Let it be -ケンブリッジMBA日記-

英語苦手、海外在住経験ゼロの私の初の2005-2006海外生活&MBAライフの記録。
現在は、ヨーク大学で勉強中。

中国の反日感情

2006-07-11 05:47:04 | 英国的生活・文化・歴史


暑さがひと段落して、(というか”例年の”夏に戻って)少し涼しいケンブリッジです。


サマースクールで一緒だった、国際関係論を学ぶ中国人の友人が、反日感情と中国におけるナショナリズムについて卒業論文を書いていて、日本に関する記述のチェックをするため、拝見させていただく機会がありました。


大部なので、まだ全部目を通していないのですが、中国側からの視点というのが示されていて、とても興味深かったです。


例えば、日本脅威論という文脈で東シナ海ガス田開発や国連安保理常任理事国入り問題などが論じられていました。しかし、どちらかというとガス田や竹島での日本の弱弱しい外交や、17年連続で10%以上の伸びを見せている中国の軍事費を見ていると、私には中国脅威論の方がよほど現実味を帯びて感じられました。ま、もともと隣国とはお互いにある程度の”脅威”というものを感じる性質のものかもしれませんが。


また、反日感情の原因の一つに、教育が挙げられています。予想とおり、南京大虐殺や百人斬り事件などが誇張されて教えられているようです。これらは事の真偽や虐殺のサイズに関して今でも論争がありますが、否定するのも困難なので、この点については私は特にコメントしませんでした。
http://ja.wikipedia.org/wiki/百人斬り競争
http://ja.wikipedia.org/wiki/南京大虐殺論争
http://en.wikipedia.org/wiki/Nanking_Massacre
(*ちなみに、南京大虐殺論争に関しては、日本語版Wikiと英語版Wikiとで虐殺の規模等に関し、違いが見られます。興味のある方は比べてみてください。)

その代わり、

「記述が”日本のした悪いこと”に偏っており、”日本のした良いこと”の記述が教科書に欠けている点がバランスを欠いており、反日感情の形成に一役買っているのではないか」

とコメントしました。さらに、”日本のした良いこと”の例として、

①平和憲法-戦争を禁じた憲法九条と、非核政策
②累積3兆円に上る対中ODA
③天皇や歴代総理による「戦争謝罪発言」
http://ja.wikipedia.org/wiki/日本の戦争謝罪発言一覧

を挙げておきました。これらは、第二次大戦時の日本の悪行を強調する中国の教科書からは、「意図的に」すっぽりと抜け落ちている情報であり、事実、日本の歴代首相が戦争謝罪発言を何度もしていることすら知らずに、「謝罪せよ」と主張される方もいらっしゃいます。

彼女からは、後でお礼のメールがありました。


率直に言って、このような「中国政府に関する批判につながるようなトピック」(例えば、反日教育批判は中国政府の批判につながる)を選ぶ中国人がいるということが驚きです。別の中国人MBAと話していたときに、特段中国政府が海外留学での研究テーマについて制限を付すことは無いということを言っていたのですが、今でも出版禁止処分や検閲が横行している位ですから、正直言って、「勇気あるね~」という感じです。


ともあれ、こういう問題に真正面から取り組んでくれる中国人がいるということは、とても嬉しいことですし、両国の間の無用な誤解が取り除かれることを強く望みます。


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