赤い実

赤い実は　深まる秋を彩り
冷たくなる風に　暖かさを与える
ちょっとだけかじかんだ手でシャッターを押して

秋花火

雨にはじける空を見上げ　大きく花を開く
過ぎていく風に　その花を揺らし
立ち止まり　しゃがみ込み　じっとその花を見つめ

見つめる

カマキリの見つめる空は沈んでいく光
冷たくなった風と　薄い雲に何を思うのか
今日の終わりと　明日の始まりの狭間で

色づく

紅い絵の具をたらしたように　ぽつりぽつりと色づく秋
冷たくなった風が通りすぎていく
薄っぺらい太陽と　寒々しい雲の下で

通り過ぎていく

通り過ぎていく列車はいろいろな人を乗せて
どこか遠くの街へ　僕の知らない場所へ
いつもこの場所から見える景色は変わらず　あの車窓を思う

花開く

花開く秋は　朝の冷たい風の中
つぼみを超えて大輪の花を咲かせ
変わる季節に　次へとつなぐ小さな言葉に

参照：2005年10月28日

雨降る夜

昼間から降り続く雨はまだ止まず
窓の外から響く雨音は　大きくも小さくも
吸い込んだ湿った空気は夜の味がして

月

月が出ていました　薄っぺらな細い月が
冷たくなっていく風と　暗くなっていく空の上で
鋭い月は　夜になる街をゆったりと見回していました

朝の光

差し込む朝の光は濡れた空気を照らし
はき出した白い息が　暖かな陽に揺れる
朝の冷え込みと昼間の暖かさ　秋はゆっくりと深まりながら

水平線

煙る視線の先に水平線
湿った風とぼんやりとした空の下
その向こうに何があるのか　晴れた空を思いながら