無意識日記
宇多田光 word:i_
 



つまりまとめをまとめると、顔認証デジチケは入場が速くなる位しか我々にはメリットがない(それすら不確か)、仮に抽選当選確率が上がったとしてもそれとわかる程でもないし、仲のいい人たちと一緒に行けそうもない落胆を補う程ではないだろう。チケット代も恐らく(システム導入の為に)幾らかは上がっている。

が、本当の問題はそんな事ではない。「そこまでして何がしたかったのか」が我々に伝わっていないのがいちばんいけない。

高額転売対策だったのだろうか。残念ながら、高額転売にはかなりのニーズがある。社会人の皆さんは同意する人も多かろう、良席をとる為に東奔西走し時間と手間を費やす位ならお金であっさり解決したい、と。足りないのはお金より時間や気力体力なのだから。

若い人たちからすれば傲慢に聞こえるかもしれないが、そもそも「コンサートに行く」というのは娯楽である。行っていい歌を聴いて日々の疲れを癒したい、と思っている人が相当数居る。なのにそのチケットをとる為に多大なストレスを被るのならば本末転倒であろう。相手にサービスしてもらうその対価がチケット代なら、煩わしい購入手順は弊害でしかない。

「その煩雑さのお陰でライト層が物見遊山で応募するケースが減り当選確率が上がる。望ましい。」という見解はその通りだと思う。賛辞を贈るのも無理はない。が、ここでもう一度問いたい。「ここまでしてやりたかったのはこれなのか?」と。

ファンの間に「熱心な人間が当選すべきだ」という空気があるのは間違いない。支配的であるとすらいえる。一方で、アーティスト側は、宇多田ヒカルサイドも同じように考えていたのか? それが今回全くわからないのだ。

例えば、12年前は照實さんが「全席同額はおかしい」とチケット代に序列をつけた。良席高額、他低額。事の是非はともかく、そこにはきちんとメッセージがあった。今回は誰もそれについて語っていない。そこが気に入らない。

最初に、2つの事を区別すべきだと申し上げた。恒久的な顔認証デジチケシステムと、今回に限った対応の仕方と。顔認証の導入が悪い訳ではない(いや問題がある、という意見もあろう事は重々承知の上で言い切る)。それを手段としてどういった目的を達成したかったのかを、誰も語っていないのが問題なのだ。

恐らくだが、「無い」のだと思う。誰かの主導とか肝煎りとか、そういうのがそもそも無いから誰も語れないのだ。

目的なんてまずは何でもいいのである。「兎に角高額転売は悪だ!撲滅してやる!」とかでもいい。私はそれに賛成しないが、ひとつの考え方としてはアリだろう。だが、今回のケースではそういう目的は無かったとわかる。前に指摘した通り、最初に転売と譲渡に関する注意書きがオフィシャルに掲載されたからだ。導入したシステムに自信と誇りをもつのなら、絶対にあんなものの掲載は許さないだろう。オフィシャルが新システムに疑義を持っていると表面するのと同義だからだ。そんな力んだ話をする前に、あれをつぶさに読んだ我々の時間を返してくれ。無駄になった。ほんの数十秒だけどね☆

兎に角総てがちぐはぐなのだ。これも最初の方に書いた。「担当者が不慣れなのだろう」―今でもそうだと思うが、事ここに至ってもツアーコンセプトが見えてこない。一体誰が何を考えているのやら。苦情の窓口を不慣れな担当者さんがやらされているとすれば、あまり言わない表現を使おうか、可哀想だわ。

CDの売り方だって、最初から「顔認証システムなので1枚だけ買ってくれたらいいよ!」と言っておけば前作の『通常盤1形態のみ』同様、大変な好評を貰えた筈だ。徹底して音楽で勝負するブランドとしての宇多田ヒカルの名声はますます高まっただろう。今回のあやふやな売り方は「新システムを隠して複数枚予約させたのか。卑怯な。」という空気に若干なりそうだった。そこまでの悪評には結びついていないからこれはオフィシャルの勝利といえそうだが、わざわざそんな危ない橋を渡ろうとするなよな。

やはり今の体制の中に技術先行で思想皆無な人物が誰か居ると…いやその話はやめとくか。

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