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史跡訪問の日々

幕末維新に関わった有名無名の人生を追って、全国各地の史跡を訪ね歩いています。

「名古屋名家墓地録(全)」 日比野猛著

2013年12月23日 | 書評
 このところ幕末の尾張藩に起きた青松葉事件にはまっている。慶応四年(1868)一月、佐幕派の十四名が斬首、二十名が永蟄居や隠居・減知という処分を受けた事件である。
 かつて私は七卿落ちの七人の公家の墓だとか、桜田門外の変の実行犯十八人の墓など、「シリーズもの」の掃苔を成し遂げたが、今回青松葉事件で処刑された十四名の掃苔に挑むことにした。
 手始めに名古屋市内の図書館の郷土史コーナーで下調べをした。意外なことに青松葉事件を取り上げた書籍は、市内の図書館でも決して多くない。地元でも忘れられた事件となっているのかもしれない。諦めきれずに書棚を漁っているうちに見つけたのが本書である。
 本書は小牧市在住の日比野猛氏が、大正時代に発刊されていた「名古屋市名家墓地録」(全四巻)をもとに情報を更新し、活字化した労作である。時間の経過とともに、墓碑は苔むし、時に移葬され、人々の記憶から消え去る。名古屋に関係する千人余りの人物の膨大な数の墓を一つずつ当たり、記録を修正するのは気が遠くなるような作業であったろう。本書は著者の汗の結晶である。
 本書には、青松葉事件の犠牲者十四名の墓の在り処が記載されているだけでなく、その法名まで併記されている。名古屋の古い墓は、正面に法名が刻まれているものが多いので、これが大変役に立つ。
 早速、必要なところを写し取って平和公園を歩いたが、半日歩き回って、出会ったのは四名の墓に過ぎない。前途多難を予感させた。
 残る十名の墓を訪ね当てるためには、本書を片手に回らねば極めて効率が悪い。本書は自費出版に近い形で発行されたものらしく、古本サイトやAMAZONなどで検索してもひっかからない。そこで、不躾ながら著者ご本人にハガキを送り、本書を手に入れたい旨伝えた。すると数日で本書が届いた。
 手元に届いた書籍には、著者が手書きで情報を更新・修正したあとが残されていた。わずかな法名の間違いや没年月日の違いなど、細かく修正されているところに著者の執念と几帳面な性格が伝わってくる。
 我が家から名古屋は決して近くない。これまで関西・四国方面に出張や帰省の都度、途中下車して市内の史跡を訪ねていたが、この次はこの本を頼りに時間をかけてじっくり歩いてみたい。


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