ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Hawaiian 30 Favorites (1978) / Don Ho


8月は勝手に特集月間として『オータサン in セッション・ワーク』と題し、スタジオ・ミュージシャン或いはゲストとして他人名義の作品に登場したオータサンの仕事をまとめて、週刊ペースでご紹介している。

ありがちなベスト盤かと思いきや、さにあらず。ハワイのエルヴィス?、ドン・ホーの1978年スタジオ録音による2枚組オリジナル・アルバム。ウクレレにBenny KalamaとHerb Ohtaがクレジット。スチールギターはJerry Byrd、ギターにJimmy Funai、ベースに Jeff Henriksenと、セッションに呼ばれた大勢の腕利きミュージシャンの中には、オータサン周辺でお馴染みの顔ぶれがチラホラ。

他のオータサンによる多くのセッション・ワークと同様、やはりここでも曲によってウクレレの音がバックに聴こえる事もあるが(D-3やD-5などでウクレレが顕著によく聴こえる)、ポコポコとした音色でリズムを取る事に徹しておりオータサンによる演奏を音から聴き分けることは困難。ただ当時ハワイの一流ミュージシャンを集めたハワイのエンターテインメント界を代表するトップスターによる吹込みであり、アルバムの内容はとても良いので2枚組も楽しく聴ける。ドン・ホーはどうしてもその歌声からハワイのエルヴィスというイメージがあるが、実際にエルヴィスがドン・ホーのショウを見に行き、ドン・ホーが紹介してステージに上げた時のツーショット写真なども残っており、交流があったようだ。2017年ホノルルのインターナショナルマーケット・プレイスに銅像が設置された。

このアルバムはアメリカで90年代にアナログ、CD、カセットの3種類のフォーマットで再発された際にはミネソタ州の通販会社によるTVコマーシャルで盛んに宣伝され、レコード2枚組セット、或いはカセット2巻セットで$12.98、CDは単品で$16.98という値付けだった。この際の再発盤は"As advertised on Television"とジャケットに印刷されている。選曲も代表曲『タイニー・バブルス』を皮切りにアメリカ本土のリスナーをターゲットとした有名曲がズラリ、アレンジもロック調、カントリー調と多彩。D-1のアーサー・ライマン/エキゾチカ風アレンジや、E-1でのラウンジ風バラード・アレンジは秀逸で、一流ミュージシャンをバックに従えたスーパースター、ドン・ホーのショウを自宅に居ながらにして楽しめるといった趣向だ。テレビ通販で買ったレコードをかけてアメリカ家庭のプールサイドでホームパーティ(気分だけハワイ)、なんて用途にはまさにピッタリだったろう。

なお拙宅の盤にはテレビ通販再発の宣伝文は印刷がなく、ジャケットのドン・ホー氏の顔のあたりにサインが書かれている。中古盤での入手でサインの真偽は不明ながら、ネットを検索すると同じサインの入った盤が多数存在している。恐らくはショウの会場でコンサートグッズとして手売りされた盤かと推察。

収録曲
A1 Tiny Bubbles; Pearly Shells
A2 My Little Grass Shack; Little Brown Girl
A3 Moonlight Lady
A4 Lovely Hula Hands
A5 Sweet Leilani; Blue Hawaii
A6 The Hukilau Song

B1 Hawaiian War Chant; Toere Drums; One Paddle, Two Paddle
B2 Now Is The Hour; Beyond The Reef
B3 The Hawaiian Wedding Song
B4 Kuu Home O Kahaluu
B5 To You, Sweetheart, Aloha

C1 Theme From "Hawaii Five-O"; You Can Come With Me; Quiet Village
C2 Forevermore
C3 Waikiki
C4 Kanaka Wai Wai
C5 I'll Remember You

D1 Waimanalo Blues (Nanakuli Blues)
D2 Hanalei Moon
D3 Sweet Someone
D4 Morning Dew (Alone Once More)
D5 Lahaina Luna; Beautiful Kauai
D6 Beyond The Rainbow (Waipio); Aloha Oe

クレジット
Lead Vocals – Don Ho
Vocals – Sally Stevens
Backing Vocals – Don Ho, Patti Swallie, Rene Kashiwabara, Sandy Olivieri

Ukulele – Benny Kalama, Herb Ohta
Steel Guitar – Jerry Byrd
Guitar – Bobby Young, Dave Richardson, Dickie Thompson, Hiram Olsen, Jimmy Funai, Rick Littlefield, Sonny Nicholas
Piano – Johnny Todd
Piano, Synthesizer, Vibraphone – Bob Morgan
Vibraphone – Sean Wilkinson
Bass – Jeff Henriksen, Kalani Fernandez, Lee Humes
Congas – Alex Gutierrez
Drums – Al Bardi, Pete Factora, Tony Morales


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