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日本住宅会議など3団体が連続講座第1回「住生活基本法の10年と住宅政策の課題」開催

2016年03月28日 | 法律知識
 日本住宅会議、国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)、住まいの貧困に取り組むネットワークの三団体主催による連続講座第1回「住生活基本法の10年と住宅政策の課題」が、3月26日午後1時30分から台東区・上野区民館において40名の参加で開催されました。
 講演1は「住生活基本法体制の検証に向けて」と題して塩崎賢明日本住宅会議理事長(立命館大学教授)が講演しました。戦後の住宅政策の3本柱が90年代に入り「市場重視・ストック重視」に大きく転換される中で、住生活基本法体制が構築され、住宅のセーフティネット施策は公的賃貸住宅が削減されるなど機能不全の状態にあると指摘しました。

 また、閣議決定された住生活基本計画は、現状の居住貧困(ハウジングプア)の認識が極めて不十分で、家賃補助政策の欠如など要配慮者に対するセーフティネット施策は貧困であると指摘しました。

 講演2は「基本法体制と公共住宅の危機的状況の進行」と題して坂庭国晴住まい連代表幹事が講演。公共賃貸住宅(公営・UR・校舎の賃貸住宅)がこの10年間に5万1039戸削減され、公営住宅の収入基準の引き下げと家賃の滞納で毎年10万人以上の人が公営住宅から追い出されている実態を報告しました。今後の課題として、居住の権利の明確化、公営住宅重視など住生活基本法の全面改正等が指摘されました。

 国土技術政策総合研究所の長谷川洋氏より「住生活基本計画に求められる視点と課題」と題するコメントが報告され、住生活基本計画は市町村には計画策定が義務づけられてなく、公営住宅整備等の事業を実施していない自治体があるなど問題点を指摘しました。

討論では、公営住宅自治会の代表から発言があり、公営住宅の光が丘団地では自治会でアンケートを行い、収入調査でゼロ円から20万円未満が67%を占め、家計が赤字48%を占め、医療費や介護費用など切り詰めながら生活している実態が報告されました。

また、長谷川氏から韓国では若年世帯の住宅政策が少子化の進行で大きなテーマとなり、大学生・新婚世帯・新社会人に対して公的賃貸住宅の供給をすすめ民間賃貸住宅の6割から7割の家賃設定で家賃負担を軽減する「幸福住宅」を政策課題にしていることが報告されました。日本でも若者の居住費の負担の在り方を議論することが重要であると活発な議論となりました。



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