上野みえこの庭

日本共産党熊本市議の上野みえこのブログです。

「後期高齢者医療広域連合議会」・・・活発な論議の行われる、開かれた議会へ

2018-10-01 19:20:58 | 熊本市議会
閉会した9月議会には、「熊本県後期高齢者医療広域連合規約の一部変更について」という、熊本県後期高齢者医療広域連合議会の議員定数や選出する方法を変えるための議案が提出されました。
現行の議員定数32人を45人に増やし、選出は県下45市町村より1名ずつを選出するというものですが、果たしてその内容が妥当なのか、議会の活性化につながっていくのか疑問な内容です。
党市議団として以下の点を指摘し、反対しました。

【変更内容の問題点】
1、人口約74万人の熊本市と、県下でも一番人口の少ない五木村979人では、756倍もの差がある。県下の各種広域連合や一部事務組合または他の後期高齢者医療広域連合においては、構成団体の人口で選出する議員数を傾斜配分することが、当たり前に行われている。市町村ごとの選出数には傾斜配分を行うべき。
2、各市町村で後期高齢者医療制度の事務を執行する立場にある首長が、広域連合では議決や執行部のチェックにあたる議員となる点について、県下の一部事務組合では関係市町村長を議員から除き、組合議員は関係市町村議員から選出するとしたところもあるので、後期高齢者医療広域連合でも、議会の議員は各市町村議員が務めるべき。
3、個人推薦で議員なった議員以外は、これまでの議会で誰も発言していない。今回の変更では、個人推薦がなくなるので、果たして選ばれた議員で活発に議論が行われるのか疑問。

【変更をすすめるプロセスの問題点】
1、構成団体の議会や広域連合議会への説明・意見聴取を欠いている。
2、今回の変更案は、過去、2010年にも提案されたが、苓北町議会が否決し、規約改正は執行されなかった。いったん議会で否決されたものが、正式文書もないまま、口頭だけの要望で具体化されているのは問題。しかも、4団体の要望には、2010年になぜ否決されたのか、その検証・検討の状況も見えず、検証不十分な提案となってる。

熊本県後期高齢者医療広域連合は、一般会計ならびに特別会計を合わせれば年間約2,880憶円の予算を執行していく特別地方公共団体です。その議会が、議会のたびに2人しか発言しない、全員揃った議会が開かれないというのではいけません。現行の広域連合議会の問題点を明らかにしないまま、ただ定数を増やす、選挙制度を変えるでは、民意も反映されず、広域連合議会の活性化にも繋がりません。
超高齢化の時代を迎え、高齢者分野の課題は重要。県後期高齢者医療広域連合でも、より活発な論議の行われる、開かれた議会となっていくことが必要です。

以下が討論の内容です。


<討論全文>
議第254号「熊本県後期高齢者医療広域連合規約の一部変更について」賛成できない理由を述べ、反対討論を行います。
 今回提案されている熊本県後期高齢者医療広域連合規約の一部変更は、熊本県後期高齢者医療広域連合議会議員の定数および選出方法を変更するもので、議員定数を32人から45人へと増やし、任期を2年から市長村長又は市町村議会議員の任期・4年へと変更、選出方法も団体推薦と個人推薦によるやり方から各市町村議会での選挙によって選出する方法へと変えるものです。
 まず、変更内容の問題点について述べます。
第1に、議員定数を45人へと増員する点については、すべての構成市町村の住民の意見が制度に反映できるようするというのが理由です。45市町村の代表で議会を構成するということを否定するものではありませんが、各市町村から1名ずつという定数の決め方が妥当であるかという点では疑問です。人口約74万人の熊本市と、県下でも一番人口の少ない五木村979人では、756倍もの差があります。これだけの人口格差がある中、全く傾斜をつけないやり方は、平等に民意を反映するとは言い難いのではないでしょうか。県下の各種広域連合や一部事務組合または他の後期高齢者医療広域連合においては、構成団体の人口で選出する議員数を傾斜配分することが、当たり前に行われています。すべての構成団体から議員を選出し、制度へ正確な民意を反映させるというのであれば、市町村ごとの選出数には傾斜配分を行うべきです。
第2に、今回の変更がなされても、首長も議員として選出できます。各市町村で後期高齢者医療制度の事務を執行する立場にある首長が、広域連合では議決や執行部のチェックにあたる議員となることが妥当だと言えるのかも疑問です。県下の一部事務組合では関係市町村長を議員から除き、組合議員は関係市町村議員から選出するとしたところもあります。こういうやり方こそ適切ではないでしょうか。
 第3に、私はこの間、後期高齢者医療広域連合議会議員を務めてまいりました。任期2年も残すところわずかです。私は、毎回の議会で議案への質疑や討論、そして一般質問を欠かさず行い、議員としてのチェック機能を果たしてきました。しかし、個人推薦で議会に送っていただいた私ともう1名の町村議会代表の議員以外は、どなたからも、ただの一度も発言はありませんでした。会議録のある平成24年第1回定例会からの議会では、発言しているのは、4団体推薦ではなく個人推薦によって議員となった人ばかりでした。今回の変更では、個人推薦による議員への道も閉ざされます。また、議員全員が揃って開かれた会議も一度もありませんでした。すべての市町村から議員を選出して、すべての議員が発言するならば、民意の反映した活発な議会と言えるでしょうが、今回の規約変更による選出方法や定数の変更で、果たして、そのような議会になりえるのか、大いに疑問です。
熊本県後期高齢者医療広域連合は、一般会計ならびに特別会計を合わせれば年間約2,880憶円の予算を執行していく特別地方公共団体です。その議会が、議会のたびに2人しか発言しない、全員揃った議会が開かれないというのは問題です。現行の広域連合議会の問題点を明らかにしないまま、ただ定数を増やす、選挙制度を変えるでは、民意も反映されず、広域連合議会の活性化にも繋がらないと考えますので、今回の変更案には賛成できません。
次に、今回の変更を進めるにあたってのプロセスに関する問題点です。
今回の変更案については、事前に構成団体である県下各市町村の議会に意見が聞かれていません。後期高齢者医療広域連合の構成団体は、県下の45市町村で、市長村長と議員によって議会は構成されています。それを踏まえるならば、構成団体の議会に説明や意見聴取を行うことなく、変更案立案し、提案するというのは問題です。
 そして、当の広域連合議会においても、今期議員を務めている議員に対して事前の説明も意見聴取もなく、今年2月の議会に、執行部側の一方的な提案という形での説明でした。
 このように、構成団体の議会や広域連合議会への説明・意見聴取を欠いたやり方は、極めて不十分で、かつ乱暴な進め方ではないかと思います。
 また、今回の変更案は、過去、2010年にも提案されましたが、県下市町村の同文議決にあたり、苓北町議会が否決し、規約改正は執行されませんでした。いったん否決された規約改正案が、8年後となる今年、再度提案されている訳ですが、今回の変更案提案にあたっては、2016年に口頭で4団体から、2008年、2009年と同様の要望があったことが、理由とされています。いったん議会で否決されたものが、正式文書もないまま、口頭だけの要望で具体化されているのも問題です。そして何より、4団体からの要望には、2010年になぜ否決されたのか、その検証・検討の状況が見えず、検証不十分な提案と思われます。
 以上述べてきたように、今回の変更案の提案は、内容においても、プロセスに関しても、問題があり、到底頷けません。
超高齢化の時代を迎え、高齢者に関する問題の検討や検証はますます重要となってきています。それだけに、県の後期高齢者医療広域連合の運営についても、安心の医療を提供できるような広域連合となるよう、広域連合議会がより活発な論議の行われる、開かれた議会となっていくことが必要です。そのための改革が行われていくことを求め、今回の規約変更案についての反対討論といたします。
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