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黙秘権  民事

2018-12-11 | 民事
都町女性死亡 捜査で供述拒否 両親が男性提訴へ


さすがに義務違反があるという構成は難しいと思う。

遺族の方の気持ちは理解できますが、法的構成になじむかは非常に難しいです。

原告側からの相談も被告側からの相談も いろいろな意味で受任が難しい案件でしょう。

大分日日新聞からの引用です。

※引用

都町女性死亡 捜査で供述拒否 両親が男性提訴へ

 大分市都町の路地で昨年7月、女性会社員=当時(31)=が遺体で見つかった事件で、亡くなる直前まで一緒に行動したとされ、器物損壊罪で有罪判決を受けた男性(27)に対し、女性の両親が損害賠償を求めて提訴することが10日、関係者への取材で分かった。男性は県警や地検の捜査で黙秘した。両親は「娘がどのように亡くなったのか知ることができず、精神的苦痛を受けた」と訴えている。
 男性は女性が亡くなった日の朝に、行動を共にした唯一の人物とされる。公判でも供述を拒み、死亡した経緯は明らかにならなかった。捜査機関などへの黙秘権は認められている。遺族らに対し、何も説明しないことが権利侵害につながっていないか、審理されることになる。
 両親の代理人弁護士によると、近く大分地裁に提訴する方針。「両親は非常に苦しんでいる。男性が何らかの事情を知っていることは明らか。説明する義務がある」と主張する。
 女性は昨年7月29日朝、飲食店ビルの屋上から転落したとみられ、同日夜に見つかった。
 男性は三宮さんが利用していた飲食店の従業員だった。同日朝、2人でビルに入った後、三宮さんのバッグを持った男性が1人で隣のビルから出てきたとされる。その後、近くのビルの階段下にバッグを隠したとして器物損壊罪に問われ、大分地裁は昨年12月、罰金30万円の有罪判決を言い渡した。
 男性は保護責任者遺棄致死の疑いでも逮捕されたが、大分地検は同月、不起訴処分にした。

 黙秘権は刑事訴訟法で容疑者や被告らに保障された権利だ。男性は判決後、罰金を支払って刑事上の償いを終えたとされるが、両親側は民事上の責任を追及。いまだに遺族へ説明しないことが民法上の「他人の権利、利益の侵害」に当たると指摘する。犯罪被害者や遺族の「知る権利」の観点からも議論を呼びそう。
 黙秘権は憲法38条の「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」との規定が根拠。捜査機関による拷問や自白の無理強いを防ぐ狙いがある。
 最高裁の判例はこの条文を「刑事上の責任を問われる恐れのある事項」について定めたものだと説明。取り調べや裁判で質問に対し黙っていても不利な扱いを受けないとされる。
 一方、民事訴訟法は原告や被告の黙秘権についての規定がない。訴訟当事者が「正当な理由なく陳述を拒んだ」場合は、「相手方の主張を真実と認める」ことができるとしている。
 両親の代理人弁護士は「捜査機関に対する黙秘権は認められても、遺族との関係は別。何も説明しないことを正当化することはできない」と強調した。

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1 コメント

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雑感 (山住真一郎)
2018-12-15 22:56:41
被告の住所と氏名が原告および原告代理人弁護士に伝わった、その「情報の流通経路」が気になります。

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