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やる気のない非モテの備忘録

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イニシエーション・ラブ  乾くるみ  うなぎ

2010年07月07日 | 読書感想
イニシエーション・ラブ (文春文庫)
乾 くるみ
文藝春秋

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ひっこみ思案で真面目な大学生の主人公は、付き合いで参加したはじめての合コンで彼女――マユ子に出会う。
週に一度のデートを重ね、次第に仲を深めていく二人だったが……


一見、普通の恋愛小説だが、ラスト数ページのどんでん返しに驚いてもう一度読みたくなる。
という話を聞いたので、読んでみた。
ああ、うん、普通に騙された。
以下、ネタバレはしないが、勘のいい人なら十分なヒントになってしまうので、騙されたい人はこの記事を読む前に本文を読むこと推奨。




で。
どんでん返しというので、きっと○○トリックで、きっと○○と○○は○○なんだろうな、と思っていて、それは当たったんだが、それがなにを意味しているのかがラストまでわからず、わかった瞬間に、クソつまんねーありきたりで安っぽい80年代恋愛ドラマ風ストーリーが、途端に底意地の悪くて生々しい現実の恋愛話に色を変えた。いやあ、これは鮮やか。

先にも書いたが、80年代風ストーリーなのはあからさまにわざとで、なにせ実際に80年代が舞台で、『男女七人夏物語』をはじめ、当時のドラマ、小説などがふんだんに作中に登場し、そしてそれが実はトリックを読み解くヒントにもなっているという、これがうまい。
当時を生きた(といっても小学生低学年だったが)人間として、なんか違和感があると思ったら、そうかそういうことかと読み終わってから手を叩いた。

文庫で読んだのだが、巻末の解説もうまく、そのものズバリのネタバレは避けながら、トリックを知ってから読むと「ああ、あれはそういう意味だったのか」と思えるポイントをうまいことチョイスして遠まわしに解説してくれている。かつ、未読で解説だけ見てもそんなに意味はわからないのがいい。これはミステリーの名解説。

久しぶりにスカッと騙されて「ミステリーに騙されるのもいいもんだな」と思った。
いいトリックというのは、ただの答えあわせじゃなくて、物語の意味自体も変えてしまうんだよな。そこがストーリーテリングにおける、ミステリーの愉しみだね。

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