無意識日記
宇多田光 word:i_
 



なんか「割を食ってる曲」が最近気にかかる。代表的なのは、アルバムタイトルトラックとして『First Love』と同じようにアルバム発売後のシングルカットによる大ヒットが目論まれていたのに『FINAL DISTANCE』の登場でなんだか影が薄くなってしまった『DISTANCE』と、シングルCDの一曲目即ち表題曲であるにもかかわらずバラード・ヴァージョンの方が先にドラマで使われダウンロードも先行して発売されてそちらばかり売れてしまってそもそもそういう曲があるということがアルバム『HEART STATION』のラストに収録されるまで忘れ去られていた感のある『Flavor Of Life』の2曲だろう。割を食ってて誠に不憫だ。

どちらも、ポップでライトでキャッチーな曲調をバラードにされたという似た経緯。勿論、オリジナルの方が好きというファンも山ほどいるけれども例えばアリーナでコンサートとなるとどうしても有名な方が選ばれてしまう。『DISTANCE』は、ひとまず『ヒカルの5』で歌われてライヴ・ヴァージョンがオフィシャルに存在するという事で最低限いいのだが、『Flavor Of Life』の方は今後ステージで歌われる日は来るのだろうか? 甚だ心配でならない。

『Passion』のように、別バージョンである『- after the battle -』のアレンジを飲み込んでライヴ・ヴァージョンとして進化し続けた例があるからオリジナルかバラードかという二択のみに落とし込むのは危険は危険なのだが、やはり一度はライヴで披露してくれたらなと思わざるを得ない。

まぁでも、余談になるかもだが、『割を食ってる』のとは違うけど、本当に不憫なのはそもそも存在を忘れ去られている『This Is The One』の収録曲たちだろうね。ヒカルの全米での奮闘を語る記事で何度この名作をまるごと無視したものを目にしたかわからない。一体何なんだあれらは。思い出すだけで憤るわ。

これは、私個人が『Utada In The Fresh 2010』初日公演を観ているので、それらの名曲のライヴ・ヴァージョンを心に刻み込ませて貰ってる以上、義憤というか義務というか、素晴らしい楽曲と素晴らしいパフォーマンスがそこにあった事を無視されるのが我慢ならないという側面もあるのだろうな。

…こほん。落ち着こう。

『DISTANCE』にしろ『Flavor Of Life』にしろ『This Is The One』にしろ、気に入っているリスナー&ファンは何千、何万人も居るはずだ。どうしたって最大多数の声に耳を傾けるのがアリーナ・ツアーの宿命なのはわかってはいるけれど、たまにはこうやって声に出して言わずにはいられなくなるのでした。書いとくもんだよ。書かないよりは、マシなのだ。

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エヴァ縛りだキンハシリーズだというとどうしてもコラボ映像をライブで流したくなりそうなところだが、自分などはヒカルしか見てないのでステージ後ろで何映しててもよく覚えてないのよね。『Utada United 2006』の時も後から「『Letters』の映像ってこんなことになってたのかー」と感心した覚えがある。折角エヴァやディズニーのキャラが乱舞していても観ていない恐れがあるな。

これがLiSAの「紅蓮華」なら相当数期待してコンサートに来る人が居そうな気はするが(かなり適当に言ってますよっと)、ヒカルの場合タイアップは寧ろ向こうも喜ぶケースが大半なので、なきゃないで別にどうということもないのであった。

その点、『Laughter In The Dark Tour 2018』では大画面に映るのが「今のヒカル」オンリーだったからわかりやすかった。皆宇多田ヒカルを観に来ているのだという(当たり前過ぎる程当たり前の)結論がライブスタッフの間で出ているのかもしれない。チケットが偏りのない完全な抽選で誰が来ているかわからない客層であっても、やっぱり「本物の宇多田ヒカルを観る」のは大きいのだなと。

結局タイアップは「宇多田さんが新曲を出しましたよ」というご連絡の媒介手段のようなものであって、「それのお陰で」というのは多分少し違うのだ。「美食探偵 明智五郎」より「サントリー天然水」の方がリーチはずっと大きかったと思うが、歌の売上は逆になっている。歌自体が聴かれてるということで、これはこれで喜ばしい事なのかもしれない。

勿論、カップヌードルを筆頭にタイアップ相手は作品制作自体に影響を及ぼしていて、無関係だとか無意味だとかとは程遠いし縁遠い。ある意味、受け手側よりもヒカル自身の方が大きく意識しているのかもしれないな。

『First Love 〜 Flavor Of Life - Ballad Version -』であれ『First Love 〜 初恋』であれ、この曲順についてヒカルがコンサート中にMCをした訳ではない。ただ順番に歌っただけだ。タイアップ縛りで選曲したとしても、ただ黙っているかもしれない。コラボ映像の映写なんかも必要ないようにも思う。「ガラじゃない」ってヤツですかね。

寧ろ、それが望まれるような新しい特大ヒット曲が出て来たらそれはそれで面白いかなとも思う。となると異なるファン層同士の軋轢なんかが心配になるけれど、ヒットへの記念より懸念が先立つとか贅沢にも程があるわね。そんな話が実際に出来る日々が来たら、それはそれでまた倖せな事なのでしょう。

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