UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

意気消沈するような物悲しい軍歌・・・

2016-02-18 01:01:32 | 日記

先日、妖怪マンガで知られる水木しげる氏が亡くなりました。1922年生まれとのことですから享年94歳ということになります。GGIもむかし、水木さんの代表作ともいうべき「ゲゲゲの鬼太郎」を愛読したものでありましたので,弔意と敬意を表すべく、数日前、まだ読んでいなかった水木氏の作品「総員、玉砕せよ」を買い求めました。

この作品は先の大戦、最後は「玉砕」という虚飾に満ちた言葉で称される敵前での集団自殺を強いられることになる、南方の戦線における兵士たちの哀れともいうべき過酷な戦場の生活を描いた、長編ドキュメンタリーマンガともいうべきものです。この作品はニューブリテン島のズンゲンで彼が属していた成瀬大隊の命運をほぼ忠実にたどったものであり、水木氏は「90パーセントは事実だ」と述べています。

このマンガで、近代戦における常識であるところの後方支援がまったくなく、食糧も武器も弾薬も欠いたままの兵士たちの哀れともいってもよい様子を目で追っているうちに、GGIはとつぜんある軍歌の歌詞の一節を思い出してしまいました。

GGIは太平洋戦争が始まった年に生まれましたので軍歌を歌う世代ではありませぬ。ですから、どのような機会にこの一節を覚えたのかは定かではないのですが、GGIの長兄が敗戦時には少国民と申しますか軍国少年になりかかっており、ごく最近になって、この兄が、敗戦の日、あの8月15日にどうやら非常に無念な思いをし、それが未だにトラウマになっているようなことをGGIに申しておりましあので、この兄が歌ってたいのを聞いて覚えたのかもしれませぬ。

 既に煙草はなくなりぬ
頼むマッチも濡れはてぬ
飢え迫る夜の寒さかな
飢え迫る夜の寒さかな

 何とも哀れと申しますが、物悲しいと申しますか、陰々滅々とする歌詞なのですが、これが軍歌の一節なのです。軍歌なるものは戦意高揚のためのものでありますから、たいていはもっと景気がよいというか元気溌剌、勇気凛凛といった調子の歌が大半でありますから、この歌詞は異色であるといってよいでありませう、何とも物悲しく、まるでじわじわと死地に追い込まれていく兵士の運命を、戦争の空しさを、物語っているように思われるます。この歌詞の内容は、やはり水木氏が言っているように「90パーセントは事実」であるといってよいであろりませう

この軍歌、ネットさんの助けを借りて調べてみましたら「討匪行」という題名でありました。中国大陸の満蒙(満州と内モンゴル)で日本の軍や政府が、ひいては当時の日本国民の多くが、勝手に「匪賊」と軽蔑的に称していたゲリラの討伐に向かう日本軍の様子をうたったものです。先に示した歌詞はこの軍歌の四番ですが、歌詞は15番まであり、最後は日本軍が勝利することになってはいます。ですから、もちろん全体としては勇ましいと申しますか誇大妄想的歌詞が満ち満ちてはいるのですが、勝利に至るまでには、以下に示しますように、およそ軍歌らしからぬ歌詞があちこちに見受けられます。

一番

どこまで続く泥濘(ぬかるみ)ぞ
三日二夜を食もなく
雨降りしぶく鉄兜(かぶと)
雨降りしぶく鉄兜(かぶと

二番

嘶く声も絶えはてて
倒れし馬のたてがみを
形見と今は別れ来ぬ
形見と今は別れ来ぬ

三番

蹄(ひづめ)の跡に乱れ咲く
秋草の花雫(しずく)して
虫が音細き日暮れ空
虫が音細き日暮れ空

十四番

*にはあれど遺骸(なきがら)に
花を手向(たむ)けて懇(ねんご)ろに
興安嶺よいざさらば
興安嶺よいざさらば

 そして、この軍歌で驚きますのは、作曲は何とわれらがテナー歌手、藤原義江(作曲は八木沼丈夫)なのです。以下のサイトによれば、《作曲した藤原義江はこの歌詞の十四番、「敵にはあれど遺骸(なきがら)に、花を手向(たむ)けて懇(ねんご)ろに・・・」という一節を読んで甚く感動して、曲をつけることに決めたということです・・・「作曲のことは何もわからない素人だけど、この歌詞(敵にはあれど遺骸に・・)が気に入って作曲の真似事をしてみたよ」という意味のことを後日、藤原義江は語っていたそうです》とされています。

http://blogs.yahoo.co.jp/maskball2002/57996244.html

戦場で最前線に立たされた兵士の運命は、どこの国の軍隊であれ、たとえ米軍のように十分な後方支援が行われていても、程度の差はあれ過酷であり哀れなものであります。

かようなしだいで、エラクはない一兵卒であるところの自衛官諸氏だけではなく、新安保法制・集団的自衛権とやらで張り切っているアベ君をはじめとして政治家諸氏にも、この軍歌、「討匪行」を一度聞かせたいものであります

 もちろん今日の日記をお読みなったあなたにもお聞き願えればと思います。聞いてもいいよ、とおっしゃる方は以下のサイトをご覧くださいませ

https://www.youtube.com/watch?v=aBk0_KsIXpo

今日の写真は水木しげる氏の作品「総員、玉砕せよ」の表紙を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ。

グッドナイト・グッドラック!