東京多摩借地借家人組合

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貸主・借主が破産したときの賃貸借契約関係

2009年08月13日 | 借地借家の法律知識
■賃借人破産の場合

賃借人が破産した場合には,民法旧621 条が,破産法の特則として,賃貸人の解約権を認めていたが,今般の改正に伴い,同規定は削除された。その結果,賃借人の破産の場合についても,破産法53 条が当然に適用され,管財人が解除,契約の履行の選択権を有し,賃貸人からの解約権は認められないこととなった。

■賃貸人破産の場合
賃貸人破産の場合の主な改正点は,①賃借人に対抗要件のある場合の解除権の制限,②賃料債権の処分等の制限廃止,③賃料相殺の制限廃止・敷金の取扱い,
の3 点である。

①賃借人に対抗要件のある場合の解除権の制限改正前破産法において,賃貸借契約に同規定が適用されるか否かについては見解が分かれていたが,破産法56 条1 項において,賃貸人が破産した場合,契約の相手方たる賃借人が賃借権につき対抗要件を備えている場合には,破産法53 条1 項及び2 項が適用されず,管財人による解除選択の対象とならないことが明文化された。

②賃料債権の処分等の制限廃止
改正前破産法63 条1 項は,賃貸人破産の場合において,賃貸人が破産宣告前に賃料の前払いを受け,または賃料債権を譲渡していた(以下,これらを併せて「処分等」という)場合に,破産宣告の時における当期及び次期に関するもの以外はその効果を管財人(破産財団)に主張することができないものとしていた。しかし,現代社会における将来の賃料の経済価値を利用する取引の保護の必要性,及び通常の取引や個別執行の場合の取扱いとの平仄を図る必要性から,破産法は,改正前破産法63 条を削除して,賃料の処分等は,無制限に管財人(破産財団)に対抗できることとした(ただし,賃料債権譲渡については第三者対抗要件が必要である)。

③賃料相殺の制限廃止・敷金の取扱い
改正前破産法103 条1 項は,賃料債務を受働債権とする賃借人からの相殺を当期・次期分しか認めず,ただ,敷金がある場合には,その返還請求権の限度で,当期・次期を超える賃料部分との相殺も認められるものとしていた。しかし,破産法は,賃料の処分等の制限のみならず,賃料を受働債権とする相殺の制限も廃止した。また,破産法は,賃借人は管財人に対して賃料を弁済する際に,敷金の債権額を限度として,賃料弁済額の寄託を請求することができることを明確化した(破70 後段)。

■賃貸人が民事再生・会社更生の場合
賃貸人が民事再生・会社更生の場合においては,各法において従来準用していた改正前破産法63 条,103条が削除されたため,破産の場合と同じく,賃料の処
分等・相殺の制限はなくなった。ただし,破産の場合とは異なり,今般の改正により,相殺ができるのは,手続開始後に弁済期が到来すべき賃料債務のうち,手
続開始時の賃料の6 ヶ月分相当額の限度内のものに制限され,また,相殺されなかった場合には,同限度内の敷金が共益債権化されることとなった(民再92 条2
項3 項,会更48 条2 項3 項)。



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定期借家制度に反対する全国学習交流集会

2009年08月13日 | 定期借家制度
 日本経団連は2009年度規制改革要望で、「定期借家制度の見直し」、「借地借家法における正当事由制度の見直し」を発表し、借地借家法の改悪に向けて「有効な措置を取るべき」と提言しています。また、現在審議中の国土交通省の民間賃貸住宅部会でも「定期借家制度の普及促進が賃貸トラブルの防止や賃貸住宅ストックの向上につながる」の見解を中心的なテーマにしようと、年内に答申をまとめる作業を進めています。こうした動きに連動して、政党の中には総選挙のマニフェストに「定期借家制度の普及推進」を公約に掲げるなど、定期借家制度が住宅政策の大きなテーマになっています。定期借家制度は賃借人の居住や営業の安定を脅かす制度であり、何としてもこうした動きをストップさせなければなりません。定期借家制度の問題点を学習し、借地借家法改悪反対の運動を大いに国民の中に広げていきましょう。

■日時 9月5日(土)午後1時30分開会
■会場 港勤労福祉会館(JR山手線、京浜東北線田町駅西口徒歩5分 地下鉄浅草線、三田線三田駅徒歩1分)
■基調報告 全国公団住宅自治会協議会 多和田代表幹事
■その他各団体の報告
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