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「囲い屋」に初勧告 「生存権侵害」 大阪弁護士会

2010年04月01日 | 最新情報
路上生活者らを勧誘して生活保護を受けさせ、高額な家賃や弁当の配達サービス代を請求する「貧困ビジネス」をめぐり、大阪弁護士会は30日、大阪市生野区の不動産業者に対して「不当な搾取で生存権を侵害した」と認定し、受給者に利用契約を強制しないよう勧告した。入居者がいた堺市についても「市職員が窮状を放置した」として、人権救済を勧告した。
 同様の手口で利潤を上げる業者は「囲い屋」と呼ばれ、各地で被害が続出している。千葉や埼玉、愛知の被害者を支援する団体などが刑事告発や民事訴訟を起こしているが、人権侵害と判断した弁護士会の勧告は今回が初めて。
 勧告書などによると、生野区の業者は2004年11月、大阪市内で野宿していた男性2人を誘い、堺市で生活保護の受給手続きをさせた後、アパート代4万円と1日2回の弁当代など5万3千円を毎月請求。2人には保護費約12万円のうち2万7千円しか渡さず、「最低限度の生活を下回る生活を強いたのは明らか」と指摘した。
 契約時に弁当の配達などを断った場合、即座に退去することを求める誓約書を書かせていた点については「契約は事実上の強制で解約は不可能になっている」とし、「アパートは出入り自由で門限もない。契約も解約も自由だ」とする業者側の反論を退けた。
 一方、堺市に対しても、入居者が担当職員に「弁当代が生活費を圧迫する。引っ越したい」と再三、訴えていたのに、「やりとりを記録するだけで何の対応もしなかった」と批判。「民間同士の契約」を理由に放置するなどした対応を「業者による人権侵害に加担したともいえる行為」と結論づけた。さらに、転居に必要な敷金の支給を勧告。社会福祉法に基づく調査を実施し、経営の制限・停止を命令することなども要望した。
 大阪、堺両市によると、この業者は両市で計400人以上と契約。賃貸アパートの4畳半~6畳の一間に住まわせ、同じアパートの別の部屋の約2倍に上る家賃を請求したり、入居者の預金通帳などを管理したりしていたことが判明している。竹山修身・堺市長は「勧告を真摯(しん・し)に受け止めたい」とのコメントを出した。(室矢英樹)

(朝日新聞関西 3月31日)
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