
高橋一生はいわずもがな。言わずもがななので割愛する。
白石加代子、久々に見てうれしかったー。この人は最初に見た時にあまりにも
怪演だったせいか、他の役者とは違う存在に感じる。

木村文乃って名前はよく見る役者さんで、何かではちょこっと見たことが
あるはずだが、じっくり見たのは初かもしれない。
知らない女優さんだったので、その達者さに驚いた。

達者といえば、美波という人のフランス語ですよ!
ネイティブに聞こえた。日本語より上手く感じた。
こういうところが映画の格を上げる。

ドラマでは飯豊まりえの俗っぽさはどうなのかと思っていたが、
この映画では、そこが心休まる存在になっていた。
お父さんのエピソードはド直球のいい話で意外だったが、ほろりとしましたね。

まあとにかく全体的に、画面と空気感の作り方は見事でしたよ。
監督えらい。役者たちえらい。


おばあちゃんの黒メガネも。
モナリザ由来の黒のブラウスも。黒いワンピースの方が良かった気がするが。
なぜスカートは別にしたんだろう?
ちょっとした仕掛けが面白かったね。
サモトラケのニケをしっかり撮ってくれたのもありがたかったなあ。
わたしあれ好き。

あ!しかしこの映画には重大な欠点が!
……蜘蛛です、蜘蛛。蜘蛛嫌いな人にはツライよー。
最初から知ってたら見に行かなかったかもしれないな。
そうすると黙っているのが正解なのかもしれないが、先に教えてよ!


コメント
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