こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

本当の孤独とは

2007-06-06 22:16:50 | モラハラエッセー(離婚後)
 今日、仕事のことで本社に出向き用事を済ませて帰ろうとしたら、営業から帰ってきたばかりの先輩胡桃さんにばったり会った。「あら、ウメさん今日はどうしたの~?」「A企画のことで資料を届けにきたんです」「急いで帰らなくてもよかったら、ちょっとだけお茶飲まない? 私も喉かわいたし~」というお言葉に甘えて、休憩室でコーヒーを入れてもらった。
 胡桃さんは、もう40才過ぎているが、3才と7才の子持ち。だが、だんなさんが家のことも協力的なので、仕事を続けている、うらやましいキャリアウーマンだ。
 
 コーヒーを飲みながらなぜか老後の話しになった(最近こんなんばっか!)。「私の知り合いの男性で、仕事はばりばりだけど結婚もしないでひとりでいる人がいるんよね~。でも家事もけっこう自分でできるし自分なりに生活楽しんでるから、あんまり人付き合いしなくても平気って言ってるんよ。でもそれって寂しいんじゃないかと思ってたんやけど…」
 ひたすら聴き入る私。
「私なんて、子どものママ友から仕事関係から、夫の家族から、いろんな関係があって、ちょっとややこしいけど、その方が年取っても寂しくないんじゃいかって私は思ってたわけ。でも年取ったらそうそう出かけるのもおっくうになるし、人間関係ややこしいのはかなわんし。もしかしたらひとりで楽しめる人の方が、年取ってひとりになっても全然平気で暮らしていけるのかもしれへんね~」
 そこではじめて私は大きくうなずいた(←自分を思った・笑)。
「むしろ、ひとりでもそれなりに生活を自分で楽しんでる彼の生活スタイルの方が、老人になっても全然平気なんじゃないかな~、なんて思っちゃった。きっと年取ってもひとりで何かと楽しんで暮らせる気がする~」
「そうですよね~、私もそう思いますよ~~」強くうなずく私(爆!)。

 高齢者の自殺やうつが問題になっていた頃、東北のある地区に住む高齢者達に、自殺を考えたことがあるとか、うつ症状の有無に関する調査結果を聞いたことがある。家族と暮らしている高齢者と、独居の高齢者とどちらが自殺が多かったか。

 答は専門家の予想を超える衝撃的なものだった。
実は、家族と同居している高齢者の方が自殺率がずっと高かったのである。
 この調査では、家族の中で遠慮し、孤立し、居場所を失う高齢者がいた。身内の中にいながら孤立を感じるよりもひとり生活を好きに送っている人の方が、うつも自殺も少なかったのだ。

 家族の中の孤独。夫婦の中の孤独。
身内の中にいる孤独はまた厳しいものがあることを、私は身をもって知っている。
「家族こそ理解し合える、支え合える」という幻想。「夫婦だからこそわかりあえる」という幻想。
 家族だから、誰よりも厳しく、きつく、怒りを、恨みをぶつけてしまう。夫婦だからこそ、「理解しないおまえが悪い」と、あからさまに憎しみをぶつけ、自分の思いや期待を相手に押しつけようとする。そして自分の欲求を満たさない相手(妻or夫or子or親)が悪いんだ、自分の言うことを聞かない奴は、懲罰を与えるのが当然だ、と、そこは世にも残酷な拷問部屋となってしまう。外には届かない悲鳴、心の叫び。そして、『家族なのだから、いつかはわかりあえるはず』『夫婦なのだから、理解し合わなければいけない』『家族なのだから我慢しなければいけない』、という呪縛に苦しみ、徐々に自らを失う苛酷な日々。

 もちろん、温かい家族も多いだろう。お互いに喧嘩したり泣いたりしながらも、思いやり、お互いが支えとなり、家族はいい、としみじみ噛みしめる家族。家族への賛歌、母親への思慕は歌になり文学になり、心の拠り所となる。

 しかし…家族でいること自体がとても苦しく、お互いが無理している家族も多い。暴君がいて、他の家族はじっと我慢している、という場合もある。絶えず怒りに怯え、顔色を窺いながら息を詰まらせる夫婦、親子がいる。

 ひとりで生きる力があるのなら、苛酷な環境からは一刻も早く離れた方がいい。家族の欲望を優先して、自分の魂が息も絶え絶えになっているのなら、思い切って飛び出してみるといい。
 はじめはひとりでいることの不安に戦くかもしれない。寂しさに打ちひしがれるかもしれない。
 しかし、すぐにひとりで生活する平安に気づくはずだ。誰も自分を脅かさない。誰も自分を責めない。誰も自分を攻撃しない。誰も自分を蔑まない。
 それがどんなに、自分の糧になることか。縮こまっていた自分が大きく伸びをし、肺いっぱいに酸素を取り込むことができるか。

 ひとりでいることは、実はまったく怖くない。将来のことを考えたりすると、不安になることはある。これからひとりで生きていけるのだろうか、という不安もある。しかし、常に誰かに脅かされる日常はない。
 2人でいるほうがよっぽどコワイ。家族で過ごすことのほうが、よっぽど苦しい。

 15才から家を出、結婚して夫のモラハラに遭った私の結論だ。

 でもそれでいいのだと思う。家族は万能じゃない。家族も人間だ。そして人間は不完全だ。親だって、夫だって、それぞれの人生を歩み、自分の理解できる範囲でしか、ものごとを捉えられなかったのだ。自分の尺度でしか解釈できなかったのだ。それを当然のことと思って、相手も当然わかると思って、押しつけただけだったのだ。単に自分の器の中にある狭い知識の中から、勝手に判断して、相手にぶつけただけだったのだ。
 それをわからせようとしても、無理がある。理解しようとしても、わかりあえない。自らがわかろうと一方通行でなく、お互いが、相手に心を開かなければ無理だ。

 求められない家族だったら、離れればいい。わかりあえない夫婦だったら、離れればいい。いつまでも固執し、いつまでも執着し、いつまでも変えようとし、いつまでも恨みを持ち続けると、自分の魂が死んでしまう。

 私は自分で生きることができるのだ。他人からの応援を受けながら、自分も時に応援しながら、自分の力で生きていくことができる。そう信じればできる。
 
 
 私達は、生きていける。信じよう、自分の可能性を。自分の力を…!




22 コメント

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Unknown (poohpapa)
2007-06-07 06:19:10
ウメさん、おはようございます

コレ、実によく解かります。私も18で東京に出てきた時には、周りに人が溢れている分、よけいに孤独でしたもん。

ただし、家族や仕事などいろんな人との関係でストレスが溜まったとしても、適度なストレスなら本来は在ったほうが良い、と思います。もっとも、ある程度(限界)を超える自殺に至るほどに追い詰められてしまうものでしょうけど。

私は、一人で自由気ままに生きるより、多少のストレスがあっても、人と関わり合いながら生きていきたいですね。嫌なら一歩離れて付き合うか、全く付き合わなければいいですし。

ウメさん、「人間、そして世の中も」、捨てたモンじゃないですよ~(^^♪
Unknown (poohpapa)
2007-06-07 06:34:40
再び、おはようございます

ウメさん、こんな映像をご紹介させてください。

http://www.youtube.com/watch?v=epUk3T2Kfno&mode=related&search=

姉さん女房の、つがいのラッコだそうですが、ずっと手をつないでいるんですよ。

ね、仲さえ良ければ、そして理解し合えるなら、誰かと一緒、ということは素晴らしいことでしょ!?

って、ウメさんは全部飲み込んでいらっしゃるんでしょうけど。
私もそう思います (mayu)
2007-06-07 09:55:00
いつも読ませていただいています。

最近雑誌にも「ひとりで生きる」という特集をよく目にします。
自分の周りもずっと独身を通している人、離婚をして一人になった人など自分が小さい頃よりも目にするようになりました。(かくいう私はバツいち、ただいま独り身です)

夫婦、家族の中にいても孤独って言うくだりはよくわかります。
ものすごい孤独感が私を襲いましたから。
今実質上は一人ですが、干渉されないだけ、ある程度は自由です。
自分が頑張れば、頑張っただけあるし、その反対もありますが・・・

生きる選択肢として、「ひとりで生きる」ということも世間でみとめられるようになり、本当によかったです。

これからもブログの更新がんばってくださいね。応援しています

はじめまして (かな)
2007-06-07 13:09:19
ウメさん、はじめまして

私も別居半年、最近モラハラという言葉を知り色々なサイトを拝見するようになりました
たぶん我が家はモラではない…と思うのですが。

夫婦で上手くいかないのはお互い様、私も悪い所はあった

そう思うけれど、一方で私が傷つくのを承知で何度も裏切る夫
それを自分は弱いから…と言い私なら許してもらえると思う夫

二人で暮らしていても相手が何を考えてるのか理解できない
会話もかみ合わないし歩み寄ろうともしないで殻にこもる

別居して一人になって(ああもう誰かの気配を察しなくても良いんだ)
と思った時、本当に本当にホッとしました

確かに一人で寂しい時もある
誰かと一緒に泣いたり笑ったり出来るのは素敵な事だと思う
職場の上司はまさに「女は結婚して子供に囲まれて孫を抱く老後が一番!」という人で
その価値観をまともに押し付けられると、自分は何をしてるんだろうと
怖くて嫌になる


それでも一人になって本当に楽になりました
そして自分は一人でいても楽しめる人間だな~とも実感しました

楽な道ばかり選ぶなと言う人もいるけれど
「孤独」もいくつも種類があって、どんな人間関係を選んでも
それ相応の学びがあり覚悟が必要なんでしょうね


一人に拘らなくても家族に固執しなくても生きていける
柔軟な人になりたいと最近思うようになりました


ウメさんのブログ楽しみにしています
これからもこころの声を聞かせてくださいね

人は好きです (poohpapaさんへ)
2007-06-07 21:27:13
poohpapaさん、こんばんは

ちょっとこの記事が厭世的に感じられましたでしょうか?
人や世を憂いているわけではないのです。
今までもたくさんの人に助けていただきながら
生きてきたと思っていますし、
だから今の自分がいる、とも感じています。
また、人にとって本来家族や夫婦というのは
心の拠り所となる関係だとも思います。
ただ、その関係がときにとても苦しく、
自分を生きられない関係になる、ということも事実です。
ですからその時は、家族だから夫婦だから、という
呪縛に囚われずに、苦しいと感じる自分を大切にして
そこから離れたらいい、ということが言いたかったのです。

私自身は、モラ元夫や母親以外とは、
今までいい人間関係に恵まれて生きてくることが
できたと感じています。
ひとり暮らしはある意味孤独ですが、
逆に会いたい人と、いつでも会うことができます。
そういう意味では孤独じゃないんですよ(^^)

あ、poohpapaさんがご紹介いただいたサイトになぜか
(ボロパソコンのせいか)、アクセスできませんでしたが…
ラッコさんは好きです。
ラッコ同士の仲睦まじさ、かわいいですね♪
     ウメより



ともに生きましょう…! (mayuさんへ)
2007-06-07 21:38:31
mayuさん、こんばんは
以前もいらしていただきましたよね。
お元気でいらっしゃいましたか?

mayuさんも私と同じバツイチひとり暮らしなのですね。
そして同じように、夫婦でいることの
厳しい孤独を経験されたのですね…。
あの孤独感は、ひとりでいることの孤独感とはまた質が異なり、
あんな思いはもう二度と決して味わいたくない、と強く感じます。

自由とは、自己責任と孤独も伴いますが、
確実に自分自身の感情、気持ち、思い、考え、嗜好、行動を
大事にして生きることができます。
それが当たり前のようで、いかに大切なことかを
今、しみじみ味わっています。

こうして同じように生活されているmayuさんが
どこかで歩いておられる、と思うと私も嬉しいです。

ブログ、またつらつらと綴ってみますね。
いつも読んでいただきありがとうございます(^^)
     ウメより

ご自身を大切に! (かなさんへ)
2007-06-07 21:53:11
かなさん、はじめまして

かなさんは別居されているのですね。
別居されるまで、どんなに悩み、苦しまれたことかと思います。
誰だって、夫とは分かり合いたいし仲良く一緒に暮らしたい。
でもどうしても、どうがんばっても、どうしようもなく
苦しくなって息ができなくなることもある…。
そしてやむを得ず離れることになるのだと思います。

ひとりになってほっとし、ひとりを楽しめる自分を発見する、
かなさんは、ご自身のこころの声にきちんと耳を傾け
大切にされたのですね。
どんな生き方であれ、誰と住もうがひとりで暮らそうが、自分が自分らしくあれば
それが一番だと思います。

かなさん、ありがとうございます。
よろしかったらまたいらしてくださいね(^^)
     ウメより
はじめまして (くりくり)
2007-06-07 21:56:40
こんばんは。はじめて投稿させていただきます。
わたしは、結婚をしたこともなく、ほんとうにただ、一人で暮らしをしている人間(一応♀)ですが、このブログを2年にわたって読ませていただき、ウメさんのたどった道や現在の心境に思いを馳せておりました。
ひとり、という言葉がこの日記の中で不思議な魅力を帯びています。それは人をはねつける「ひとり」ではなく、静かな自身≒自信を感じさせるものだからだと思っています。
「自分であること」そして「ひとり」であることを深く自覚しているからこそ、家族であるとか夫であるという「枠」で出会うのではなく、ほんとうに人と人とが出会う可能性を感じました。

これからもブログ読ませていただきます。
お元気でお過ごしください。
ありがとうございます (くりくりさんへ)
2007-06-07 23:17:27
くりくりさん、はじめまして
ずっと拙いブログを読んでいただき、ありがとうございます。

何だかくりくりさんに、
私の伝えたいところをとっても理解していただいたように感じて、
今、ほのぼのとした気持ちを抱いています。
そんなふうに感じながら読んでくださっている方がいるんだと
嬉しくなりました。
そして、励まされました。

くりくりさんもひとり暮らしをされているのですね。
くれぐれもご自愛くださいますように。
     ウメより
実感します。 (M)
2007-06-07 23:55:46
もう一度、モラル・ハラスメントにあうぐらいなら、ひとりのほうがいいです。

やりたくない事をやらされた時の精神状態には二度となりたくないし、そのせいで壊れる人間関係なら仕方ない・・・と、今は思っています。

(「ケンカ別れは嫌だ!」って、まだ私に利用価値がある、という意味でしょうか?)

人格障害の人は本当に言葉が巧みだし、自分のクチから出る聞こえのいい言葉に酔ってるようなところがあります。

でも私も強くなり、他人のキレイな言葉に負けて罪悪感を感じることは、さすがになくなりました。

嫌なことは、やらなくていい。。。

本当に単純なことなんですけど、これを学ぶのに長い年月がかかりました。

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