そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

9月17日(火)とりこみはつづく

2019年09月17日 | 公開
またの日
「病棟の まどにみおろす をがはには かめおよぎをり 万劫のかめ」
「意識なく 人工呼吸器 とりつけて こを危篤とは いふにぞありける」
「こはしかし なべてのことと おもひなさむ なべてなべての ひとのいきしに」
「病室は 祇園精舎の 無常堂 寂滅為楽と ブザーなりひびく」
「すな時計の すなおちつくす そのまぎは 天地を逆に なさましものを」
「ベルトコンベアーのごとし 完全看護 しにゆくことも すべてシステム」

「心不全 呼吸不全と かかれたる 書面もらひて いへにかへりぬ」
「連休は主治医もゐねば あすまてといはれ むべしとかへりきたりぬ」

「わがおほぢ みまかりしよる うからやから 釈迦入滅の ごとくつどひき」
「さびしさの こみあげたれば わきにふす わぎものからだ いだきしめたり」

またの日
「まだしなぬ ははをうたへば はやばやと くやみをおこす ひとありてをかし」
「病院へ むかふ経路を いくたびも ゆきもどりつつ そらにおぼえぬ」
「肺臓に たまれるみづを ぬきたらば めざむることも あるのかしらん」
「かくて死に ちかくさまよひ こときれず しぶとかりけり 昭和八年」

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