東京多摩借地借家人組合

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大規模災害被災地における借地借家特別措置法案が国会提出 罹災法は廃止に

2013年04月19日 | 地震と借地借家問題
 今年2月に法制審議会で承認された罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する要綱にそって立法作業がすすめられ、新たに「大規模な災害の被災地における借地借家人関する特別措置法案」が4月9日に閣議決定され、国会に提出されました。罹災都市法は廃止されます。

 従来の罹災都市借地借家臨時処理法は第2次大戦後の復興を図るために制定されたため、借家人に優先借地権・優先借家制度などを与え、借家人に強力な権利を認めるものでしたが、同法が改正されないまま東日本大震災を迎え、日本弁護士会等の反対もあって、同法の適用は見送られました。なお、特別措置法案は借地人にとっては災害時に大変大きな影響を与える法律ですのでご紹介します。

①第1条の「趣旨」では、「この法律は、大規模な災害の被災地において、当該災害により借地上の建物が滅失した場合における借地権者の保護等を図るための借地借家に関する特別措置を定めるものとする」とされています。

②特別措置法が適用される場合は、国が特定大規模災害として、政令で指定します。政令においては、適用すべき措置及び地区を指定しなければならないとされています。(第2条関係)

③借地契約の解約の特例(第3条)では、特定大規模災害で借地上の建物が滅失した場合には、政令の施行日から起算して1年を経過する日までに土地賃貸借契約の解約を借地人は地主に申し出ることができます。家の建て替えが困難な借地人は借地契約から離脱する権利を認めています。解約の申し入れから3か月後に借地権は消滅します。なお、政令施行の1年後から借地人と地主が話し合いの上で合意解約することは可能です。

④建物が滅失しても、特定大規模災害として政令指定の日から6か月間は、借地権者は第3者に対抗することができます。6か月以降はその建物を特定するために必要な事項等を土地の上の見やすい場所に掲示する時は、政令の施行の日から3年間は対抗力を認めるとしています(第4条関係)。大都市においては、災害に乗じて土地を買い取る地上げ業者が借地の土地を狙っています。政令適用から6か月間は、掲示がなくても対抗力を認めていますが、6か月後は被災した土地の上に建物が建っていたことを知らせる掲示を行うことが必要です。3年間の内に建物を再築し、登記をしなければなりません。

⑤土地の賃借権の譲渡又は転貸をする場合には、政令施行から1年以内に借地人は裁判所への申し立てにより地主の承諾の許可を求める手続きを行わなければなりません。被災している借地人が行うにはかなり厳しい条件です。(第5条)

⑥被災地短期借地権という制度ができました。政令施行から2年を経過するまでに、政令で指定された地区に所在する土地について存続期間5年以下で契約の更新がない一時使用の借地権で、プレハブ等簡易な建物で仮設店舗や仮設住宅の建設を想定しています。

⑦従前の賃借人に対する通知制度ができました。従前の賃貸人が被災地に新たに賃貸建物を再建し、賃貸借契約の締結の勧誘をする場合には、従前の賃借人の内「知れている者」に対し、遅滞なく連絡し、交渉する機会を与える制度です。通知しないと家主は通知義務違反となります。(東京多摩借組ニュースより)


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