東京多摩借地借家人組合

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組合からの通知で敷金17万円全額戻る

2006年07月22日 | 敷金と原状回復
 東京都の賃貸住宅紛争防止条例が平成16年10月1日から施行され、不動産業者は賃貸借契約を結ぶ前に賃貸住宅居住者に①退去時の通常損耗等の復旧は、借主が行うことが基本であること。②入居期間中の必要な修繕は貸主が行うことが基本であること。③賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項。④修繕及び維持管理等に関する連絡先以上について書面を交付して説明することが義務付けられた。しかし、この条例は新規に契約を締結する前の重要事項説明時行われるもので更新契約は対象とされていない。従って、依然として敷金トラブルはなくならない。
 八王子市めじろ台の賃貸マンションを今年2月末で退去した石井なか子さんは、2年前の5月に締結した契約書に「明渡しの際、乙は室内清掃費の負担、畳、襖、クロス張替等を負担する」との特約が記載されている。案の定、退室時の立会いの際、家主から「原状回復特約に基づき全部修理してもらうので、敷金では足りないよ」と言われた。
 石井さんはこのマンションに平成9年に入居し、敷金は家賃の2か月分17万円を預けてあった。畳も1枚分焦がしクロスも一部キズをつけてしまった部分もあるので、少し引かれることは覚悟していたが、敷金では足りないといわれ愕然とした。
 八王子市消費者センターに相談し、東京多摩借組を紹介してもらった。石井さんは3月4日に組合を訪問し相談。不動産業者もこの件では手を引いているとのことで、早速石井さんと組合の連名で家主にあてに敷金17万円の返還を求めて通知した。通知した翌日に家主から石井さんに敷金を返還するとの連絡があり、石井さんの口座に確かに17万円が振込まれ解決した。

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相続でもめないために遺言の方法教えてください

2006年07月22日 | 借地借家の法律知識
遺言は、通常の場合、自筆証書、公正証書又は秘密証書のいずれかの方式によってしなければなりません(民法967条本文)。これらの方式の遺言を普通方式の遺言と言います。このうちどの方式によるかは遺言者が選択することになります。

 自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、自分で印を押して作成する遺言です(民法968条第1項)。例えば、テープレコーダによる遺言は、加除変更のおそれがありますので、一般に無効とされます。
 自筆証書遺言は、いつどこででも、だれに知られることもなく作成することが出来ますし、証人も不要です。費用もかかりません。他方、紛失や改竄などのおそれがあること、方式が不備で無効となる可能性もあること、自分で字が書けない人には作れないことなどの短所があります。封印のされた自筆証書遺言は、家庭裁判所で相続人またはその代理人立会のもとで開封しなければなりません(検認手続き、民法1004条)。家庭裁判所外で開封した場合は、5万円以下の過料の制裁があります(民法1005条)。

 公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の趣旨を伝え、これを公証人が公正証書として作成する遺言です。公証人が作成するので、内容が明確になる可能性が高いこと、原本を公証人が保管するので紛失や改竄のおそれが少ないこと、家庭裁判所の検認を要しないこと、字が書けない人にも作れることなど長所がある一方、公証人が関与するので手続きが煩雑である、手数料がかかる、証人が2名以上立ち会う必要があるといった短所もあります。

 秘密証書遺言は、①遺言者がその遺言書に署名し印を押すこと、②遺言者自身がその証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること、③遺言者が公証人1名及び証人2名以上の前に封書を提出して自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述すること、④公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すことの4つの要件を備えた遺言書です。
 公証人が関与しますが、保管は遺言者自身が行うことになります。公正証書ではないので家庭裁判所に検認が必要となります。署名と押印は遺言者自身が行う必要がありますが、文面は他人が代筆してもよく、印刷したものでも構いません。

 以上のように普通方式の遺言には3つの方式がありますが、一般に使われるのは自筆証書遺言か公正証書遺言の場合が多いようです。
 遺言は遺言者の意思を示すものですが、亡くなってから遺言の解釈を巡って紛争が起きる場合もありますので、内容は明確にしなければなりません。遺言の書き方や方式などで不明の点があれば、お気軽に組合の顧問弁護士にご相談ください。
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