久遠の絃

-くおんのいと-
since 2003/9/1
キレイな写真なんていらない。もっと本当の姿が見たい

ついった

いろいろ

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仕切られた海

2007年02月04日 23時00分17秒 | 久遠
ブイで仕切られた海は四角く切り取られ
いつか見た大きな船は ここで何をしていたのか
変わっていく海の底と 変わっていく浜の形とともに
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大きなカエル

2007年02月04日 10時53分00秒 | ことばのうみ
 大きなカエルがそこにいました
 それはそれは大きな口を開けて 僕らを飲み込もうとしているようです。
「さぁどうだい?食べられてみないかい?」
 だらだらとよだれを垂らしながら、大きなカエルは言いました。
「それじゃ食べられた僕らはどうなっちゃうの?」少年は答えました。
 カエルはげろげろと笑います。
「そんなの解りきったことじゃないか。胃の中で消化されて俺の糧になるんだよ」
「そうかそれなら僕らは逃げなきゃならないじゃないか」
 カエルは満足そうに頷きました
「そうだ今更何をいってるんだ。俺はお前を食べるためにここにいるんだ。どうだ?一口食われてみないか」
 そんなとき黙っていた少女が口を開きました。
「なによさっきから聞いていれば勝手なことばかり言って!」
 そういうとカエルがニヤリと笑いました。
「そうさ勝手さ。おまえ達が牛の肉を食べるように俺はお前達を食べる。それなら牛の言い分は聞いたのかい? 食べないでっていってたかも知れないのに・・・・・・ さてそろそろいいかな」
 二人ははっとしました。足が動かないのです。
「はっはっは。おしゃべりが過ぎたようだねやっと固まったみたいだ」
 流れ出したカエルの唾液が二人の足をがっしりと縛りつけています。
「さてそれじゃぁ ゆっくりといただくとしましょうかね」
 少年は言いました。
「お願いだ一思いに丸呑みにしてくれ、痛いのはきらいだ」
 カエルは大きな口を開けてげろげろと笑いました。
「はっはっは。観念したようだな。よろしい、二人とも丸飲みにしてあげよう」
 そういうと大きな大きな口を開けてカエルが襲いかかってきました。赤々とした舌がのびて二人を巻き取り、二人はその口の中へ吸い込まれていきました。カエルが口を閉じたので赤々とした口の中は突然暗くなりました。ぬるぬるねばねばした口の中。そのとき少女が声を上げます。
「今よ!」
 その声にカエルは、はっとして少年は肩に提げていたバッグの中身をあたりにばらまきました。
「な、な、な、なにをした・・・・・・ うぐ・・・・・・ ぺっぺっぺ・・・・・・」
 カエルの口の中は突然激しく揺れ、二人は外にはき出されました。二人のそばにはいくつものヒモのようなものが散らばっています。
 そのヒモのようなものは首をもたげ、カエルに襲いかからんと身構えました。
「な、なんで蛇なんか居るんだよ・・・・・・」
げろげろと力無い言葉を残して身動きがとれなくなってしまったカエル。カエルの背中からは大粒の油がだらりだらりと流れ出してきました。
 少年は誇らしげに言います。
「さぁ、この油を持って帰ろうか。これで薬を作ってもらえば母さんの病気もよくなるね」
 少女が瓶にその油を詰め込みながらいいました。
「でもおかあさん怒らないかな? ”またこんな危険なことしてっ!”って」
「怒られるかもしれないけど、喜んでくれるんじゃないかな? 僕らも母さんがよくなってくれればうれしいし」
 少女が瓶のふたを閉めながら頷きます。
「そうね。喜んでくれるわよね」
 そう言って二人は十分な量を取り終えると、瓶をバックにしまい込み
「じゃぁ、蛇さんあとはよろしくね」
 少年が手を振ると蛇は「シャー」と答えるように、カエルに向き合ったままにらみつけていました。
「ちょ、ちょっと待て、いや待ってください。この蛇どうにかしてくれよ。もう食べようなんて思わないからさ。だからお願いだ。頼む・・・・・・」
 そう言ってカエルが一歩踏み出そうとすると蛇がにらみをきかせます。
 ふたりは何も言わず手を振り街へと帰っていきました。


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