雨を連想する、と君は言った。
一音一音の澄み切った響き。
ここからそこへ、そこからあそこへ、
自由に、優しく、心地よく跳ねていく響き。
アルバム「12」。
初めて君が聞かせてくれた時、
僕は、
一音一音が澄み切った響きを持つそのピアノ曲に耳を傾けながら、
余分なものがない純粋な美を感じ取っていた。
君が「日付が曲名になってるの」と説明してくれた時、
僕らはまだ何も知らなかった。
きのう、「龍一」の訃報を新聞で見て驚いた。
誰の心にも雨が降る。
雨音もピアノの音も一緒になって響き渡る。
あそこからここへ、
そして、ここからはどこへ跳ねていくだろう。